著者
沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.15, pp.52-55, 1999-11-11
被引用文献数
1 1

仮想現実との接触によって, 青少年に「健全な心身の発達に対して危惧される影」の影響が懸念される。本稿では, そのうち, 「性的問題行動の増大」に関して, コンピュータによるポルノ・ゲームの影響を他のメディアと比較検討した。その結果, ポルノ・ゲームは, 他のホラー・ビデオ, ポルノ・コミック, ポルノ・ビデオと同様, 青少年の性犯罪や性的逸脱行為に対する罪悪感を減少させる傾向が見られた。また, その刺激性は, ポルノ・ビデオやポルノ・コミックに及ばないものの, そのメディアに接触する際の後ろめたさは, 他のメディアに比べて少なくなる傾向が見られた。さらに, ポルノ・ゲーム特有の問題点として, 「登場人物を好きになる」「現実の異性に興味を失う」「登場人物が実在する気がする」などの気分が指摘され, 筆者独自の質問紙調査でも, テレビ・ビデオ・メディアに比べて, 実体験との混同や現実からの逃避などの傾向が有意に高く表れた。またコンピュータ・ゲームでは, 年齢と現実の異性への興味との間に全く相関が見られず, 仮想体験の影響が長期に及ぶ可能性も示唆している。
著者
沖 裕貴
出版者
中部大学大学教育研究センター
雑誌
中部大学教育研究 (ISSN:13497316)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-18, 2017-12-20 (Released:2018-02-14)

本稿では、カナダおよび世界各国の制度的な教育専念教員ならびに実質的な教育専念教員に関する実態とその導入の背景や特徴、課題についてまとめたものである。カナダをはじめ一部の国々では終身雇用で教授職への昇進を含めた教育専念教員制度が確立しており、大学内での彼らの貢献の評価は高く、彼らの自らの職位に対する満足度も極めて良好である。また、一部の国々では国としての施策には反映されていないが、教員個人や大学ごとに教育と研究のバランスを個別に調整するところも多い。これには各国とも、多様な入学者の増加と教員の負担増、公的研究費の相対的減少、研究の重視と教育効果の説明責任の拡大などの高等教育を巡る情勢の変化が背景となっている。教員団を分断し、教育と研究の両立の理念を破壊する懸念もあるが、なし崩し的に進んでいるこれらの事態に対し、新たな教員像、大学像を模索するともに、研究としての教授・学習の学識(SoTL)の認知と人事考課への反映が急がれる。 This paper attempts to describe the actual conditions of institutional and substantial teaching-stream faculty (teaching-centered faculty members) in Canada and several advanced countries, and consider their backgrounds, characteristics and issues. Not only in Canada but also in some countries the system of teaching-stream faculty including a full-time faculty appointment and opportunities to promote to a professor has already been established, and their contributions have been highly evaluated by their colleagues while they have been so much satisfied with their positions. In some other countries the national policy relating to teaching-stream faculty has not been introduced yet, but the balance of teaching and research is separately adjusted according to an individual and a university. In the background they are similarly facing the drastic changes in higher education such as an increase in diverse enrollment and teaching burdens, a relative decrease in public research funds, more emphasis of research results, and gradual expansion of accountability of the teaching effects. Though those actions may raise a serious concern about resulting in the development of a two-tiered faculty environment and destruction of the traditional balance of teaching and research, a new concept of faculty and university must be pursued towards these inevitable shifts, and at the same time, especially in Japan, individual faculty evaluation should be revised as quickly as possible so that it may reflect on scholarship of teaching and learning as academic work.
著者
沖 裕貴 井上 史子 林 泰子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.28, pp.166-169, 2012-08-25

2012年3月に公表された中教審大学分科会の審議のまとめ「予測困難な時代において生涯学び続け,主体的に考える力を育成する大学へ」では,学士課程教育の質的転換を促進・強化するために,学位プログラムで育成する能力の明確化と各授業との関連性の明示化,学修時間の増加や学修成果を重視した評価の導入等を喫緊の課題として提示している。これらは2009年の中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」で示された「3つのポリシーの明確化」をよりいっそう推進し,単位制度の実質化につなげ,教育評価の客観性・厳格性・公正性を担保しようとする提言に他ならない。欧米,とくに米国において大学教育に活用されているルーブリック評価は,科目の成績評価(総括的評価)の客観性・厳格性・公正性を増大させるのみならず,日常的な形成的評価やライティング・センター等の他機関との協働学習支援にも有効であると言われている。日本の初等中等教育や米国大学教育等のルーブリック評価の導入事例から,日本の大学教育に導入するために,どのようなルーブリック・テンプレートが利用可能か,あるいはどのような手続きや研修が必要なのかを具体的に検討するとともに,その課題を吟味したい。
著者
沖 裕貴 宮浦 崇 井上 史子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.17-30, 2011-02-15 (Released:2017-03-30)
参考文献数
14

国立大学法人を中心に中期目標・中期計画の第二ラウンドが始まり,多くの大学で学士課程教育の一貫性構築のための3つのポリシー(DP:Diploma Policy,CP:Curriculum Policy,AP:Admission Policy)の明確化が最初に取り組むべき課題として浮上してきた.「カリキュラム・マップ」,「カリキュラム・ツリー」というチェック表をどのように作り,どのように使うのか.また何に役立ち,どのような課題があるのか等,これまでの先進大学での事例に基づいてその具体策を考察する.
著者
宮浦 崇 沖 裕貴
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.174-177, 2012-08

