著者
入澤 千晶 鈴木 謙一 中川 晴夫 菅野 理 加藤 弘彰 阿部 寛 石郷岡 学 石井 延久
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.267-271, 1991-03

A 62-year-old male visited our department complaining of left flank pain and urinary retention on November 6, 1989. Intravenous pyelography showed small stone shadows in bilateral ureters and lower calyx of kidney and the left kidney was not visualized. Endoscopically, calculi were seen in bilateral ureteral orifice. An ureteral catheter could not be passed up from there bilaterally. On November 13, 1989, January 24 and 26, 1990, calculi were passed out spontaneously. Analysis of the stones revealed silica calculus. The patient had a past history of duodenal ulcers. He was administered magnesium silicate and magnesium alminometasilicate as an anti-acid drug for ten years. Sixteen cases of silica calculus in Japan are reviewed.
著者
石井 延久 高波 真佐治
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

現在、勃起神経の局所の損傷を正確に診断できる神経機能検査はない。今回われわれは低周波電気刺激による勃起の誘発と神経の伝導時間の測定方法を検討した。先ず、現在インポテンスの神経学的検査として行なわれている球海綿体誘発筋電図による潜時(bulbo-cavernosus reflex latency time:BCR-L)についてインポテンス343例の臨床成績を検討した。結果は勃起が可能であった若年症例のBCR-Lに延長がみられたり、明らかに勃起神経に損傷を有する症例のBCR-Lが正常範囲であったり、必ずしもBCR-Lの成績と臨床像が一致しないことを明らかにした。そこで、われわれは低周波電気刺激装置を使用して勃起の誘発と陰茎背神経までの伝導時間の測定を試みた。方法は麻酔科領域で疼通治療に使用されている硬膜外脊髄電気刺激法による勃起の誘発と脊髄-陰茎背神経の伝導時間の測定を試みた。症例は重症感電による下肢の痙性疼通と排尿障害を伴うインポテンス患者である。この症例では脊髄陰茎背神経の伝導は障害されており、電気刺激による勃起は誘発できなかった。しかし、脊髄神経の刺激により、下肢の痙性疼通と排尿障害は改善した。本法は脊髄刺激の方法を改善することによりインポテンスの治療に応用するつもりである。このように脊髄刺激による陰茎背神経の表面電位の変化が容易に測定できることからインポテンス22例に経皮的に仙髄部に低周波電気刺激による陰茎背神経の表面電位変化の測定を試みた。結果は22例中17例に仙髄電気刺激による陰茎背神経の表面電位の変化が測定された。その結果、仙髄-陰茎背神経の伝導時間は平均7.79msecで、所家の報告とほぼ一致するデータであった。本法は経皮的に電気刺激するため侵襲がなく、外来で容易に施行できるよい方法と考えられた。
著者
石井延久
雑誌
Pharma Medica
巻号頁・発行日
vol.22, pp.162-168, 2004
被引用文献数
1
著者
入澤 千晶 石郷岡 学 渡辺 博幸 石井 延久 鈴木 騏一 菊地 悦啓
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.1193-1196, 1990-10

We have experienced 2 cases of intracavernous induration after injuries to the external genital parts caused by a motorcycle tank. Case 1. A 28-year-old male was admitted to our department complaining of painless indurations of the penile radix. Cavernosography showed segmental filling defect in left corpus cavernosum. Because erectile disturbance was noted, resection of the induration was carried out. Microscopic section of the excised tissue showed only fibrosis. Case 2. A 20-year-old male visited our clinic with chief complaints of induration of the penile radix and erectile disturbance. Corpus cavernosography demonstrated filling defect in bilateral corpus cavernosum. We recommended the resection of the indurations, but the patient refused. A brief review on etiology and therapy of intracavernous fibrosis was made.
著者
入澤 千晶 石郷岡 学 渡辺 博幸 石井 延久 鈴木 騏一 菊地 悦啓
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.1193-1196, 1990-10

We have experienced 2 cases of intracavernous induration after injuries to the external genital parts caused by a motorcycle tank. Case 1. A 28-year-old male was admitted to our department complaining of painless indurations of the penile radix. Cavernosography showed segmental filling defect in left corpus cavernosum. Because erectile disturbance was noted, resection of the induration was carried out. Microscopic section of the excised tissue showed only fibrosis. Case 2. A 20-year-old male visited our clinic with chief complaints of induration of the penile radix and erectile disturbance. Corpus cavernosography demonstrated filling defect in bilateral corpus cavernosum. We recommended the resection of the indurations, but the patient refused. A brief review on etiology and therapy of intracavernous fibrosis was made.
著者
小林 秀行 中島 耕一 上村 修一 永尾 光一 石井 延久
出版者
JAPANESE SOCIETY OF OVA RESEARCH
雑誌
Journal of Mammalian Ova Research (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.204-207, 2010 (Released:2010-12-03)
参考文献数
25

