- 著者
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品川 哲彦
- 出版者
- 関西大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2011
本研究はグノーシス研究、生命哲学、未来倫理、ホロコースト以後の神学など多様な面をもつヨナスの哲学的経歴を統合的に理解することを目的とした。その生命哲学に含まれる目的論的自然観、存在と善を結びつける形而上学、グノーシス思想と近代哲学に自然からの離反という共通の欠陥をみる指摘、神学的思索はいずれもそれだけをとれば価値多元社会の現代では反時代的と批判されやすい。しかしその哲学は、人間以外の自然のみならず人間自身が技術的操作の対象と化している現状への危機感の表明である。本研究は、英独で発刊された書籍に収録された二編を含む七編の論文、依頼講演二回の学会発表を通じて上記のヨナスの現代的意義を示した。