著者
朱 朝江 村岡 一信 水野 尚
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.146-155, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
16

トンボは季節を感じさせる身近な存在の一つであり,コンピュータグラフィックスによるトンボの表現は,景観シミュレーションやバーチャルリアリティなどの季節感を向上させる要素として期待できる.本論文では,空気力学に基づくトンボの飛翔モデルを提案する.本モデルでは,翅のはばたきによる力を考慮してトンボをリアルタイムで飛翔させる.トンボの飛翔の特徴である急上昇,急停止,ホバリング,急旋回などを行うことができ,さらに,空間に制御点を配置することでトンボの飛翔経路を容易に定めることができる.
著者
安斎 祐一 村岡 一信 千葉 則茂 齊藤伸自
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.658-667, 2000-03-15

近年,バーチャルリアリティなどの映像表現のために,動物のコンピュータグラフィックスに関する研究が行われているが,蝶などの昆虫の例は少ない.本報告では蝶の飛翔のリアルタイム表示を目的とした飛翔モデルを提案する.本モデルでは,翅のはばたきによる力によって蝶を飛翔させる.これにより蝶らしい飛翔,すなわち,ひらひら舞う様子を表現でき,モデルのパラメータ調整により実際の蝶の典型的な飛翔形態を表現することができる.
著者
千葉 則茂 大川 俊一 村岡 一信 三浦 守
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1722-1734, 1993-08-25
被引用文献数
23

樹業のCGによる画像生成は,自然景観のシミュレーションにおいて重要な位置を占しめ.庭園や公園,街路樹の並木など種々の建設計画における景観評価や,ヘリコプターなどの低空速飛行機用フライトシミュレータやドライビングシミュレータのための景観シミュレーションにおいては,特にリアルな樹木の表現が必要となる.筆者らの一部はこれまでに,一様な枝の分布,広葉樹のような丸みのある樹冠の形成および自重によらない枝の枝垂れ形状を実現するためには,受光量不足による枝の枯死,枝先の向日性を考慮した生長モデルが有効であることを示している.本論文では,更に,樹木の性質である(a)頂芽優性,(b)休眠芽の休眠打破および(c)枝の幹化をも考慮した生長モデルによれば,これまでの生長モデルでは得られない複雑な形状の枝振りが実現できることを示す.この生長モデルでは,ある種の「植物ホルモン」の存在を仮定することにより,これらの性質を実現している.このことは,樹木全体の形状を監視し生長の仕方を制御する「中央制御装置」のようなものの存在を必要とせず,それぞれの芽が「ホルモン濃度」の絶対値や変化分に応じて発芽と生長を行うことにより,樹木全体としての形状が制御されるということを意味し,単純な生長モデルの開発という観点からも興味深いものとなっている.これまでにこのような生長モデルは提案されていない.
著者
竹下 大樹 太田 真 田村 真智子 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.159-167, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
24
被引用文献数
2 1

本論文では,粒子ベースによる爆発火炎のビジュアルシミュレーション法を提案する.本手法は,粒子による離散的なラグランジュ記述による流体モデルに基づく数値シミュレーション法と,その粒子群の運動データからCG映像を生成するためのレンダリング法からなる.本流体モデルでは,炎粒子と空気粒子を用い,ナビエ・ストークス方程式における外力として温度差による浮力を,また粘性力と圧力は粒子を用いて離散化したモデルにより近似している.さらに,粒子間の熱伝導及び,熱ふく射を考慮している.本手法によれば,爆発火炎の湧き出しを伴う上昇や,上昇気流後方に起こる気流の巻き込み現象などが表現可能である.レンダリングには,Z‐バッファベースのボリュームレンダリングを適用している.
著者
松山 克胤 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.76-85, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
19

筆者らは,これまで風による樹木の揺らぎの効果音を自動的に付加するサウンドモデリング法を提案している.この提案手法は,樹木の枝と葉に対して,揺らぎの付加と効果音の生成をそれぞれ独立に行い,個々に作成された効果音を合成することで,樹木全体の効果音としている.本論文では,枝と葉の効果音の生成に対して,既提案手法とは異なる統計的なアプローチに基づくより効率的に動作する手法を提案する.
著者
小笠原 祐治 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-39, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
16
被引用文献数
4 6

