著者
稲葉 洋平 大久保 忠利 杉田 和俊 内山 茂久 緒方 裕光 欅田 尚樹
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.31-38, 2014 (Released:2014-01-29)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

Objective: To determine constituents of fillers and mainstream smoke from Neo Cedar. Methods: Neo Cedar is a second-class over-the-counter (OTC) drug and similar to cigarettes in a number of ways. In particular, the design and usage are very similar to those of cigarettes. For the fillers of the drug, the levels of nicotine, tobacco-specific nitrosamines (TSNA), and heavy metals, and mutagenicity were determined using the methods for cigarette products. For the mainstream smoke, the levels of tar, nicotine, carbon monoxide (CO), TSNA, polycyclic aromatic hydrocarbons (PAH), and carbonyl compounds were also determined using the methods for cigarettes. The mainstream smoke from the drug were collected with a smoking machine using two smoking protocols (ISO and Health Canada Intense methods). Results: The nicotine and total TSNA levels in the fillers of the drug averaged 2.86 mg/g and 185 ng/g, respectively. The nine species of heavy metals were also detected in the fillers of the drug. The levels of nicotine, tar, CO, TSNA, PAH, and carbonyl compounds of mainstream smoke from the drug were higher when determined using the HCI regime than when using the ISO regime. The mutagenicity of the mainstream smoke determined using the HCI regime was also higher than that determined using the ISO regime. Conclusion: In this study, all constituents of Neo Cedar were determined by methods for cigarette products. The drug had a ventilation hole on its filter. Thus, its constituents are different from those determined by the smoking protocols. Neo Cedar users should be careful of higher exposure to the hazardous gases owing to smoking patterns.
著者
緒方 裕光 馬替 純二
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.331-340, 2005-12-01
参考文献数
58

In this paper, an outline of the biological and epidemiological evidence for radiation protection is presented together with the strengths and limitations of these studies in radiation risk evaluation. Various types of research can provide useful information to complement the risk estimates based on atomic-bomb survivor studies, particularly the effects of low-dose and lowdose rate radiation. Some basic issues in synthesizing scientific information for radiation risk evaluation are also discussed.
著者
緒方 裕光
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.173-179, 2023-08-31 (Released:2023-09-17)
参考文献数
32

統計的多重性の問題と多重比較の方法は,データ解析における重要課題の1つである.1950年代から現在に至るまで,一元配置分散分析の結果に応じて複数群の平均値を比較する方法として,様々な多重比較の方法が開発されてきた.近年,臨床試験において複雑な研究デザインが用いられるようになり,統計的多重性の問題はさらに重要になっている.多重比較は統計的多重性の問題を解決するためのアプローチであり,研究の科学的意義を高めるためにも研究計画の段階から適切な多重比較の方法を選択する必要がある.本稿では,統計的多重性の問題の基本的考え方を述べるとともに,多重比較の代表的方法の特徴と留意点について概説する.
著者
緒方 裕光
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.30-35, 2023-02-28 (Released:2023-03-12)
参考文献数
30

多くの科学分野においてP値に基づく統計的仮説検定は,主要な統計解析方法の1つとして広く使われている.しかし,近年この方法が持っている本質的な問題点が指摘されるようになってきている.2016年には,アメリカ統計学会(American Statistical Association, ASA)がP値の誤用や誤った解釈に対して警告を発している.現在一般的に用いられている統計的仮説検定の基本的な考え方は,Fisherが1920~1930年代に開発したものであり,それをのちにNeymanとPearsonが定式化した.この統計的仮説検定の中心的概念の1つがP値である.P値に基づく統計的仮説検定にはいくつかの本質的欠点があるものの,研究者や統計実務者にとって依然として非常に有用な方法である.また,現時点では,これに替わる有力な統計学的方法が確立されているとは言えない.したがって,統計的仮説検定を使う際には,この方法に対する理解を深めたうえで,誤用や間違った解釈に留意しつつ,可能な限り欠点を補う方法を採用していくことが望ましい.
著者
小岩井 馨 武見 ゆかり 林 芙美 緒方 裕光 坂口 景子 嶋田 雅子 川畑 輝子 野藤 悠 中村 正和
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.13-28, 2019-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
51
被引用文献数
1