精巣組織に含まれる精原幹細胞は,精子の源となる細胞であり,一生の間に自己複製および精子への分化を絶えず行っている.最近,マウスにおける精原幹細胞に関しては, in vitroでの培養が可能となったが,ヒト精原幹細胞に関しては,まだまだ不明な点が多く,謎に包まれている.最近,体細胞に特定の遺伝子を導入することにより多能性幹細胞を誘導することが可能となり,人工多能性幹(iPS)細胞と呼ばれている.また,ヒト精巣組織から培養条件を変えることによって多能性幹細胞が誘導されたとの報告がなされた.このように,ここ5年間で幹細胞に関する研究分野は急速に発展している.これら幹細胞に関する研究は,将来的に男性不妊症の解明や治療に大きく貢献することが期待されている.今回,ヒト精原幹細胞およびヒト精巣組織由来の多能性幹細胞について最新の知見を含めて報告する.
著者
石井 延久 光川 史郎 白井 将文
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.136-144, 1977 (Released:2010-07-23)
参考文献数
8
被引用文献数
5 6

For the differential diagnosis of organic and functional impotence, we have used radioisotope penography to determine their rates of increase in penial blood flow at erection. In a further attempt to achieve the aim more conveniently, we recently tried to trace change in penial skin temperature concomitant with erection in 33 subjects, including 22 with impotence, 5 with Klinefelter's syndrome and 6 control cases.The trace in penial skin temperature—named as penothermocurve—was obtained after a visual sexual stimulation (V. S. S.). By way of comparison, radioisotope penography was applied in 23 of 33 test subjects.The results showed that, 6 among the 22 impotence cases who had no past ailments predisposed to organic impotence, revealed an average rise of 1.58°C in penial skin temperature after V. S. S., of 13 others with past history of trauma or others who were likely to lead to organic impotence revealed an average 0.77°C in penial skin. Of remaining 3 cases with psychotic impotence, an average temperature rise was 0.73°C. An average temperature rise of 5 Klinefelter's syndrome cases was 1.16°C after V. S. S. The 6 control cases revealed an average temperature rise of 1.28°C.In the 23 cases with radioisotope penograms, 15 B-type cases had an average rise of 1.23°C, while 6 A-type cases had an average temperature rise of 0.68°C. The other 2 cases without any responses in radioisotope penogram had an average temperature rise of 0.3°C after V. S. S.It has thus become evident that the cases with increasing penial blood flow with V. S. S. showed proportional increases in penital skin temperatures, indicating a satisfactory consistency between our tracing of penothermocurve and the radioisotope penography test in distinguishing functional from organic impotence. Our penothermocurve method, free of technical difficulties in handling R. I., simple and practicable anywhere, would be worthy of recommendation in objective differential diagnosis between functional and organic impotences.
著者
石井 延久 藤岡 知昭 新藤 雅章 胡口 正秀 近田 龍一郎 前原 郁夫 千葉 隆一 亀井 重郎 常盤 峻士
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.484-489, 1984 (Released:2010-07-23)
参考文献数
9

従来より埋没陰茎 (buried penis) のはっきりした定義は余りなく, 潜在陰茎 (concealed penis) も埋没陰茎に含まれると考えられることが多かった. しかし, 埋没陰茎は陰茎皮膚外板が極端に不足しているために陰茎が皮下に埋没してみえる奇形であり, 真性包茎を伴っているのが普通である.一方, 潜在陰茎は陰茎の皮膚は十分あるが, 肥満やその他の理由により陰茎が周囲の脂肪内にかくれてしまう奇形である. この場合は包茎の有無と陰茎の埋没に直接関連性はない. また両奇形とも陰茎は正常に触知されることにより micropenis とは鑑別できる.今回, 我々は10例の埋没陰茎に対してZ形成術を利用して陰茎形成術を施行し, 良好な成績であったので報告する. 症例は1歳~12歳の児童で術後経過は1カ月~3年観察している. 術後の合併症では1例が約3カ月位まで一過性の浮腫がみられたが, 他の症例はいずれも変形や機能障害はみられず, 二次手術を必要とした症例は1例もない.本手術は背面切開手術に比較すると術後の変形はなく, 自然の陰茎の形態が保れ, 手術方法も極めて簡単である. さらにZ形成術は術後に直線状の瘢痕を形成することがないので陰茎の如き機能的な器官の手術には広く応用できると考えられる.
著者
石井 玄一 田中 祝江 原 啓 石井 延久 松本 英亜
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.757-763, 2007-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
40
被引用文献数
1 1

