著者
松尾 俊彦 内田 哲也 山下 功一郎 松尾 智江 川上 雄祐 人見 敏哉 多賀 幹治 眞田 達也 山下 祐介 蔵本 孝一
出版者
比較眼科学会
雑誌
比較眼科研究 (ISSN:02867486)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.3-12, 2018 (Released:2020-05-15)
参考文献数
23

岡山大学方式の人工網膜(OUReP)は光電変換色素分子をポリエチレン薄膜表面に共有結合した世界初の新方式の色素結合薄膜型である。光を受けて表面電位変化を生じ近傍の神経細胞の活動電位を惹起する。これまでの動物試験ではこの色素結合薄膜型人工網膜を20Gの眼内鑷子で掴んで網膜下に挿入していた。今回の報告では色素結合薄膜を網膜下に挿入する使い捨て注入器(OUReP Injector)を開発してウサギ模擬試験を行った。人工網膜注入器は色素結合薄膜を注入器先端から装填する先込め方式である。注入器本体と先込め器から構成される。注入器本体の先端は内径2mmの透明なチューブで、その中を注入器の押し棒が動き、押し棒は指を離すと注入器内部の押し棒周囲のコイル状金属バネによって自然に戻る。先込め器は平板上に内径2mmの透明チューブが固定してある。直径5-10mmの円形の色素結合薄膜を先込め器平板の切込み溝に立てて、溝とは反対側のチューブ口から25G眼内鑷子を突っ込み、切込み溝に立つ薄膜を掴んでチューブ内に引っ張り込む。先込め器のチューブと注入器先端のチューブとを透明な外筒チューブで連結して、先込め器チューブ内にある薄膜を注入器本体の先端チューブ内に先込め器用の押し棒で押し込む。先込め器を連結外筒チューブと一体で注入器先端チューブから外す。薄膜が装填された注入器先端チューブ中を27G 鈍針からの眼内灌流液で満たす。ウサギの実験的無水晶体眼8眼を使って注入器の動作性を確認する模擬手術を行った。25Gシステムの硝子体手術で38Gポリイミド針を使って網膜下に眼内灌流液を注入して網膜剥離を作成した。網膜凝固によって網膜剥離部に網膜裂孔を作成し、3mmの強膜創から人工網膜注入器を硝子体中に挿入し、その先端を網膜下に進めて薄膜を押し出した。その後、網膜下液を吸引して網膜を復位させ網膜裂孔周囲をレーザー凝固し、シリコンオイルを硝子体中に注入して手術を終えた。剖検して網膜下に色素結合薄膜が存在することを全例で確認した。この試験によってOUReP Injectorの技術的有用性が示された。
著者
蓮池 公威 松尾 俊彦 竹内 功 戸崎 幹夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.48, pp.300-301, 2001-10-15

In this paper, we explore a method for designing and analyzing artifacts from the viewpoint of interaction design. User's experience is shaped via interaction among users, artifacts, and environment along user's activity. We focuses on interaction design in earlier phase of product planning to shape better user's experience. We think it is best for our purpose to utilise and enhance scenario based design and skit performing method. Based on this idea, we carried out a case study, and propose a methodology for interaction design.
著者
平 由起 松尾 俊彦 中川 秀樹 松尾 信彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1581-1584, 1997-09-15

岡山県井原・湯原地区では1965年頃SMON患者が多発した。今回岡山大学眼科で岡山・井原SMON患者会の会員287人のうち検診を希望した来院可能な患者12人に対して,視力,ゴールドマン動的視野,眼圧,細隙灯顕微鏡,眼底,色覚,限界フリッカー検査を行った。SMONによる視野異常(中心暗点,求心性狭窄)は6例(50%)にみられたが,色覚障害は少なく,視神経障害程度も乳頭耳側の退色がみられるのみであった。SMONと視覚障害とに因果関係があると考えられたのは7例(58%)であったが,障害程度は軽い症例が多かった。SMONの全身症状と眼症状の重症度は比例する傾向にあるため,現在高齢者が多いSMON罹患者のうち,来院可能な患者は比較的全身症状が軽く,視覚障害の程度も軽かったと考えられる。
著者
野中 文貴 永山 幹夫 松尾 俊彦 白神 史雄 大月 洋
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.158-162, 2001-02-15

