著者
杉尾 幸司 吉田 安規良 本多 正尚 松田 伸也
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.115-122, 2008-11-30
参考文献数
3
被引用文献数
1

児童生徒の理科に対する興味・関心等を育成することを目的として合宿形式の学習活動「中学生サイエンスサマーキャンプ」を実施した。実施内容として,森林内部の動植物の夜間生態観察やマングローブ林の生物観察,天の川と星座の観察,小型天体望遠鏡での木星・星雲の観察,地層の観察,タンパク質と脂肪の消化実験を計画した。沖縄県のように豊かで特色のある自然環境を持つ地域においては,生物観察などの野外活動は大変魅力あるプログラムであるが,日程の変更が容易でない宿泊型体験学習において,野外活動を主体とした計画は,天候に依存するリスクが大きくなる。今回の取り組みにおいても,実施当日は台風接近による悪天候にみまわれたため,夜間生態観察の代わりに室内でのスライドを使った講義を,星座観察の代わりに天体望遠鏡の構造や天球儀を用いた天体のみかけの運動についての講義を行うなど,実施内容の一部を代替プログラムに変更した。天候の影響を受けやすい内容に関しては,効果的な代替プログラムについても十分に検討する必要がある。全日程終了後のアンケート結果からは,取り組み内容の「おもしろさ」「わかりやすさ」に関して高い評価が得られた。また,「全体の印象」「来年の参加」などの項目についても高い評価が得られるなど,実施内容は参加者に高く評価された。大学が今回のような取り組みを通して地域社会への貢献により積極的に取り組むためには,現実に即した支援体制の充実が強く望まれる。
著者
宮国 泰史 福本 晃造 杉尾 幸司 古川 雅英
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.505-506, 2021

<p>沖縄県内の5つの中学校と科学教育プログラムに参加した中学1年生に対して、理数・科学に対する情意面の考えや意識を尋ねる質問紙調査を実施した。男女の意識差については学校・組織間で明確な差がみられ、「科学の楽しさ」、「広範な科学的トピックへの興味関心」、「科学に関連する活動」などの項目で、学校・組織間の違いが見られた。また、男女の意識差の小さい学校・組織ほど、進学や就職「以外」の場面においても、理数への好的な感覚を持っており、男女ともに将来、理数に関する職業に就きたいと考える傾向があった。</p>
著者
宮國 泰史 福本 晃造 佐藤 洋俊 大塩 愛子 杉尾 幸司 Miyaguni Yasushi Fukumoto Kozo Sato Hirotoshi Oshio Aiko Sugio Koji
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.179-187, 2018-02

現在の教育現場ではICT やデジタル教材の導入・活用が求められる一方で,導入検討の際に重要となるはずの,同一のテーマに対するアナログ教材とデジタル教材が学習者にどの程度の学習成果量の差を生むかに対する情報の蓄積は不足している.本研究では,論理的推論を育成する知育パズル玩具「Chocolate Fix」について,学習者が実物のパズルピースに触れて課題を解く従来型のアナログ玩具と,同じ課題をiPad のデジタルアプリケーションとして画面上で体験するデジタル玩具の二種類を用意し,この二種類のパズル玩具を用いた公開講座を小・中学生を対象に実施した.公開講座において受講生が規定時間内に解いた問題数を記録し,インターフェースの違いに対する受講者の学習成果量の差を比較した.また,受講生及びその保護者に対して実施したアンケートから,教材のインターフェースの違いに対する受講者の意識・感想の抽出にするとともに,教育現場におけるICT 機器の導入に対する保護者の意見を抽出した.調査の結果,受講生のiPad アプリ版の回答数と実物版の回答数と統計上有意な差は見られなかったものの,アナログ玩具での回答数がデジタル玩具での回答数を上回る傾向があった.一方で,「どちらをもう一度やりたいですか?」という設問に対しては,受講生の内9名はデジタル玩具を指向するなど,学習成果量と受講生の興味が必ずしも一致しない傾向がみられた.これらの結果をもとに,教育におけるICT 機器導入の有用性について議論する.
著者
城間 吉貴 北條 優 福本 晃造 レンゼッティ アンドレア 宮国 泰史 古川 雅英 杉尾 幸司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.335-336, 2020

<p>琉球大学では,科学技術振興機構の支援を受けて2018年度より琉球大学GSCプログラム(琉大カガク院)を実施している。この事業では,早期から高校生の基盤的能力を伸長させる機会を提供している。このプログラムによる受講生の能力・資質の伸長を把握するため,受講前と受講後に受講生の能力評価を実施した。その結果から,琉大カガク院の受講により,受講生の研究基礎力が多面的に成長していることが示唆された。</p>
著者
金城 満 杉尾 幸司
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.17-30, 2017

工業高校におけるデザイン教育とキャリア教育との共通部分に注目して, 学校行事における高校生の模擬店(Cafe)の企画・運営の実践をとおして,「社会人基礎力」の育成を図る実践研究を行った.具体的には,事前学習のためのICT教材を開発して実践前に必要な知識技術を学ばせた後,実際のCafe運営を体験させた.ICT教材の内容は,「社会から求められている能力」,「コミュニケーションとは」,「デザインの定義」,「社会人基礎力とは」,「マーケティング」,「アクティブラーニング(協調学習・ジグソー法)」,「コーヒー焙煎・抽出方法」の7項目から構成されている.Cafe運営実施前,実施後のアンケート調査からは,事前学習と実施体験が,知識と体験を一体化させる効果を生み,本実践が社会人基礎力の育成に効果的であり,デザイン教育と連携した取り組みがキャリア教育としての効果を向上させ,社会人基礎力の育成に生かせることが明らかになった.