著者
橋本 聡子 本間 さと 本間 研一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.400-403, 2007 (Released:2007-06-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

睡眠に関する悩みを持つ人の割合は,日本においても増加の一途である.体内時計は,自然な睡眠を駆動しており,体温やホルモン分泌と同様,サーカディアンリズムを示す.このリズムの中枢時計は視交叉上核にあり,24時間/1日に同調するためには光が最も重要な因子であることが知られている.睡眠覚醒リズムに関連した振動体仮説には,2振動体仮説と2プロセス仮説が上げられ,同調機序が異なる.近年,哺乳類において,サーカディアンリズムに関する時計遺伝子の研究が進んでおり,ヒトにおいても睡眠相前進症候群にこの関与が示唆されている.
著者
平尾 彰子 田原 優 井筒 裕之 本間 さと 本間 研一 柴田 重信
出版者
日本生理学会
雑誌
日本生理学会大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.198, 2008

Daily restricted feeding (RF) with fixed time during daytime causes an advance of circadian rhythm of mouse liver clock gene expression. However, the mechanism of entrainment signal is poorly understood. Here, we examine whether daily administration of various type of nutrition caused entrainment of liver clock gene expression rhythm using Bmal1-luciferase transgenic mouse. Circadian rhythm change of liver bioluminescence was recorded through Lumicycle after 1-6 days of administration of various nutrients. We administered the corn carbon dehydrate, egg albumin or soybean oil after adjustment of each calorie. Among these nutrients soybean oil has most strong effect on phase-shift of gene expression rhythm. Administration of glucose through oral or intraperitoneal caused the phase advance, however the value of change was small. Thus, slow supply of calorie may be important to cause phase shift. We still examine the other nutrients such as amino acids, dextrin and sugar. We also try to find the effect of combination of nutrients on phase-shift of liver clock. <b>[J Physiol Sci. 2008;58 Suppl:S198]</b>
著者
本間 さと 中村 宏治 本間 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.118, pp.49-52, 1993
被引用文献数
1

体温は容易に家庭で計測できる生体情報であるが、発熱の有無以外の健康管理にほとんど利用されていない。体温は測定する部位で異なるだけでなく、時間的変動もあり、明瞭なサーカディアンリズムを示す。深部体温リズムは生物時計の指標となり、交替勤務後のリズム調節などの他に、季節性うつ病や睡眠相後退症候群などの睡眠障害の診断および治療効果判定に有用である。また、患部と健常部の深部体温の比較で末梢循環障害の診断、薬物治療の効果判定が容易になる。そこで、サーミスタにより直腸温と膀胱温を、深部体温計により前額温と足底温を、放射温度計により鼓膜温を連続測定し、生理的な体温の時間空間的な変動を調べ、体温の在宅計測による体内異常の発見や、健康の評価への応用を考えた。
著者
白土 博樹 本間 さと 玉木 長良 久下 裕司 伊達 広行 鬼柳 善明 畠山 昌則 金子 純一 水田 正弘 犬伏 正幸 但野 茂 田村 守 早川 和重 松永 尚文 石川 正純 青山 英史 作原 祐介 鬼丸 力也 阿保 大介 笈田 将皇 神島 保 寺江 聡 工藤 與亮 小野寺 祐也 尾松 徳彦 清水 伸一 西村 孝司 鈴木 隆介 ジェラード ベングア
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

いままでの先端放射線医療に欠けていた医療機器と患者のinteractionを取り入れた放射線治療を可能にする。臓器の動き・腫瘍の照射による縮小・免疫反応などは、線量と時間に関して非線形であり、システムとしての癌・臓器の反応という概念を加えることが必要であることが示唆された。生体の相互作用を追求していく過程で、動体追跡技術は先端医療のみならず、基礎生命科学でも重要な役割を果たすことがわかった。
著者
井端 泰彦 井上 慎一 岡村 均 千原 和夫 本間 さと 貴邑 冨久子
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本研究は昨年に続き12名の班員による研究により,生体リズム発現及び同調機構,内分泌リズム,自律神経リズム,ヒトにおけるリズム発現,時間記憶などの研究課題について研究を行ってきた。平成9年度に多電極皿上における培養視交叉上核のリズム解析(井端),行動リズム位相変化と哺乳類時間遺伝子(岡村),視交叉上核VIP,AVPニューロンの自律神経反応と高血糖反応への影響(永井),視交叉上核におけるリズム同調機構に対するCREB,CREMの関与(井上)マウスにおける概日リズム突然変異体の分離(海老原),概日リズム光同調に対する心理的ストレスの影響(柴田)GnRHの概日リズム発現に対する視交叉上核AVP,VIPニューロンの影響(貴邑)視床下部成長ホルモン分泌制御機構(千原),条件恐怖刺激に対する視床下部オキシトシン,バソプレシン分泌反応に対する視交叉上核の関与(八木),ヒトにおける生物時間同調因子について(本間),高血圧における血圧の概日リズム機構異常とその治療(田村),睡眠覚醒障害に対する高照度光治療(佐々木)についてそれぞれ研究を行い昨年12月に班会議を開催し研究成果の発表と討論が行われた。特筆すべきことは昨年哺乳動物(ヒトにおいても)にショウジョウバエの時計遺伝子とホモローグである遺伝子が存在することが異なる研究施設から時を同じくして発表されたが(Science,Nature)本研究班の一人である岡村はこの研究グループのひとりであり,彼は続いてこの遺伝子のマウス視交叉上核での発現や光照射による影響や位相変化について"Cell"に発表したことである。即ち哺乳動物における概日リズム発現機序の手がかりが得られたことは大きな成果と考えられる。
著者
本間 さと
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

