著者
李 善愛 Sun Ae II
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.35-52, 2007-03-20

本研究は、村人が鯨とのかかわりを持って培ってきた地域文化に焦点を当てる。そして、村人の最後の捕鯨砲手や鯨肉専門店を営む韓国唯一の鯨解体士、3代目の鯨肉専門店経営者、鯨祭推進委員、漁業管理船船長とのインタビュー内容に基づき、1986年捕鯨モラトリウム前後における国際政治や社会変化の中、鯨とのかかわりを持ちながら築き上げていく地域文化の生成過程を明らかにする。
著者
李 善愛
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.35-52, 2006

本研究は、村人が鯨とのかかわりを持って培ってきた地域文化に焦点を当てる。そして、村人の最後の捕鯨砲手や鯨肉専門店を営む韓国唯一の鯨解体士、3代目の鯨肉専門店経営者、鯨祭推進委員、漁業管理船船長とのインタビュー内容に基づき、1986年捕鯨モラトリウム前後における国際政治や社会変化の中、鯨とのかかわりを持ちながら築き上げていく地域文化の生成過程を明らかにする。
著者
李 善愛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.181, 2009

本研究では、韓国のワカメ漁場利用慣行の地域的広がりを比較分析してその特徴を明らかにする。<br> 漁場は捕獲、採取される漁獲物や道具によってさまざまな種類に分類される。こうした漁場の種類の中には古い時代から行われてきたものが多く、もっとも古いのは竹防簾という定置網漁場と藿岩というワカメの天然漁場である。<br> 竹防簾は移動する魚を捕獲対象とする漁具漁場で個人が私有し、売買することができる。一方、藿岩はワカメ、イワノリのような海藻類やアワビ、サザエのような貝類などの定着性動植物を捕獲対象とする漁場で、村の共同体が漁場使用権を共有し、ほとんど売買することができない。<br>ところで、竹防簾漁場は現在韓国の南海岸の南海という特定地域を中心に分布しているが、藿岩は岩礁性海岸の地域に広く分布し、さまざまな形態の利用慣行がある。このような歴史性と地域性をもつ藿岩漁場のさまざまな利用慣行に焦点をあて、人間と自然環境とのかかわりの現在を考えたい。<br> 韓国で用いられる海藻の種類や量は多いが、その中で著しく多いのはワカメである。ワカメは日常の食料としてよく利用される。一方、非日常のお歳暮や中元のような贈答品、産婦の食事や一般人の誕生日の食事にも必ず用いられている。また、近代医学が発達した今日においてもワカメはお産の神への供え物としても欠かせない。<br> さらに、藿岩漁場で採れる天然ワカメは、量産性の高い養殖ワカメとは対照的に、珍奇なものとして、天然のものは健康によいという認識のもとで高級地域ブランド品になっているものもある。このようなワカメの社会・文化的利用と位置づけが経済的価値を高め、それと相応した形で天然のワカメが採れるワカメ漁場の利用形態は村ごとに異なり、しかも複雑な形で展開していると思われる。<br> 以上からみると、ワカメ漁場の韓国の現在におけるワカメ漁場利用形態は以下の3つの特徴にまとめることができる。<br> まずは、ワカメ漁場の使用権は大きく共有型と私有型に分けられるが、共有型が多数を占めている点である。<br> 次は、ワカメ漁場の割り当て方法は、くじ引きと輪番に分類することができる。両方とも漁場を一定数の区画に分けて割り当てしているが、くじ引きで漁場を割り当てる場合、毎年のワカメ生産量を参考しながら区画に配置する人数を調節する。輪番の場合は、班などの共同体構成員グループが決まった漁場の区画を年別に一定方向で順番に利用している。両者は、漁場の割り当て方法においては異なるが、共同体構成員間の漁場利用機会の平等性と公平性を図っている点は似ている。<br> その次は、ワカメの生産・分配形態は共同と個人に分かれる。こうした生産・分配形態を決める大きな要素は、1人当たりの漁場利用面積の大きさ、ワカメの販売先が確保できる消費地の有無やそれを決める村の立地条件などである。<br> しかし、ワカメ供給先の有無、共同体構成員の年齢構成とその一定人数の確保の可否などは、これらワカメ漁場利用形態の特徴である漁場の使用権と割り当て方法、生産と分配形態を持続あるいは盛衰を左右する大きな決め手になると思われる。
著者
李 善愛 Sun Ae II
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.175-196, 2000-03-21

