著者
滝野 豊 松村 隆弘 二木 敏彦 川端 絵美子 星名 悠里 本田 理沙 油野 友二 柴田 宏
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.541-545, 2018-07-25 (Released:2018-07-28)
参考文献数
16

肝炎ウイルスやアルコール性肝炎,非アルコール性脂肪性肝疾患などによる慢性肝炎は線維化の過程を経て,将来的に肝硬変症を経て肝癌に至ることが知られている。肝線維化診断のゴールデンスタンダードは肝生検であるが,侵襲的な検査であることから血液成分であるヒアルロン酸やIV型コラーゲン,および生理学的な検査法が利用されている。新しい肝線維化マーカーとしてMac-2 binding protein glycosylation isomer(M2BPGi)が保険適応された。ヒアルロン酸は食事の影響を受けやすいことが知られているが,M2BPGiについての食事の影響は調査されていない。今回,M2BPGiの食事の影響を血中ヒアルロン酸値とIV型コラーゲン値の変動と比較した。ヒアルロン酸のみが食事摂取1・2時間後に食前と比べ有意に測定値が上昇した。M2BPGi値とIV型コラーゲン値は食事の影響を受けなかった。このことから,M2BPGi値測定は随時採血の検査においても正しい評価ができると考えられた。
著者
吉野 梅夫 増野 亮子 柴田 宏子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.736-739, 1979-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7

1) 市販焙煎コーヒー6品種について, 水分, 水抽出物量, 酸度, カフェイン, 全褐色色素およびクロロゲン酸を定量した.水分と全褐色色素についてはコーヒー会社間に差があり, 焙煎程度の相違によるものと思われる.2) 粗挽き, 中挽き, 細挽きのどの試料についても粒度分布には会社により, また同一店でも購入の度にかなりの変動が見られた.3) ペーパーフィルター, ネルフィルターおよびサイフォンでは細挽きまたは中挽きを用いると抽出量が多い.パーコレーターでは抽出量は粗挽きを用いると多く, 細挽きでは減少した.
著者
福間 麻子 佐藤 秀一 新田 江里 花岡 拓哉 石根 潤一 飛田 博史 三宅 達也 柴田 宏 長井 篤 木下 芳一
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.135-139, 2011 (Released:2011-04-01)
参考文献数
12

超音波診断用造影剤であるSonazoid®は,肝腫瘍性病変の造影剤として2007年以来広く使用されている.超音波の最大の長所であるリアルタイム画像を取得でき,今までにない詳細な血管イメージ及び灌流イメージと後血管イメージを得ることにより各種肝腫瘍性病変の質的診断と存在診断が可能となった.症例は50歳代,男性.腹部膨満感,腹痛を主訴に来院.腹部造影CTで膵尾部に5 cm大の低濃度腫瘍を認め,間接所見及び病理組織所見から最終的に膵尾部癌と診断された.術前の造影CTでは肝転移は認められなかったが,超音波検査では限局性低脂肪化域(focal spared area: FSA)を疑う複数の低エコー域を認めた.そのうち胆嚢近傍S4領域の病変は境界が比較的明瞭であったため,腫瘍性病変との鑑別が必要と考えSonazoid®造影超音波検査を行ったところ,動脈優位相で全体に淡く染影され,門脈優位相ではwashout,後血管相で欠損像を呈した.一方,他の低エコー域は欠損とはならなかった.よって,S4の病変は転移性肝腫瘍,その他はFSAと診断した.Sonazoid®造影超音波検査は,脂肪肝を背景に存在とする腫瘍性病変とFSAとの鑑別に有用と考える.
著者
Shiba Kumar RAI 久保 隆 中西 守 住 勝実 柴田 宏 松岡 瑛 Hari Govinda SHRESTHA
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.625-630, 1994-05-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
18
被引用文献数
4 5

ネパールにおいて土壌媒介性蠕虫の感染状況を8年間 (1985~1992) にわたり経年的に調査した. 調査はネパールトリブウァン教育病院の病理学教室寄生虫検査室により行われ, 毎年平均6,573件の糞便検体からの種々の腸内寄生虫を検出した. その結果, 土壌媒介性蠕虫全体の検出率は一様でなく, 18.0~36.6%の範囲で経年的に減少した. この傾向は性別に関係なく, 成人・小児両方に見られた. 検出された蠕虫の中では回虫 (roundworm) の検出率が最も高く, 続いて鉤虫, その他の順であった. 本調査期間を通じて回虫の検出率が一定であったのに対し, 他の寄生虫では検出率が低下するという注目すべき事実が認められた.