立命館大学では、教育改革活動全体を包括的に評価することを目的とした取り組みとして「教育改革総合指標・行動計画(Total Education Reform Indicator:TERI)」に基づいた教育改善活動を2007年度よりおこなっている。本稿は、その取り組みの一環として、学部等の各教学機関の行動計画策定支援の内容、および支援システムの更新についてとりあげるものである。人材育成目的・教育目標の達成を目的とするロジックツリーを構築することによって、各行動計画の妥当性を検証し、各行動計画の策定、実施(進捗管理)にあたっては、PDCAサイクルの仕組みを意識することができるよう工夫した取り組みである。
著者
沖 裕貴
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.11-18, 2004

国立大学は,平成16年4月より国立大学法人に移行する.さまざまな大学改革,教育改革が目白押しの中,大学評価を巡る情勢も大きく変化しつつある.教育評価に関しては,設置審議会などの事前の機関審査から大学基準協会や大学評価・学位授与機構,あるいは日本技術者教育認定機構などによる事後の認証評価に置き換わりつつある.認証評価体制では,結果(outcome)の挙証が最も重要となる。各大学の理念,教育・学習目標に対して,それを具体化するカリキュラムや授業,修学支援施策などの教育システムの有効性を,証拠を挙げて示さなければならない.またそれと同時に,それらの教育システムで学んだ卒業生が,そのシステムに対してどの程度満足感を得たかも示す必要がある.本研究では,大学における卒業時満足度尺度を構成し,認証評価に対応する手立てを提供すると同時に,教育システムの改善点や経年的な変化を可視化し,さらなる改革に資することを目的としている.
著者
沖 裕貴 OKI Hirotaka
出版者
名古屋大学高等研究教育センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.5-22, 2015-03 (Released:2015-04-17)

本稿は、「学修支援」に関する一つの効果的な取り組みとして、国内外の多くの大学で取り組まれているピア・サポート・プログラムの典型例を概観する。事例としては、アメリカからピア・リーダーシップ・プログラムとピア・テュートリアル・プログラム、国内から愛媛大学のステューデント・キャンパス・ボランティア、法政大学のピア・ネットおよび立命館大学のピア・サポート・プログラムを取り上げる。そのおもだった活動を紹介するとともに、ピア・サポート・プログラムの位置づけと長所を整理する。さらに立命館アジア太平洋大学と三重大学の事例をもとに、ピア・サポート・プログラムに欠かせない研修とプログラム間の連携の在り方についてまとめ、本プログラムの展望を示す。次に近年、国内において注目を集める「学生FD スタッフ」の活動を取り上げ、その定義と位置づけを再確認するとともに、ピア・サポーター、学生FD スタッフ双方を含む新たな学生参画のカテゴリーとして、FD(Faculty Development)に特化しない新たな「学生スタッフ」と呼ばれるカテゴリーを提案し、その定義と位置づけを示すことを目的とする。This study examines several typical Peer Support Program examples, such as the Peer Leadership Programs and the Peer Tutorial Programs conducted in the US, and the Student Campus Volunteers, the Peer Net, and the Ritsumeikan Peer Support Programs conducted in Japan through a review of the effectiveness of the learning support activities and by summarizing the role of the peer supporters and highlighting the advantages of the various programs. To identify the future of these programs, the required training for the program and the program alignment are examined through case studies at Ritsumeikan Asia Pacific University and Mie University. Through a detailed examination of the Student FD Staff activities, a subject which recently attracted attention in Japan, the definition and the position of the Student FD Staff was reconfirmed. A further student engagement category “Student Staff,” is then proposed, which encompasses the present Peer Supporters and Student FD Staff apart from the activities of faculty development.
著者
沖 裕貴 宮浦 崇 林 泰子 井上 史子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.74-77, 2011-08-20

アメリカではユニバーサル化の進展に伴って1970年代後半から全米の州立大学やリベラルアーツ・コレッジの一般教育で初年次教育が取り組まれ始めた。そして,その初年次教育に欠かせないものがピア・リーダーシップ・プログラム(peer leadership program)である。ピア・リーダーシップ・プログラムとは,成績やリーダーシップ,初年次教育セミナーの経験をもとに選抜された上級生か,訓練を受けた後,主に(1)オリエンテーション・プログラム,(2)リメディアル授業,(3)アカデミック・アドバイジング,(4)寮生活における新入生対象プログラム等に従事するものである。本稿では,アメリカのピア・リーダーシップ・プログラムに類似する活動として,立命館大学を中心に我が国の各大学で取り組まれているピア・サポート制度等の学生参画の制度を紹介し,その定義と分類,活動の内容,成果と課題について報告,検討する。
著者
沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.14, pp.62-65, 1998-08-03

昨今、小学生を中心に、「たまごっち」などの動物飼育ゲームが大流行している。動物飼育に関して、ゲームの中での仮想体験と小学生の意識には、どのような関連性があるのかを、質問紙法によって調査した。その結果、6年生でさえ、約2割の児童が、ゲームの中の動物を「生きている」と認識していることが判明した。また、ゲームの仮想体験に対する意識と、動物の飼育経験やゲームに対する興味・関心との間に、一定の関連性があることも浮かび上がった。しかし、ゲームに対する興味・関心は、実際の動物飼育に対する興味付けにも役立ち、実体験への橋渡しになる可能性も示唆している。
著者
沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.27-34, 1999-03-31
被引用文献数
1

「たまごっち(1)」などの携帯型動物飼育ゲームに強い興味・関心を持つ小学生が,生命や動物飼育に関してどのような意識を抱いているかを,質間紙法によって調査した.その結果,低学年の4割近く,6年生においても約2割の児童が,ゲームの中の動物を「生きている」と認識していることが判明した.また,それらの意識とゲームに対する興味・関心との間には,有意な正の関連性のあることが浮かび上がった.しかし,ゲームに対する興味・関心は,実際の動物飼育に対する興味・関心とも有意な正の関連性があり,実体験への橋渡しになる可能性を示唆している.