よりリアルに自然景観を表現できるCG技術の開発がますます重要なテーマとなってきている.苔は日本庭園では欠くことのできない構成素材の一つであり,地面や燈籠などの石材物に苔が繁殖している様子は,風情のある印象を与える.本報告では,水辺,地形,植物や石材物などのその他の構成素材など,苔の繁殖に影響を与える生育環境を苔の繁殖シミュレーションに反映する方法を提案する.本手法では,粒子ベースの風の流れのシミュレーションにより,生育環境によって定まる温度,湿度および風速の局所的な分布を求め繁殖シミュレーションを行う.
著者
中川 大介 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.40-50, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
23

本論文では,建築等の完成イメージ図などに用いられるパース図を取り上げ,3次元幾何モデルから水彩パース図風画像を自動生成する手法について提案する.本手法は,水彩パース図の特徴である,輪郭が描画される,建物については彩色のはみ出しが無い,樹木などの建物以外の対象は簡略化されて描かれることが多い,淡い色彩が用いられることが多い,などの点を考慮したアルゴリズムの構成となっている.
著者
小田 泰行 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.51-60, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
17

本論文では,粒子ベースの溶岩流のビジュアルシミュレーション法を提案する.本手法では,粘性流体と熱移動のシミュレーションを基本として,溶岩流の特徴である,流れが扇状に広がる,温度によって粘性率が変化し冷却によって固化する,温度によって色が変化し溶岩流表面にクラストと呼ばれる黒く固化した部分が生じる,クラストが崩壊し明るい溶岩流が流出する,などの現象の表現を可能としている.
著者
藤本 忠博 大野 義夫 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.134-146, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

In this paper, we propose a framework of “fractal deformation” using displacement vectors based on “extended Iterated Shuffle Transformation (ext-IST)”. An ext-unit-IST is a one-to-one and onto mapping that is extended from a unit-IST, which we have proposed, and is basically defined on a code space. When the mapping is applied on a geometric space, a fractal-like repeated structure, which is referred to as “local resemblance in space/scale directions”, is constructed on the relationship between points on the domain and those on the range. By applying the mapping to displacement vectors given on a geometric shape, the shape can be deformed in the fractal-like repeated manner. This fractal deformation is easy to control by changing the displacement vectors intuitively. In addition, a continuous transition between a continuous deformation and a fractal deformation can be realized. We demonstrate how the fractal deformation technique produces attractive results by showing various examples.
著者
尹 新 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.108-110, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
7
被引用文献数
8 6

素材の経年変化はよく見られる自然現象であるため,金属の腐食や石の風化などの表現法の開発が活発に行われてきている.本論文では,木材の経年変化のビジュアルシミュレーション法について提案する.本文では,まず分枝を考慮した木材モデルの表現手法について述べ,次に木材の色および形状の経年変化を表現する手法について述べる.さらに,これらに基づくいくつかのシミュレーション例により手法の有効性を示し,最後に今後の課題について言及する.
著者
許琪 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.15(2002-CG-110), pp.25-30, 2003-02-14

これまでのCGにおける陶芸の研究には,粘土のシミュレーション,練り込みの表現法,貫入(ひび割れ)の生成法,および釉薬の発色の表現法などがある.本研究では,釉薬の中においても,色彩のみならず,非常に興味深い結晶パターンを呈する結晶釉の表現法を試み,亜鉛結晶釉のビジュアルシミュレーション法を構築するための拡張DLAモデルを提案する.
著者
千葉 則茂 海野 啓明 和田 誓一 村岡 一信 CHIBA Norishige KAINO Keimei WADA Seiichi MURAOKA Kazunobu
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D-2 情報・システム (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.p1742-1750, 1990-10
被引用文献数
8