シートベルト着用下でのエアバッグ作動による眼外傷を2例経験した。症例1は助手席にいた62歳の男性。左眼は角膜内皮障害,虹彩離断,水晶体脱臼,硝子体出血,外傷性黄斑円孔を生じており緊急に手術した。術後,矯正視力は右眼1.2,左眼0.05であった。症例2は運転手の62歳,男性。左眼の角膜びらん,角膜内皮障害,網膜振盪,黄斑浮腫を認めた。受傷後1か月の左眼矯正視力は0.9であった。2例とも左眼のほうが右眼より障害が高度であり,また角膜内皮障害が強かった。エアバッグ眼外傷の予後は比較的に良好のことが多いが,症例1のように視力改善が不十分となる場合もある。今後,衝突安全装置のさらなる改善が望まれる。
著者
小山武士 松尾俊彦 鴨田浩明
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.587-588, 2012-03-06

情報システムにおいて、例えばSNSにおける投稿のように1処理毎にIDを付与して管理するような場合、大量のIDを迅速に発行することが求められる。このようなシステムにおいて、IDにランダム性が求められるようなケースでは、新たなIDを発行する際に、ランダムに生成された大量の既存IDとの重複の有無を確認する必要がある。そのためIDを発行するまでに要する時間が既存IDのボリュームに応じて増大するという課題がある。そこで本稿では、生成したIDに対応する配列のフラグをチェックすることで重複有無を確認する方式を含め複数の確認方式を提示し、その処理時間を比較し、安価に実装可能かつ実用的な方式を示す。
著者
中村 善紀 宮沢 健 井口 欽之蒸 北原 昇 松尾 俊彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.351-359, 1979-04-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
25

高山病は適切な処置をとれば, まことに治りやすい急性疾患であるが, 処置を誤れば死に至る疾病である. 昭和46年から昭和53年8月まで当院へ入院した19例の高山病患者について臨床的観察を行つた.対象患者は男17例, 女2例で, 年令は29才以下18例, 52才1例であつた. うち死亡2例であつた. 登山歴のあるもの11例で, そのうち5例は高山病を経験していた. 高山病をおこした山岳は槍ヶ岳(3,179m)が最も多く7例, 次いで穂高連峰(3,000m)5例であつた. 高山病19例の入院した季節は夏山シーズン14名, 冬山シーズン4例で, 死亡者2例は夏山にみられた.高山病発症時の症状と入院時の症状はかなり異なつておる. 一般に本症は低地に移送すれば症状は軽減するからである. その症状を大別すると脳症状, 呼吸器症状, 眼症状である. 低地に移すと脳症状は急速に改善するが呼吸器症状と眼症状は残るので, 高地性肺水腫や網膜出血として観察される.高所反応が現れたら可及的速やかに低地に転送すべきであつて, 脳症状が固定すると死の危険がある.
著者
守本 典子 松尾 俊彦 大月 洋
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集 第7回日本ロービジョン学会学術総会・第15回視覚障害リハビリテーション研究発表大会合同会議 プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
pp.70, 2006 (Released:2007-05-09)

目的:網膜色素変性の白内障手術の有効性と危険性、および患者のQOLの変化と満足度を調べること。 方法:岡山大学医学部・歯学部附属病院眼科にて、平成16年6月から18年3月までに白内障手術(無着色眼内レンズ挿入)を施行した12人21眼について、受診経過、手術合併症、視力変化などを診療録から検索し、術前の情報、見え方の変化、生活の変化、期待との乖離、手術して良かったか、などを患者から聞き取った。 結果:ロービジョン外来で初めて白内障手術を勧められたものが4人あった。難しいから、改善が期待できないからと、手術を保留にされていたものが1人ずつあった。同病の仲間からネガティブな情報を得ていたものが2人あった。しかし、全員が病態をよく理解し、主治医を信頼して手術を受けていた。矯正視力は改善17眼、不変2眼、低下2眼であった。自覚的変化は、視力の改善10人、不変2人、羞明の改善4人、悪化8人であった。また、読み能力は改善8人、不変4人、移動能力は改善6人、不変6人、日常生活全般では改善10人、不変2人であった。合併症は、後発白内障(レーザー治療)が7眼に生じ、一過性高眼圧(薬物治療)が1眼、前嚢収縮(レーザー治療)が1眼あったが、治療が奏効した。期待との乖離は、期待以上7人、期待通り2人、期待以下3人であった。全員が「手術して良かった」と回答した。 結論:1)8割以上で日常生活が改善し、悪化したものはなかった。2)後発白内障以外の合併症は少なく、重篤なものはなかった。3)羞明の増強が多かったため、今後は着色眼内レンズに変更する。4)「期待通り」より「期待以上」が多かった背景に、手術に消極的な医師と過度に不安を抱く患者の問題があると思われ、予後推定の手がかりを得るための検査法の探求と定期受診の徹底が望まれる。5)インフォームド・コンセントができていれば、結果に関係なく、満足が得られる。
著者
中村 善紀 宮澤 健 井口 欽之蒸 北原 昇 松尾 俊彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.445-452, 1979
被引用文献数
1

