- 著者
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板木 拓也
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2004
本年度は,学振特別研究員の採用最終年度として,これまでの成果をまとめつつある.論文発表としては,第一著者,共著ふくめて7編の原稿を学会誌に投稿し,そのうち4編が受理された(3編については現在審査中).6月に島根で行われた古生物学会では,シンポジウム「日本海の生物相の変遷と環境変動〜過去,現在そして未来へ向けて」を共同企画し,その成果を特集号として学会の邦文誌「化石」に掲載予定である.このシンポジウムでは,これまでに十分に整理されていなかった鮮新世から更新世における日本海の生物相変化を総括し,新たな研究の発展性が期待された.また,まだ不足している試料およびデータの収集を行った.5月に秋田の男鹿半島で行った野外調査では,これまでデータが得られていなかった中新世および鮮新世の微化石(放散中・珪藻)試料を採取した.10月下旬〜11月上旬には,日本海と東シナ海の間にある対馬海峡からプランクトン(放散中・有孔虫)の試料を採取した.これらの調査で採取された試料の処理はほぼ終了し,現在データの解析を行っている.近い将来,これらの成果について論文を執筆する予定である.この他,6月には熊本大学で共同研究者との研究の打ち合わせを行い,また,熊本大学所有の最新の顕微鏡画像解析システムを用いて,微化石標本の写真撮影を行った.この顕微鏡写真は,学会発表などで既に用いられ,また現在執筆中の論文にも掲載される予定である.