著者
村田 勉 柳田 敏雄
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.139-146, 2001-12-05 (Released:2011-01-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

視覚的意識のダイナミクスを明らかにするため, 人間被験者における知覚闘争の生起時間の統計的分布を精密に解析したところ, 意識にのぼる見えの切替りの背後に量子的(不連続)な脳の状態とその間の確率的遷移過程が存在することがわかった. その神経メカニズムのてがかりを得るため, 機能的磁気共鳴法により脳の関連賦活部位を調べたところ, 大脳皮質の広域的ネットワークが関わっていることがわかった. 統合された知覚像が意識されるために, システムとしての脳がいかに動作すべきなのかという点についてもダイナミクスの観点から議論したい.
著者
岩倉 健夫 大城 宜哲 宮内 哲 時本 康紘 福永 智栄 柴田 政彦 柳田 敏雄 真下 節
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.46-50, 2003

右中足骨骨折後3週間のギプス固定により右足背部に allodynia を示した患者1名を対象として, allodynia 発現時の患側および健側への非侵害刺激, allodynia 消失後の患側への非侵害刺激に対する脳賦活領域を functional MRIを用いて比較検討した. 健側への刺激では第一次体性感覚野と頭頂連合野が, allodynia 消失後の患側への非侵害刺激では第一, 第二次体性感覚野が反応したのに対し, allodynia 発現時の患側への非侵害刺激では第一, 第二次体性感覚野, 島, 頭頂連合野, 前頭前野内側部, 前帯状回, 補足運動野など広い領域で信号の増強がみられた. allodynia は, 神経損傷後や組織障害後にみられる徴候の一つであるが, その痛覚認知機能はまだ明らかではない. 本症例でみられた腫脹, 皮膚温の上昇, allodynia などのCRPS type Iの症状は自然治癒したが, 初期にはCRPS type Iの症状がそろっており, 本症例でみられた allodynia はCRPS type Iと病態は共通している. 本研究によりCRPS type Iにみられた allodynia の痛覚認知機能を知るうえでの重要な知見が得られた.
著者
柳田 敏雄
出版者
The Biophysical Society of Japan General Incorporated Association
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.116-117, 2010-05-25
被引用文献数
1 1