- 著者
-
山下 祐介
- 出版者
- 日本社会学会
- 雑誌
- 社会学評論 (ISSN:00215414)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.4, pp.428-441, 2012-03-31 (Released:2013-11-22)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
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本稿では, 戦後日本社会における都市・村落の社会変動を, 社会移動および世代の観点から議論する. まず, 社会変動と社会移動の関係について確認したうえで, 日本社会の戦後史を地域間移動の観点から整理する. ここからは, 基本的には地域解体の様相が導かれるが, 他方で家族と世代という側面からこの社会史をひもとくと, 適応の側面も現れる. こうした議論のうえで, 戦後数十年の移動の展開結果として現れてきた, 広域システムの形成という観点から, 現在を位置づけてみたい. 社会移動を通じた広域システムの形成が, 今後さらにどのような社会変動へとつながるのかについては検討が必要だが, ここではこうした広域システムがもつリスクと, リスク回避の主体形成のあり方, そこで行われる意思決定過程について考察を行い, 21世紀の日本社会のあり方を, 現時点で可能な範囲で読み解く作業を行った.