著者
沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.15, pp.52-55, 1999
被引用文献数
1 1

仮想現実との接触によって, 青少年に「健全な心身の発達に対して危惧される影」の影響が懸念される。本稿では, そのうち, 「性的問題行動の増大」に関して, コンピュータによるポルノ・ゲームの影響を他のメディアと比較検討した。その結果, ポルノ・ゲームは, 他のホラー・ビデオ, ポルノ・コミック, ポルノ・ビデオと同様, 青少年の性犯罪や性的逸脱行為に対する罪悪感を減少させる傾向が見られた。また, その刺激性は, ポルノ・ビデオやポルノ・コミックに及ばないものの, そのメディアに接触する際の後ろめたさは, 他のメディアに比べて少なくなる傾向が見られた。さらに, ポルノ・ゲーム特有の問題点として, 「登場人物を好きになる」「現実の異性に興味を失う」「登場人物が実在する気がする」などの気分が指摘され, 筆者独自の質問紙調査でも, テレビ・ビデオ・メディアに比べて, 実体験との混同や現実からの逃避などの傾向が有意に高く表れた。またコンピュータ・ゲームでは, 年齢と現実の異性への興味との間に全く相関が見られず, 仮想体験の影響が長期に及ぶ可能性も示唆している。
著者
宮田 仁 大隅 紀和 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.3-13, 1997

Logoによるプログラミングの学習で伸長した問題解決能力が, プログラミング以外の他の状況に転移するかという問題を, 指導方法との関係で分析した. その結果, 間題解決のプロセスを重視したアプローチでプログラミングを指導した場合, 間題解決能力の転移が起こりやすいことが「ハノイの塔問題」という解析的課題において実証された. プロセスを重視したアプローチでは, (1)構造化されたワークシート, (2)メタ認知を促進する教育的介入方法, (3)社会的状況場面で学習者がリフレクト(内省)できる学習環境の準備が必要であり, 具体的方法としてメタ認知促進カード(Metacognitive Prompt Card)をペア学習で使用した.
著者
藤本 光司 照田 昇 葛 崎偉 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.274-275, 2011-08-20

京都市立洛陽工業高等学校(以下,R工業高)に新設された創造技術科の創造探求科目「創造基礎」の授業に,7名の教員チームを組織し取り組んでいる.本授業は,1年生5クラスを対象に週1回100分(2限)の設定で,設計製図や工具・工作機械の扱い方など,ものづくりの基礎学習を通じて製作実習に取り組む一方,これら一連の学習過程でコミュニケーション演習やチームビルディング演習を随時設定している.社会人基礎力の育成をめざした教育プログラム設定は,学習者の主体性を重視し能動的に活動できるアクティブラーニングの教育手法(授業のしかけ)が重要と考える.本稿では,この授業の取組を報告する.
著者
沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.27-34, 1999-03-31 (Released:2017-05-27)
参考文献数
9

「たまごっち(1)」などの携帯型動物飼育ゲームに強い興味・関心を持つ小学生が,生命や動物飼育に関してどのような意識を抱いているかを,質間紙法によって調査した.その結果,低学年の4割近く,6年生においても約2割の児童が,ゲームの中の動物を「生きている」と認識していることが判明した.また,それらの意識とゲームに対する興味・関心との間には,有意な正の関連性のあることが浮かび上がった.しかし,ゲームに対する興味・関心は,実際の動物飼育に対する興味・関心とも有意な正の関連性があり,実体験への橋渡しになる可能性を示唆している.
著者
井上 史子 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.3-14, 2004-03-20 (Released:2017-05-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1

先行研究より,これからの子どもたちには情報を批判的に読み解き活用する力が必要であり,その力を育成することにより,主体的に学ぶ態度の変容も期待できると考えた.本論文では,小学校におけるメディアリテラシーを育成する授業での児童の主体的学習態度に着目し,児童による自己評価と教師による観察を基に,学習者の主体的学習態度の変容をめざした授業のあり方について,量的,質的な分析を行った.その結果,主体性は関係的であり,学習内容や使用する教材,学習者の心身の状態や学習環境に影響されやすいものであること,主体性を発揮するには自己表現力の向上が欠かせないこと,主体性を生かす授業形態として個別学習が有効であることなどが示唆された.
著者
沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.14, pp.62-65, 1998-08-03

