著者
服部 ほの花 山田 宮土理 中村 航 畑中 久美子 村本 真
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.88, no.809, pp.2116-2127, 2023-07-01 (Released:2023-07-01)
参考文献数
38

In this paper, interviews and measurements were conducted to clarify the architectural characteristics of earth and stone masonry huts around Mihara City, Hiroshima Prefecture. The results showed that the huts were used for ash burning as a fertilizer for agriculture and for making compost. In many cases, stone pillars were used for fire and decay protection, and horizontal or vertical members were sometimes inserted inside the earth-stone masonry walls. Furthermore, the results were compared with previous studies that investigated the surrounding area to determine the regional characteristics of the plan shape and specifications of the earth-stone masonry walls.
著者
中村 航 畑中 久美子 村本 真 山田 宮土理
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.143-154, 2022 (Released:2022-05-10)

本研究は,地震が多発し雨の多い日本においては珍しい,土を積んだ壁を有する建築に着目して,現地調査,材料実験および環境測定を行ったものである。現地調査の結果,小屋の構成について,構造形式や軸組部分との関係から分類を行い,用途や分布地域,および土積み壁部分の構成との関係を確認した。土積み壁から採取したサンプルを対象とした材料実験では,建物の鉛直荷重を支える強度があり,土だけで積む場合より,同時に石も積む場合の方が細粒の土を用いる傾向が確認できた。環境測定では,土積み壁を持つ建物は,外気温と比べて温湿度が安定しており,土の持つ蓄熱性と調湿性による効果が確認できた。
著者
中村 航 山田 宮土理 村本 真 畑中 久美子
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.25, no.60, pp.875-880, 2019-06-20 (Released:2019-06-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1 3

In Japan, the cob construction is often used for fences, but is rarely used for buildings. These buildings are being dismantled by aging and change of owner. We conducted measurement on the warehouse and the wall built with the cob construction method around the Yamanobe road in Nara prefecture. As a result, it is found that there is relationship between the structure of the warehouse, the area and the application. Furthermore, it was possible to estimate the construction method from the states of the mud wall.
著者
畑中 久美子 木村 博昭 村本 真 加藤 亜矢子
出版者
一般社団法人 芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.113-120, 2016 (Released:2018-12-24)

本論文では、「団子積み」と「練り土積み」と呼ぶ古来から日本にある、湿った土を積み上げる土壁構法に焦点を当てる。本論文の目的は、建築における土壁構法の選択肢を増やす事や、2つの構法の活用可能性を広げることを最終目標と捉え、その第一歩として、今後の建築のための記録を残すことと、2つの構法の違いおよび、版築や2つの構法に類似する土を積み上げる土壁構法に対する位置付けを明確にすることである。「団子積み」と「練り土積み」の施工特性を把握するため、以下の方法で研究を進めた。 1)「団子積み」と「練り土積み」構法の定義 2)「団子積み」と「練り土積み」の検証実験 2つの構法のいずれか、もしくは両方を用いた3つの建築や工作物によるプロジェクトの検証実験について、計画と概要、材料、道具、施工の要領をまとめ、工程、施工日数、人数等を比較、考察する。 3)1)〜2)を総合して、「団子積み」と「練り土積み」を用いた土壁構法の施工特性をまとめる。3つのプロジェクトと使用構法は下記のとおりである。 1.「公園灰屋」における「団子積み」 2.「藁葺き泥小屋」における「練り土積み」 3.「かまど」における「団子積み」と「練り土積み」の混合 検証実験の結果 「団子積み」と「練り土積み」の施工特性をまとめると、①施工速度が「団子積み」より「練り土積み」の方が速かったこと。②土に混ぜる水の量の目安が、「団子積み」の方が「練り土積み」より多かったこと、③土を練る際の藁は、「団子積み」では加え、「練り土積み」は加えなかったこと。などが挙げられた。本研究をとおして明らかになったことは、①「団子積み」「練り土積み」共、建物平面に曲面が多用されている場合は、型枠コストと、造形のしやすさの面で、型枠を必要とする版築よりも優位である。②「団子積み」より、「練り土積み」の方が施工速度が速く、乾燥期間も短いため、総工期を短かくすることができる。③ 1 日の壁の施工可能高さは「団子積み」「練り土積み」共600㎜程度である。さらに、版築や、2つの構法に類似する湿った土を積み上げる土壁構法に対する関係性を図示した。
著者
村本 真 矢ヶ崎 善太郎
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,文化財数寄屋建築を対象に現場診断結果を用いた耐震性能評価技術を開発する.本研究の目的は,合理的で信頼性の高い評価情報を得るべく,数寄屋建築を損傷させずに土壁と構造木材の材料特性を推定できる要素技術を提供することである.現地調査において,壁土と木材の材料特性が評価できれば,建物の性能評価に直接有益な情報とすることができる.さらに,薄い壁厚の土壁を有する架構の性能評価実験を通して,数寄屋建築のシミュレーション技術を構築する.数寄屋建築の地震時挙動のシミュレーションにより,効果的な耐震補強法を提案する.これらの要素技術を組み合わせて文化財数寄屋建築の保存設計に直接活用できる基盤を整える.