韓国政府は10年余り前まで、「子供は男の子、女の子区別なく二人だけ産んでよく育てよう」という二人子政策を国民に勧めてきた。そして、今は子供は二人のみ産むのが常識となっており、兄弟が5女1男、6女1男などのように多いと珍しく思われている。これは子たくさん儲かるのを望んだの結果であろうが、多くは家を継ぐ男の子を産むため、肉体的、精神的、経済的負担をかかえながら子供を産み続けた結果であると思われる。韓国人の男児への選り好み度が高いのは、胎児の産み分けを手助けして検挙された医者の記事が毎年、マスコミを通して世間を騒がせることから十分裏付けることができよう。本稿では、男児信仰にまつわる韓国のお産文化を通して今昔における生命観の変化についてうかがうことにする。
著者
李 善愛 Sun Ae II
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.17-31, 2005-03-22

韓国では海藻の利用は多いが、とくにワカメは日常の食料だけでなく、近代医学が発達した今日においても命の尊さを司るため行われる儀礼の供え物として用いられている。また、安価の養殖ワカメが大量生産されているにもかかわらず、天然であることで高級贈答品としての社会・文化的価値を生み、経済的価値の高い商品として用いられている。同時に韓国ではワカメが採取できる藻場(岩)は土地と同じく不動産としての価値が付けられている。そのため、ワカメ漁場の所有・利用形態は村ごとに異なり、複雑であるが、ワカメ漁場の所有形態はほとんど共有であり、その利用形態は村民か漁村契員がくじ引きをし、共同で生産・分配するか個人で生産・所有するものとして特徴づけることができる。これはワカメに対する社会・経済・文化的価値が、独特のワカメ漁場の所有・利用形態を作り出していると思われる。なお、漁場面積は減り、漁業者数は毎年減少しているにもかかわらず、ワカメ漁場利用が綿々と続いているのは、ワカメ漁を行う村の生業形態が専業ではなく半農半漁であることと、ほとんどが海女によってワカメ漁が行われていることを明らかにした。
著者
李 善愛 山下 藍 Sunae II Ai YAMASHITA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.19-34, 2014-03-07

本論では、受講学生の動機づけと学習効果向上のためゲーミフィケーションに着目し、「ポイント付与」と「スコア表示」に焦点を当て、学習効果と動機づけにおける影響について明らかにした。現在使われている韓国語教材は、本学の教育環境や学習目標等が十分に考慮されていないため、受講学生のモチベーションを維持し、学習効果を向上させるには限界がある。そこで授業活動での検証結果を基に、ゲーミフィケーション要素を見直し、今後、授業活動を支える新たな韓国語教材を開発する上での留意点について論じる。
著者
李 善愛
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.15-27, 2008-03-07

セマングム干潟事業は、全羅北道郡山市・金堤市・扶安郡地域に多目的用地を確保するため、万頃川、東津川河口の干潟を開発して国際貿易港を建設するため政府と農漁村振興公社が資金を出して1991年に始まった。2011年完成を予定とし防潮堤33キロメートル築造、約4万ヘクタールを開発する国策事業である。開発した土地は淡水湖、食料団地建設などを計画している。セマングムは古くからの穀倉地帯で、有名な万頃・金堤平野があり、新しい玉土という意味をもっている。1996年に始和湖の水質汚染が社会問題になり、環境団体が淡水湖予定のセマングム湖の汚染を取り上げ、干拓事業の白紙化を要求する運動が始まった。そのため1999年には干拓事業を中断し、環境影響について1年余り調査をした。しかし、2001年に政府は環境親和的に順次開発することで、干潟流失などの環境問題を最小限にとどめるとして、当初の事業目的を実現するため、干拓事業を再開した。
著者
李 善愛
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-13, 2002-03-20

ハマグリ碁石は宮崎県日向市の伝統産業のひとつである。その歴史は約100年に至っている。しかし,原料となるハマグリは採りすぎによって日本国内での供給が難しく,その不足分はメキシコや東南アジアなどの海外から買い入れて補っている。また,囲碁人口も年々減っているのが現状である。そのため,関係業者はインターネットをとおして国内市場を含めて海外の碁石市場を開拓している。さらに毎年,囲碁大会を開き,囲碁への関心を呼び起こすことにも力を入れている。本稿では,日向灘のハマグリ碁石をとりあげ自然の生物体の資源化過程と,「伝統文化」の生成について歴史的な視点から考えてみたい。
著者
李 善愛
出版者
宮崎公立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、日韓両国のアマ(海士・海女)の地域別、年齢別、漁業活動について比較考察することで、東アジア沿岸地域の持続可能な資源管理や漁場利用のための民俗知モデル構築を試みた。