昨今、小学生を中心に、「たまごっち」などの動物飼育ゲームが大流行している。動物飼育に関して、ゲームの中での仮想体験と小学生の意識には、どのような関連性があるのかを、質問紙法によって調査した。その結果、6年生でさえ、約2割の児童が、ゲームの中の動物を「生きている」と認識していることが判明した。また、ゲームの仮想体験に対する意識と、動物の飼育経験やゲームに対する興味・関心との間に、一定の関連性があることも浮かび上がった。しかし、ゲームに対する興味・関心は、実際の動物飼育に対する興味付けにも役立ち、実体験への橋渡しになる可能性も示唆している。
著者
井上 史子 沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.13-20, 2006-02-28 (Released:2017-05-19)
参考文献数
8
被引用文献数
1

本研究は,自主性をはじめとする教師の主観に頼りがちな情意的教育目標の達成度を客観的に測定することにより,それらを育成するための有効な方法論を確立することをめざした実証研究の第一弾である.中学校教育現場においては,教育目標としてしばしば主体性や自主性という言葉が用いられる.主体性とは,学校教育の中で,子どもたちが何ものにもとらわれずに自らの言動の主体として自己決定する態度や,自ら課題を選択・判断する力を意味する.しかし,これまでの先行研究[1]において,これらの力を学校教育の中で育成することは極めて困難であることが明らかにされてきた(井上・林,2003).学校社会で子どもたちに求められるのは,教師があらかじめ設定した課題や役割に対して積極的に取り組む姿勢や態度である.それはむしろ主体性と言うより,自主性と呼ぶ方が適切であると考えられる.本論文では,中学校において,生徒の自主性を測定するため,20の質問項目からなる100点満点の尺度を構成した手続きと,今後の研究の方向性について述べた.
著者
林 徳治 泉 廣治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.49-56, 1995-11-30

平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震において発震直後に見られたさまざまな状況の中から,情報にかかわる防災課題について分析を試みた.その結果,組織・被災者の対応行動を支える災害情報の収集・伝達システムが未整備であり機能しなかったことや,その根底に社会を構成する個々人の情報活用能力の未熟という課題の存在が明らかになった.今後,災害に強い社会を構築するためには,自然科学的な面での防災対策だけでなく,社会を構成するすべての人々に対する災害時にも機能する情報活用能力の育成が不可欠である.こうした情報活用能力育成に向け,情報教育が取り組むべき内容を明らかにした.
著者
林 徳治 黒川 マキ 井上 史子
出版者
山口大学
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13468294)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.133-140, 2003-08-31

本稿は、パキスタン国立アラマイクバル公開大学(Allama Iqbal Open University, Islamabad : 以下 【AIOU】と略す)における遠隔教育のためのマルチメディア教材開発プロジェクトの活動報告について論述した。筆者のうち林は、国際協力事業団(Japan International Cooperation Agency : JICA)の短期派遣専門家として2003年3月18日~同年5月3日の間、AIOUにおけるマルチメディア教材開発の現状調査および任地のカウンターパートであるサイエンス学部長の協力によりスタッフを対象としたマルチメディア教材開発能力の向上を目的としたSD(staff development)支援を実施した。黒川、井上は、SD研修のための教材作成補助として協力した。 任地でのインタビュー調査の結果、マルチメディア教材開発における大学スタッフの習熟度は、デザイン、 素材編集(動画、ナレーション、静止画、コースウェア)、技術(知識・スキル)の面で概ね良好であった。しかし、遠隔によるCD教材利用の学習と対面授業による学習との教育効果の比較調査、マルチメディアCD教材利用に対する学習者の意欲などを情意関心面を調査する内容・方法などが確立されていなかった。そこで筆者(林)は、マルチメディア教材の開発過程において設計・実施・評価および改善の標準モデルを考察した。特に不十分であった評価の点を重視し、SD用教材や資料を用いて研修を実施した。 なお本件に関しては、日本教育情報学会第19回年会(2003,8)にて発表した。
著者
沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.27-34, 1999-03-31
被引用文献数
1

「たまごっち(1)」などの携帯型動物飼育ゲームに強い興味・関心を持つ小学生が,生命や動物飼育に関してどのような意識を抱いているかを,質間紙法によって調査した.その結果,低学年の4割近く,6年生においても約2割の児童が,ゲームの中の動物を「生きている」と認識していることが判明した.また,それらの意識とゲームに対する興味・関心との間には,有意な正の関連性のあることが浮かび上がった.しかし,ゲームに対する興味・関心は,実際の動物飼育に対する興味・関心とも有意な正の関連性があり,実体験への橋渡しになる可能性を示唆している.