目的:効果的な減塩対策のためには食塩摂取源を把握する必要がある.食塩摂取源を食品群で把握するだけでなく,家庭内・家庭外由来かを特定し,さらに疾病の指摘の有無別に食塩摂取源の特徴を検討することとした.方法:平成29年神奈川県真鶴町の特定健診受診者を対象とした横断研究を行った.3日間の食事調査により出現した食品や料理を食品群別・加工度別に分類後,家庭内・家庭外(菓子・嗜好飲料・中食,外食)に整理した.その後,食事記録日数の不足者等を除外した213名を対象に,3日間の平均食塩摂取量に占める各々の食塩摂取量の割合(以下,「食塩摂取割合」)を算出した.さらに,循環器疾患の指摘または降圧剤の使用有無別(以下,「循環器疾患の有無別」)に食塩摂取割合を比較した.結果:食品群別の食塩摂取割合が最も高い食品は,男女とも調味料(約60%)であり,このうち,約75%が家庭内,約25%が家庭外であった.循環器疾患の有無別では,中食からの食塩摂取割合は男性の有り群は26.8%と,無し群14.3%に比べ,有意に高かった(p=0.029).結論:地域在住特定健診受診者では,家庭で使用する際の調味料からの食塩摂取割合が高いこと,男性の循環器疾患有りの者は中食の食塩摂取割合が高いことが示された.減塩対策を検討する上で,家庭内・家庭外の視点を取り入れること,男性では中食への減塩対策も必要であることが示唆された.
著者
緒方 裕光
出版者
THE SOCIETY FOR RISK ANALYSIS, JAPAN
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.2_3-2_9, 2009 (Released:2012-03-09)
参考文献数
16

We need to describe or deal with uncertainty in risk analysis because risk inherently involves chance or probability. There have been many discussions to define uncertainty in risk analysis. However, different types of uncertainty appear in risk analysis in different ways. Some of them are quantifiable by probabilities, some are not. The appropriate method to characterize the uncertainty, which can be caused by incomplete knowledge or stochastic variability, depends on the kind of its source. The most important result of considering uncertainties in risk analysis is an insight that its consideration gives to the risk assessor. This review presents the basic concepts to deal with uncertainty in risk analysis.
著者
菅井 和子 木村 博一 宮地 裕美子 吉原 重美 緒方 裕光 岡山 吉道
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.22-27, 2017 (Released:2017-03-31)
参考文献数
22

乳幼児期のウイルス感染に伴う下気道感染症では喘鳴発症が多く, それが反復喘鳴や喘息発症の一因であることが多く報告されている. 特に, RSV, HRVは喘鳴のおもな起因ウイルスであり, アトピー-素因, 吸入抗原感作等と関連し, 喘息発症と関連するとの報告も多い. 低月齢児では肺機能等客観的な評価は困難だが, 非侵襲的に反復喘鳴予測ができれば, 喘息管理において, より早期の介入が可能となる. 喘息患者で気道上皮由来のTSLP, IL-25, IL-33やTh2サイトカイン等が注目されているが, 喘息発症前の初回喘鳴時のより強力な気道炎症誘導因子の存在も考えられる. われわれは, ウイルス感染に伴い初回喘鳴を呈した乳幼児対象の研究で, MIP-1αによりその後の反復喘鳴が予測可能となる研究結果を得た. 簡便に採取可能な鼻汁検体からの反復喘鳴予測の可能性が示唆された. パリビズマブの早産児におけるRSV感染後の反復喘鳴予防の有効性や, ワクチンの研究もあるが, 実用化には至っていない. ウイルス感染後の喘息発症予防において, 感染予防とともに発症予測因子に関する研究も今後さらに必要と考える.
著者
緒方 裕光 馬替 純二
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.331-340, 2005 (Released:2010-08-05)
参考文献数
58

In this paper, an outline of the biological and epidemiological evidence for radiation protection is presented together with the strengths and limitations of these studies in radiation risk evaluation. Various types of research can provide useful information to complement the risk estimates based on atomic-bomb survivor studies, particularly the effects of low-dose and lowdose rate radiation. Some basic issues in synthesizing scientific information for radiation risk evaluation are also discussed.
著者
丹後 俊郎 山岡 和枝 緒方 裕光 池口 孝
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

「ごみ焼却施設からの距離」をダイオキシン類への曝露の主要な代替変数としたごみ焼却施設周辺の疾病の超過リスクの検出に関して、本研究では、(1)焼却施設の位置を既知としてその周辺の超過リスクを検出する方法(Focused test)と、(2)焼却施設の位置を未知として、超過リスクが生じている「場所とその周辺」を特定する方法(Global test)を検討してきた。前者については、すでにStatistics in Medicine(2002)に報告し、かつ、周辺地域のがん死亡率の経年的変化に基づく新しい健康影響評価のための方法を、施設からの方角など距離以外の要因も考慮に入れた柔軟な統計モデルを英国王立統計学会主催の国際統計学会(2002)で発表(招待講演)した。後者の方法については、Connecticut大学の生物統計学科Kulldorff助教授との共同研究により,昨年度までに提案した方法と他の方法,Kulldorffのspatial scan statisticとBonetti-Pagano's M statisticsとの検出力の総合的な比較を行い、その結果はComputational Statistics and Data Analysis(2003)に掲載された。本研究で検討した統計モデルの応用として,ごみ焼却施設周辺の乳児死亡への影響の解析に適用するとともに、ごみ焼却施設とは異なるものの単一汚染源への応用例として、原子力発電所周辺の周産期死亡データの解析例を示し、その応用可能性を検討した。