中枢時計SCNから行動リズム発振機構への出力経路を明らかにする目的で、時計遺伝子per1発現とPER2蛋白を発光にてレポートするper1-lucトランスジェニックマウスとPER2::LUCノックインマウスを用い、2以下の2実験を行い、所定の成果を得た。1.活動開始と終了を制御する振動体の局在:明暗(LD)12:12h下で繁殖飼育したマウスをLD18:6の長日条件、又はLD6:18の短日条件に3週間以上暴露した後、SCNの水平断切片をルシフェリン含有培地にて培養し、1時間露光の連続発光イメージを5日間撮像した。ピクセル毎の位相マップを作成した結果、SCN前外側に点灯前からper1発現が上昇する細胞群の存在が分かり、最前部の細胞群のリズムとは180度の位相差があった。一方、長日下のPER2リズムには、SCN前後でper1同様の傾向はあったが、位相差は数時間であり、前SCNに夜明けのピークをもつ細胞群は存在しなかった。同一細胞が内因性リズム発振と環境応答で2つの分子ループを使い分けている可能性が示唆された。2.遺伝子発現in vivo計測と行動リズムを駆動する振動体の検索:光ファイバーを用い、無麻酔・無拘束状態でSCNからの発光活性を連続計測し、時計遺伝子発現と行動リズムを同一個体で比較した。連続暗黒で飼育中のマウスに30分の光照射にてリズムをシフトさせ、時計遺伝子発現と行動のリズム変位の移行期を比較したところ、SCNにも行動リズムに一致した移行期をもつ細胞群の存在が明らかとなり、行動を駆動する中枢がSCN内部にも存在する可能性が示唆された。また、発光活性と自発活動は短時間の変動を示し、相互相関では自発活動がper1-lucを6-8分先行していることが分かった。per1発現からルシフェラーゼ蛋白合成までには数時間の時間を要するので、この変化は活動に伴う血流変化、特に、酸素、ATP、基質の変動などの影響を反映していると考えられる。
著者
本間 さと 池田 真行
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

視床下部視交叉上核(SCN)に存在するほ乳類の中枢時計は、網膜からの光情報を受容し、内因性の周期を24時間の明暗サイクルに同調すると共に、SCN外脳内組織や末梢臓器の末梢時計を調節し、全身の時間的統合を行っている。しかし、そのメカニズムは不明である。夜行性齧歯類における行動リズムの季節変動は、これまで、夕日および朝日に同調し、活動の開始と終了を調節するEvening(E)とMorning(M)の二振動体によると考えられてきた。そこで、発光レポータートランスジェニックマウスを用い、SCN細胞のPerl発現リズム位相をSCN内で部位別に測定し、日長と行動リズム位相との相関を解析し、生体が行動や内分泌機能に季節変動を生じる機構について検討した。24時間明暗周期の明期を6〜18時間と変動させたところ、すべての明暗比において、吻側SCNのPerl発現リズムピークは夕方の活動開始位相にphase-lockしており、E振動体の局在が示された。一方、尾側SCNのPerl発現ピークは、測定したすべての明暗比で、朝の活動終了位相にPhase-lockしておりM振動体の局在が示された。尾側SCNのPerlピークのphase-lockingは、明期20および22時間という極端な長日周期でも確認された。明期18時間では吻側SCNのPerl発現が二峰性となり、さらに明期を延長すると吻側、尾側ともに二峰性ピークが観察された。発光イメージングによる細胞リズム解析の結果、すべてのSCN細胞の発光リズムは約24時間であり、二峰性リズムは、ほぼ180度位相が異なり、かつ、左右SCNにほぼ均等に混在する、2種の細胞群によることが分かった。以上の結果、日長によりSCN内で部位時的に遺伝子発現リズム位相を変位させるSCN細胞のダイナミズムが、行動リズムの季節変動を調節していることが分かった。