著者
柴田 満 蒲 尚子 杉本 温美 石津 日出子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.14, pp.67, 2002

【目的】大学生は、進学を機に一人暮らしをする者も多くなり、生活スタイルが大きく変化し、偏った食生活になる者が多い。そこで、本学学生に「食生活実態調査」を行い、性別による食品摂取傾向の違いを調べた。【方法】本学食品栄養学科1∼3年生302名を対象に、生活環境、身体状況、食生活状況、自覚症状に関するアンケート調査を行った。【結果】比較的よく食べると思われる74食品の摂取回数、間食(18品目)ならびに外食(16品目)の摂取回数を調べた結果、男女間で有意差が認められたものは、ヨーグルト、牛肉、レトルト·インスタント食品、間食では炭酸飲料、外食ではカレー、ラーメンなどであった。男性は外食、レトルト·インスタント食品、ジュース類の摂取が多く、女性は菓子類の摂取が多かった。
著者
古武 弥三 池田 小夜子 柴田 満里子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.355-365, 1981-08-10 (Released:2009-11-16)
参考文献数
23
被引用文献数
1

亜鉛は多くの酵素の成分として重要な作用を果たしている。年少者に亜鉛欠乏があると成長発育の停止, 性機能不全症などが起こることがアラブ連合共和国, イランなどで明らかにされているが, 遺伝性の乳児疾患である腸性先端皮膚炎 (Acrodermatitis enteropathica) では亜鉛の欠乏によって四肢, 顔などに水胞性, 膿胞性の湿疹様皮膚炎, 脱毛, 下痢などを起こさせることが知られている。同様な症状は中心静脈カテーテル挿入法によって長期間にわたって高カロリー輸液を送り込む非経口的栄養において, 微量栄養素として亜鉛の添加が行なわれない場合にも起こることが明らかにされている。したがって亜鉛の所要量の決定はきわめて重要であって可及的早期に行なわれる必要性のあることを述べ, われわれの実験成績から次のような点を結論としてあげたい。1) 日本人はたん白源を魚に求める人達が多いが, 魚たん白は獣鳥肉に比べると概して亜鉛含量が多くないので, 成人1日の亜鉛摂取量はそれほど高くならない。神戸市在住者の代表的な献立10例を選んで, 成人1日の亜鉛量を調べたところ, その平均値±標準偏差は8.9±2.5mgであった。この値はアメリカ, イタリア, デンマーク等の推奨所要量15mgに比べるとかなり低い値であるが, チェッコスロバキアの推奨所要量8mgには十分達している。2) 人工栄養児の哺乳に使用されるわが国の特調製粉乳の亜鉛含量はいずれも100g中0.7~0.9mgであって, これらの粉乳は13~14%の濃度で使用されるので, たとえば生後4~6か月児に1回180mlの哺乳がなされたとしても, 約0.2mgの亜鉛含量にしかならない。その結果1日量としては2mgに達しない。アメリカ, イタリア, デンマーク等の推奨所要量では亜鉛は生後6か月までは3mg, 7か月から12か月までは5mgとされており, チェッコスロバキアでは生後6か月までは4mg, 7か月から12か月までは5mgとされている。人工栄養児の亜鉛摂取量をこれらの国々の推奨所要量に比べると少ないので, 特殊調製粉乳中の粉乳含量を増加させ亜鉛含量を多くする必要があろう。3) 離乳期の幼児の毛髪中の亜鉛量を測定したところ, 毛髪中の亜鉛量の平均値±標準偏差は10.2±2.5mg/100gと低く, 成人の毛髪中の亜鉛量平均値±標準偏差30.2±5.8mg/100gに比べると危険率0.001以内の有意差を持って離乳期の幼児の毛髪中の亜鉛含量の少ないことが明らかとなった。このことから亜鉛の体内保有量は生後しだいに増加するものと考えられる。
著者
大谷 貴美子 長渡 麻未 柴田 満 冨田 圭子 佐藤 健司 川添 禎浩
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.239-248, 2007-08-20
被引用文献数
1

伝統食品である京都大徳寺瑞峯院の大徳寺納豆について,ラジカル消去活性の強さを解明するために,製造過程のラジカル消去活性の変化とその関連成分について検討を行った。大徳寺納豆は,7月下旬から9月下旬にかけて仕込まれる。大豆(鶴姫)を蒸煮することで,ゲニスチン,ダイジン,グリシチンが増加した。しかし,室での発酵期間に減少し,熟成期間では,代わってゲニステイン,ダイゼインが増加した。また,室での1週間の発酵期間に,プロテアーゼの働きにより,遊離アミノ酸,特にグルタミン酸やペプチドが増加した。炎天下における2ヶ月間の熟成期間には,徐々にメラノイジン関連物質が産生された。またラジカル消去活性は,ポリフェノール含有量と高い相関を示したが,ラジカル消去活性に寄与している主な成分はメラノイジン関連物質であることが示唆された。