- 著者
-
杉山 高秀
- 出版者
- 一般社団法人 日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.80, no.8, pp.1134-1140, 1989-08-20 (Released:2010-07-23)
- 参考文献数
- 14
排尿あるいは性機能に障害を訴える55人の患者を対象として, 挙睾筋反射を主とし, 球海綿体反射, 膀胱内圧測定などを組み合わせて測定した. 挙睾筋反射の測定は, 知覚閾値の約10倍の単発電気刺激で, 大腿内側皮膚又は, 陰茎背側皮膚を刺激し, 両側恥骨部の高さにおいて挙睾筋に刺入した同芯針電極によって導出した誘発活動電位について行なった. その結果, 神経学的に異常のない20人に対しては全例において挙睾筋反射を認め, その平均潜時は大腿刺激で72.5±4.5msec, 陰茎刺激で74.3±5.3msecであった. 平均バースト長は大腿刺激で55.2±3.5msec, 陰茎刺激で54.0±4.8msecであっ. これより挙睾筋反射は脊髄機能障害, 脳血管障害の患者においてはその脊髄内障害部位を測定するのに極めて有用であった. さらに, 膀胱内圧測定, 球海綿体反射などを組み合わせることによりさらに詳細な脊髄内障害部位診断が可能と考えられた.