著者
坂東 浩司
出版者
東海大学文学部
雑誌
東海大学紀要 文学部 (ISSN:05636760)
巻号頁・発行日
no.15, pp.218-230, 1971-06
著者
東 浩司 戸部 博
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.241, 2005 (Released:2005-03-17)

花の匂いは被子植物の多様化をもたらした植物と昆虫との相互関係を仲介する重要な要素のひとつである.演者らはすでにアケビA. quinataとミツバアケビA. trifoliataおよびその雑種とされるゴヨウアケビA. x pentaphyllaの花の匂いの化学分析から、アケビは虫媒花的であり、ミツバアケビは風媒花的であること、また、ゴヨウアケビは質・量ともに中間的であることを示してきた.さらに、アケビの花の匂いは、その化学的特性から二つのタイプに分けられることも明らかになった.本研究では、さらにアケビのサンプル数を増やすことで、アケビの花の匂いの二つのタイプがはっきりと区別されるものなのかどうかを検討した.アケビの花の匂いのGC-MS分析を行った結果、22サンプル(個体)中7サンプルはβ-ミルセンが主成分(47%_から_92%)で、かつリモネンがほとんど含まれなかった(<3%)(タイプ1).一方、10サンプルではβ-ミルセン(36_から_53%)とリモネン(33_から_50%)が約1対1の割合(比率0.85_から_1.39)で含まれていた(タイプ2).さらに今回新たに、β-ミルセン(20_から_26%)とリモネン(57%_から_76%)が1対2_から_4(比率0.25_から_0.45)の割合で含まれているタイプが見られた(タイプ3).さらに、アケビ属3種すべてのサンプルの分子系統解析(葉緑体DNA8,800塩基)を行った結果、アケビとミツバアケビはそれぞれ単系統群になり、アケビでは種内変異は見られなかった.ミツバアケビでは種内多型が見られた.ゴヨウアケビでは5個体中3個体がアケビとまったく同じ塩基配列を示し、2個体はミツバアケビのクレード内に位置した.このことから、ゴヨウアケビはアケビとミツバアケビの両方向から雑種を形成していることが示された.
著者
坂東 浩司
出版者
北海道東海大学
雑誌
北海道東海大学紀要. 人文社会科学系 (ISSN:09162089)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.107-119, 1988

日本固有の事物や日本の文化的特徴を有する事柄の英訳法は, 文章の種類やその用途によって訳出法は異なるが, 大体次の六つの方法が考えられる。(イ)類似事物の英語相当語を代用する。(口)英語相当語に'Japanese'を冠する。(ハ)説明的表現にする。(二)日本語をそのまま英語化する。(ホ)日本語と, 英語相当語または説明的表現を併置させる。(へ)和英合成の複合語にする。本稿では, これらの英訳法の特徴を概説したうえで, LafcadioHearnの物語文学作品に焦点を絞り, それらの作品中に散見される日本文化に関する語彙が上述のどの方法によって英訳されているかを考察した。考察にあたっては, Edward G.Seidensticker訳による川端康成の小説『伊豆の踊子』, 『雪国』, 『千羽鶴』の三作品を中心とした他の翻訳者たちによる英訳法との比較考察をおこなうことによって, Hearnの特異点を浮き彫りにさせた。その結果, 彼の物語文学における英訳法は他の翻訳者たちのそれとは異なり, 随筆や論考における英訳法と同様の手法を用いているという結論を導くことができた。これは, Hearnが作家であると同時に研究者であるため, 彼にとっては物語文学が随筆や論考などの一連のジャンルの著作と同様に, 広義の日本研究の一環であり, 日本人の精神的特性を究明し, それを英米人に紹介するという彼の主要テーマの延長線上にあるためである。実際の創作過程において, 彼が日本の風俗・習慣や日本的色彩の濃い語彙を積極的に作品中に採り入れて英訳を試みているのも, こうした彼の執筆姿勢の反映であると見ることができると論及した。
著者
東 浩司
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

花の匂い特性の異なる近縁種の雑種個体が両親種とは異なる匂い特性(および花形態)を示すことにより、種分化が起こることが期待される.花の匂い特性が異なるアケビとミツバアケビ、およびそれらの雑種であるゴヨウアケビの匂い特性を調べた.ゴヨウアケビの匂い特性は両親種の中間的であったが、いくつかの個体は親種であるアケビ・ミツバアケビに見られない匂い物質を放出していることが分かった.セキショウは種内分類群として開花期が異なる二つの系統が知られている.両者の匂いを調べた結果、特に違いは無かったが、これまで天然物として知られていない匂い物質を放出していた.