- 著者
-
堀田 浩貴
熊本 悦明
- 出版者
- 一般社団法人 日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.85, no.10, pp.1511-1520, 1994-10-20 (Released:2010-07-23)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
-
5
3歳から84歳までの健康男子123例を対象として夜間睡眠時勃起現象 (nocturnal penile tumescence: NPT) と血中 free testosterone (以下FT) を測定し, その関連性を検討した. また6例の原発性低ゴナドトロピン性類宦官症例にも治療前後で同様の検討を行った.全年齢を通じ, 血中FT値と相関を認めたNPTの指標はNPT時間, 一回あたりのNPT持続時間, 陰茎周最大増加値そして陰茎周最大増加率であった.NPTの各指標毎にピークとなる年代で対象例を2群に分け検討すると, ピークとなるまでに血中FT値との相関を認めたのは, NPT時間, NPTの回数, 一回あたりのNPT持続時間, 弛緩時の陰茎周値, 陰茎周最大増加値, 陰茎周最大増加率の6項目全てであった.また6例の類宦官症例では, 治療後にNPT時間, 一回あたりのNPT持続時間, 陰茎周最大増加値, 陰茎周最大増加率が有意に増加した. これらのNPTの指標の増加に血中FT値の増加が重要なことがわかった.ピーク後もNPT時間, 一回あたりのNPT持続時間そして陰茎周最大増加値, 陰茎周最大増加率は血中FT値と相関を認め, これまで陰茎血管系の加齢性変化が主な原因とされた陰茎周最大増加値の減少傾向に, 血中FT値の低下も関与していることがわかった.今回の検討から, 勃起能を表すNPTが androgen の影響を強く受けていることがわかった.