日本において高山病は通常3,000m以上の高度で登山者におこるが, 低地へ移送することによつて迅速に症状は改善され治癒するので, 本邦での剖検例は全く報告されていない. 当病院は海抜600mの地にあり, 日本アルプス最寄りの松本市にあるため, 毎年数名の本症患者が入院して数日間で軽快退院している. 最近2例の死亡者があり, 剖検の機会があつたので報告する.<br>症例1 23才 女 槍ケ岳(3,179m)に登頂し高山病にかかり, 低酸素血症, 錐体路徴候, 昏睡に陥り, 発病11日後に死亡した. 剖検では回復期の肺浮腫, 多数の出血巣, 肺胞内の硝子化した滲出物を認め, 脳で神経膠細胞増殖を伴う脳白質の血管周囲病巣を認め, 点状出血が多数認められた.<br>症例2 16才 男 唐松岳(3,100m)に登り高山病となる. 低酸素血症, 錐体路徴候, 昏睡を示し, 発病後5日で死亡した. 剖検では心疾患によらない著明な肺浮腫, 脳白質に限局した血管周囲性脱髄と出血が特異的であつた.<br>2例とも同じような臨床経過と, 肺浮腫と出血並びに脳白質の浮腫と点状出血を示した.

1 0 0 0 OA 高山病の研究

著者
中村 善紀 宮澤 健 井口 欽之蒸 北原 昇 松尾 俊彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.445-452, 1979-05-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
28

日本において高山病は通常3,000m以上の高度で登山者におこるが, 低地へ移送することによつて迅速に症状は改善され治癒するので, 本邦での剖検例は全く報告されていない. 当病院は海抜600mの地にあり, 日本アルプス最寄りの松本市にあるため, 毎年数名の本症患者が入院して数日間で軽快退院している. 最近2例の死亡者があり, 剖検の機会があつたので報告する.症例1 23才 女 槍ケ岳(3,179m)に登頂し高山病にかかり, 低酸素血症, 錐体路徴候, 昏睡に陥り, 発病11日後に死亡した. 剖検では回復期の肺浮腫, 多数の出血巣, 肺胞内の硝子化した滲出物を認め, 脳で神経膠細胞増殖を伴う脳白質の血管周囲病巣を認め, 点状出血が多数認められた.症例2 16才 男 唐松岳(3,100m)に登り高山病となる. 低酸素血症, 錐体路徴候, 昏睡を示し, 発病後5日で死亡した. 剖検では心疾患によらない著明な肺浮腫, 脳白質に限局した血管周囲性脱髄と出血が特異的であつた.2例とも同じような臨床経過と, 肺浮腫と出血並びに脳白質の浮腫と点状出血を示した.
著者
中村 善紀 宮沢 健 井口 欽之蒸 北原 昇 松尾 俊彦
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.351-359, 1979

高山病は適切な処置をとれば, まことに治りやすい急性疾患であるが, 処置を誤れば死に至る疾病である. 昭和46年から昭和53年8月まで当院へ入院した19例の高山病患者について臨床的観察を行つた.<br>対象患者は男17例, 女2例で, 年令は29才以下18例, 52才1例であつた. うち死亡2例であつた. 登山歴のあるもの11例で, そのうち5例は高山病を経験していた. 高山病をおこした山岳は槍ヶ岳(3,179m)が最も多く7例, 次いで穂高連峰(3,000m)5例であつた. 高山病19例の入院した季節は夏山シーズン14名, 冬山シーズン4例で, 死亡者2例は夏山にみられた.<br>高山病発症時の症状と入院時の症状はかなり異なつておる. 一般に本症は低地に移送すれば症状は軽減するからである. その症状を大別すると脳症状, 呼吸器症状, 眼症状である. 低地に移すと脳症状は急速に改善するが呼吸器症状と眼症状は残るので, 高地性肺水腫や網膜出血として観察される.<br>高所反応が現れたら可及的速やかに低地に転送すべきであつて, 脳症状が固定すると死の危険がある.
著者
蓮池 公威 松尾 俊彦 竹内 功 戸崎 幹夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.49, pp.64-65, 2002-11-05
被引用文献数
1

In this paper, we explore a method for prototyping user experiences by using scenario and skit performance technique. User's experience is shaped via interaction among users, artifacts, and environment along user's activity. We focuses on interaction design in earlier phase of product planning to shape better user's experience. We think it is bast for our purpose to use and enhance scenario-based design and skit performing method. Based on this idea, we carried out a case study of user participation, using our scenario description, skit performance, and observation framework.