著者
朱 穎 武石 彰 米倉 誠一郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.78-92, 2007-03-20 (Released:2022-08-19)
参考文献数
25

技術革新がなぜある特定の時期に実現するのか.本論は,技術の社会的構成論に立脚しながら,そのメカニズムについて考えるものである.1970年代における自動車排気浄化技術の革新を事例としてとりあげ,技術に対して異なる解釈をもった社会集団間の社会政治的なやりとりを通じて,存続しえなかった技術(CVCC)が支配的技術(三元触媒)の実現時期を早めたというメカニズムが作用していたことを明らかにする.
著者
朱 穎心 丹羽 英治 陳 向陽 中原 信生
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.59, no.461, pp.69-79, 1994
被引用文献数
6 3 2

動的シミュレーションは、空気調和システムやビルディングシステムの動的挙動解析のための手法として、設計上あるいは運転管理上、次第に重要になってきている。HVACSIM^+は、1985年に米国NISTで、空気調和システムの動的シミュレーションを目的に開発されたシミュレーションプログラムで、システムの構成要素をTYPEとよばれるサブルーチンで定義し、各TYPEの入出力関係とアルゴリズムを記述することでシステムを構築していく点に大きな特徴がある。本論文では、多様なシステム・制御に対応できるよう、オリジナルのHVACSIM^+に対して、新TYPEの開発、アルゴリズムの改良等を行い、種々の要素特性、制御方式、制御パラメータを有するいくつかのケースに対して動的シミュレーションを実行し、システムの動的挙動解析とエネルギー及び室内環境評価を試みる。また、いくつかのフォルトを含むケース結果により、エネルギー消費量と室内環境に基づくシステムフォルト検知の可能性についても議論する。
著者
朱 穎
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

自動車エレクトロニクス技術の開発における社会的技術的要因の確定、および技術開発の不確実性に対して、システムインテグレーターの自動車メーカーとしてどのように認識しているのか、という二つの問題について考察を行った。技術革新の社会的要因について、既存研究の中で技術の社会構成論が取り上げられているが、こうした議論が広範であるため、イノベーション発生の特定要因を分析するには限界がある。それに対しては、本研究ではテクノロジカール・フレームという分析視点を導入し、技術革新における関連社会集団の認識枠組みの構造とその相互作用に注目した。さらに、自動車技術の電動化が企業能力に与えるインパクトについて、非連続的イノベーションの文脈から考察した。既存企業が新規技術に対応できる原因について、組織ルーティンと経営資源の依存性という既存研究に加えて、マネジメント認識という認識フレームの重要性に注目した。イノベーションの非連続性という文脈から企業能力の重要性を考える際に、経営資源の蓄積という従来のリソースベースト・ビューがもつ静態的観点ではなく、経営資源の「探索」活動と「活用」活動を両立できるような動態的観点が重要である。