著者
藤井 義明 萩原 正敏 加藤 茂明 審良 静男 久武 幸司 半田 宏 大熊 芳明 上田 均 箱嶋 敏雄 梅園 和彦
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本計画研究班の研究課題は、転写因子も含めて転写因子間の相互作用が最終的に遺伝子発現としてどのようにアウトプットされるかというメカニズムを分子のレベルで解明することを主な目的としている。Preinitiation complexの構成成分であるTFllHの9つのsubunitsをリコンビナントDNAを用いて発現させ、再構成に成功し、各々のサブユニットの機能を検討する系が確立された。またこの系を用いてERCC3のヘリカーゼ活性が転写活性化のプロモーターエスケープの段階に重要であることを示した。転写伸長反応もDSlFとNELFの抑制とpTEFbとFACTの活性化系によって精密にコントロールされていることが明らかにされた。DSlFの一つサブユニットp160のC末端の変異はゼブラフィッシュでは神経の発達異常を引き起こすことが分かった。広範な転写因子の共役因子として働くcbpについては、さらにgi3,AhR/Arnt,HlF-1α,lRF3などの共役因子として働くことやβ-カテニンが阻害して,P53の転写活性を抑制することを示した。2ハイブリッド法によってMBFl,UTF1,P68/P72が各々転写因子FT2-F1,RAR,ERα,βの転写共役因子として働くことを明らかにし、その構造を決定した。ノックアウトマウスを作製することによってAhR,AhRR,STAT3などの機能解析を行なった。
著者
中村 義一 志村 令郎 横山 茂之 箱嶋 敏雄 嶋本 伸雄 饗場 弘二
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1991

本総合研究(B)は、「RNAの動的機能発現」に関する重点領域研究の設定をその主要な目的として企画されたものである。しかしながら、平成4年度から新重点領域研究「RNA機能発現の新視点」が発足することに決定し、その研究内容がほとんど重複するため、当初の趣旨での本総合研究(B)班からの重点領域申請はやむなくとりやめた。その上で、本研究班の活用を計るため他の関連研究組織との連携を検討することとし、平成4年1月17ー18日に研究集会「RNA合成における分子間コミュニケ-ション」を東京において開催した。本総合研究(B)班からの5名を含めた12名が参加し、多角的に当該分野の研究を協議した結果、石浜明国立遺伝学研究所教授を代表者として、「転写装置における分子間コミュニケ-ション」を重点領域研究として申請することで合意し、申請を行なった。本総合研究課題に関する国内研究の活性化を計るために、平成3年12月に行なわれた日本分子生物学会において、シンポジウム「RNAシグナルによる翻訳制御」を開催した。国内から4人の演者に加えて、ミュンヘン大学からセレノシステイン研究で有名なA.Bo^^¨ck教授を招聘して活発なシンポジウムを行なうことができた。
著者
箱嶋 敏雄
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

1) ERMタンパク質とMT1-MMPとの相互作用昨年度に決定したMT1-MMPの細胞内領域とFERMドメインとの複合体構造に基づいて,ビオチン化したペプチドを用いた結合領域の限定や厳密で定量的な結合実験を,BIAcoreを用い手検討して論文作成の準備を進めた.2) Tiam1/Tiam2の結晶構造Tiam1/Tiam2のPHCCExドメインの結晶構造に基づいて,結合タンパク質であるCD44、Par3,JIP2,あるいはephrin B1,2,3やNMDA受容体との相互作用部位の特定の結合実験を行った.その結果,酸性残基に富む2つの配列モチーフを発見した.また,PHCCExドメイン表面の塩基性残基の一連の変異実験をして,CD44などの標的タンパク質の結合部位を同定した.更に,培養細胞を用いたin vivoでの実験で,相互作用の重要性を確認した.これらの成果をまとめて論文を作成して出版した.3) Tiam1/Tiam2-CD44、-Par3,-JlP2複合体の結晶化と構造解析上記の結晶構造研究に用いたTiam1やTiam2のPHCCExドメインと,標的タンパク質であるCD44、Par3,JIP2,あるいはephrin B1,2,3との複合体の結晶化を試みた.タンパク質比,タンパク質濃度,温度等も変化させながら,現有ロボット(HYDRA-II)を使って大規模なスクリーニングを試みたが,構造解析に用いられる結晶は得られなかった.