泥のようなものを乾かしてできるひび割れは,粘着性の度合により乾いた地表面のひび割れからガラスのそれをも含むいろいろな形状を示す.もし,このようなひび割れ形状を生成できるような行動モデルが開発できれば理論的にもCGへの応用上も興味深い.本論文では,まずこれらの粘着性の違うひび割れ形状の特徴を解析し,ひび割れの行動モデルの構築のためのいくつかの仮定を示す.次に,これに基づいて粘着性の強さをパラメータとするひび割れの行動モデルを提案し,シミュレーション例によりその有効性を示す.更に,ひび割れの形状のコンピュータグラフィックスへの応用例,すなわちひび割れ形状による大理石模様や陶磁器のうわ薬のひび割れの表現例を示す.最後に,ひび割れの行動モデルを任意曲面上で動作できるように拡張するための今後の課題について言及する.
著者
中川 大介 山口 恵介 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.350-361, 2001-07-25
被引用文献数
2 4

近年, コンピュータグラフィックスにおいて非写実的なレンダリング法の研究が盛んに行われている. 本論文では, 挿し絵やテクニカルイラストレーションなどに用いられているペン画を取り上げ, 与えられた濃淡画像からペン画調画像を生成する手法について提案する. ペン画の基本的な技法には, 線で表す線描法と, 点の集まりで表す点描法がある. 線や点のサイズが表示デバイスの解像度に依存していると, 低解像度のデバイス(モニタなど)では線や点が連結して模様が認識されるアーティファクトの発生がさけられない. 本手法では線描の画像生成に1/fノイズによる揺らぎを与えた平滑化直線と呼ぶ濃度分布を持つ直線を用い, 点描の画像生成に平滑化点と呼ぶ濃度分布を持つ点を用いることでアーティファクトの発生を低減させることできる.
著者
小田 泰行 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.1142-1150, 2001-05-15
参考文献数
12
被引用文献数
6

形状モデリングにおいて,粘土を扱うような直感的な変形操作,すなわち,圧したり,曲げたり,延ばしたりするという素朴な変形操作が可能であれば,バーチャルな粘土細工が実現でき,教育あるいは芸術的創作活動のための造形ツールとして広い応用が期待できる.本論文では,粘土の形状変形のシミュレーションモデルとして,相互作用力の働く粒子群を用いた粒子ベースの粘土モデルを提案する.本モデルは,重力,粒子間に働く斥力,引力,摩擦力などの特殊な作用力,および外力のもとで運動する粒子群により,粘土の形状変形を実現する.粘土は,外力によって変形され,外力を取り除いても変形したままの形で残るという可塑性の性質を持つが,本モデルでは,粘土の可塑性が実現でき,圧す,曲げる,延ばす,などの基本的な変形操作のシミュレーションが可能である.In the shape modeling of deformable objects for Computer Graphics or Virtual Reality, if the intuitive physical modification operations as those used in real clay craft, e.g., simple modification operations like pressing, bending and extending, are possible, ``virtual clay craft'' would be realizable. Such a realistic shape modeling technique has many applications in the areas of education, art, amusement, virtual reality, and so on. In this paper, we propose a clay model implemented by employing the particle based numerical simulation method where every pair of particles receives specific virtual mutual forces each other. These virtual forces consist of gravity, attractive force, repulsive force, friction force and external force that realize clay-like deformation of objects. Actual clay has the property of plasticity where its shape remains as it was after the external forces are removed. Our clay model realizes not only the fundamental modification operations applied to clay but also the plasticity.
著者
村岡 一信 千葉 則茂 太田原 功
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1252-1258, 1995-10-20
被引用文献数
11

コンピュータグラフィックスによるリアルな自然景観のシミュレーションのためには, 季節感の表現法の開発が重要である.本論文では, 冬季の近接景観, すなわち庭園の石や灯籠などの積雪景観シミュレーションのための積雪モデルを提案する.本手法では, 少数のパラメタを指定することで, 冠雪などの代表的な積雪形状を生成することができる.