(目的) クローン病患者における尿路合併症は比較的少ないが, その診断や治療に難渋することがある. 現在, それに対する治療指針はいまだ確立されていない. 今回, 我々はクローン病患者における尿路合併症の頻度, 診断, 治療について報告する.(対象と症例) 1994年1月から2002年5月の間, 社会保険中央総合病院にクローン病で通院中の1,551人を retrospective に検討した.(結果) 1,551例中75例 (4.8%) に尿路合併症を認めた. 内訳は尿路結石60例, 消化管膀胱瘻14例, 尿膜管膿瘍1例であった. 尿路合併症の診断を受けた患者のうち実際に泌尿器科を受診したのは41例 (55%) である. 内訳は尿路結石26例 (43%), 消化管膀胱瘻14例 (100%), 尿膜管膿瘍1例 (100%) であった. 尿路結石に対しては20例に保存的治療, 4例にESWL, 2例にTULを行い, 全ての症例で良好な結果を得た. 消化管膀胱瘻は12例 (86%) の症例で, 保存的治療で腸管の炎症をコントロール後に瘻孔, 炎症腸管の切除を行った. 尿膜管膿瘍は尿膜管, 責任腸管切除と膀胱部分切除を行った.(結論) 尿管結石の治療は非クローン病患者と同様の治療方法を行うべきと思われた. 消化管膀胱瘻は成分栄養等の保存的治療を先行させた後に外科的治療を行うことでQOLが早期に改善され, 腸管切除も回避できる可能性が示唆された.
著者
石井延久 渡辺 博幸 入沢 千晶 菊地 悦啓 川村 俊三 鈴木 騏一 千葉 隆一 常盤 峻士 白井 将文
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.954-962, 1986
被引用文献数
5

従来より,我々は器質的インポテンスの治療に陰茎プロステーシスの挿入手術を行っていた.しかし,我国では陰茎プロステーシスの挿入手術を希望する患者は実際には余り多くないことから,非観血的な方法が望まれていた.そこで我々は強力な血管平滑筋の弛緩作用を有するProstaglandin E_1(PGE_1)の陰茎海綿体注射が器質的インポテンスの治療に応用できるか否かを検討した.方法は22〜27Gの細い翼状針を用いて,2〜20mlの生理的食塩水に溶解したPGE_1 20μgを注入し,その前後の変化を陰茎温度とErectiometerで観察した.動注は血管カテーテルを用いて生理的食塩水20mlに溶解したPGE_1 20μgを注入した.結果はPGE_1を陰茎海綿体に注射した71例のうち,51例(72%)に完全勃起がみられた.のこる9例(13%)は不完全な勃起,6例(8%)は陰茎の増大のみ,5例(7%)は全く変化がみられなかった.完全勃起はPGE_1注射後2〜3分で陰茎の増大がおこり,約2〜3時間持続した.PGE_1により殆ど勃起のおこらない症例は高齢者や陰茎海綿体の萎縮,血管障害の疑われた症例に多くみられた.しかし,骨盤内手術など末梢神経障害や脳・脊髄など中枢神経に器質的障害のある症例でも,PGE_1の陰茎海綿体注射により,性交可能な勃起がみられたことから,今後はPGE_1の器質的インポテンスヘの治療に応用できることがわかった.一方,PGE_1の陰茎海綿体注射により完全勃起のおこらない骨盤骨折1例と糖尿症の2例の内陰部動脈造影を行ったところ,骨盤骨折症例では内陰部動脈の損傷があり,陰茎動脈は造影されなかった.この症例は血管性のインポテンスの合併があり,PGE_1の内陰部動脈へ注入によっても陰茎の温度は余り上昇せず,勃起も回復しなかった.しかし,糖尿病の2例はいずれも陰茎動脈まで造影され,PGE_1の動注により陰茎の温度の上昇がみられ,一過性ではあるが勃起の回復がみられた.このことから,PGE_1の動注が静注など投与方法を工夫することにより,将来血管性インポテンスの治療に応用できるようになるのではないかと期待される.
著者
白井 將文 滝本 至得 石井 延久 岩本 晃明
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.666-673, 2001-11-20
被引用文献数
3 1

(目的)われわれはEDが生活にもたらす影響やEDに関する受療行動とその阻害要因等について明らかにするため,一般市民に対してアンケート調査を実施した.(対象と方法)2000年4月,全国の30〜79歳の既婚男女を対象に郵送でアンケートを実施し,男性2,034人(回収率37%),女性1,820人(同38%)より回答を得た.(結果)男性回答者のうち29.9%がEDであることを自覚しており,また女性回答者のうち夫のEDを認識している割合は30.1%であった.これらの男女では,性交回数の減少や性生活に対する満足度が低く,EDの男性では23.6%が,またEDの夫を持つ女性の16%が夫婦生活に影響をもたらしていると答えている.しかし,これらED男性のうち医療機関に相談した者はわずか4.8%であった.このように医療機関を訪れない理由をみると「日常生活にさほど影響がない」「困ったことがない」「セックスに関心がない」などの回答が多くを占め,また受療阻害要因として「恥ずかしい」「どこの病院に行ったらよいかわからない」「費用が高い」などが多かった.最後に,EDに対する保険適用については「制限つきで保険適用すべき」を含め,男女ともに80%以上がED治療に対し何らかの保険適用をすべきと考えていることが判った.(結論)EDはかなりの頻度で認められたが,適切な治療を受けている者はわずか4.8%であった.一方,80%以上の男女がED治療に保険を適用すべきと考えていることが判明した.