著者
菊田 千景 川西(朝岡) 正子 大谷 弥里 杉本 温美
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.287-293, 2009
被引用文献数
4

世界各国から集めたジャガイモを日本の気候風土に合わせて栽培した,テイスティングポテトと呼ばれる10品種のジャガイモ(アンデスレッド,インカのめざめ,ジャガキッズパープル,ビオレッタ,タワラムラサキ,デストロイヤー,十勝こがね,ヨーデル,シェリー,シンシア)を,2°Cで2カ月ならびに7カ月貯蔵し,それらから単離した澱粉の理化学的特性に及ぼす低温貯蔵の影響を調べた.分析した項目は,粒度分布,X線回折,ラピッドビスコアナライザー(RVA)による糊化特性,示差走査熱分析,リン含量,アミロース含量,溶解度および膨潤度,酵素分解ならびに走査電子顕微鏡による観察である.テイスティングポテトの澱粉は,低温下での貯蔵期間が延長することにより,X線回折図形はB図形のままで変化がなかったが,RVAのセットバック,酵素分解性ならびにアミロース含量が増加する傾向にあった.しかし,その他の理化学的特性は,品種により変動はさまざまで,一貫性がほとんどなく,各品種の原産地などとの関連についても認められなかった.
著者
杉本 温美 山下 安代 鈴木 睦代 森下 正博 不破 英次
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
応用糖質科学 (ISSN:13403494)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.33-39, 1998-03-31 (Released:2011-07-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

カボチャ(小菊)を室温あるいは5℃ に2カ月間貯蔵し,その間のカボチャの炭水化物含量の変化ならびに澱粉の特性の変化について検討し,次のような結果を得た. 1) カボチャ中の澱粉含量は,室温ならびに5℃ の貯蔵によって減少したが,逆に可溶性糖は増加した.そのときの澱粉の減り方ならびに可溶性糖の増え方は,5℃ よりも室温の方が大きかった. 2) 電流滴定ならびに酵素-クロマト法によるアミロース含量は,室温,5℃ ともに,貯蔵によって増加することが明らかになった. 3) 貯蔵中のカボチャの澱粉粒は,すでに酵素によりダメージを受けており,酵素による分解性が,貯蔵前のものより大きいことがわかった.
著者
柴田 満 蒲 尚子 杉本 温美 石津 日出子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.14, pp.67, 2002

【目的】大学生は、進学を機に一人暮らしをする者も多くなり、生活スタイルが大きく変化し、偏った食生活になる者が多い。そこで、本学学生に「食生活実態調査」を行い、性別による食品摂取傾向の違いを調べた。【方法】本学食品栄養学科1∼3年生302名を対象に、生活環境、身体状況、食生活状況、自覚症状に関するアンケート調査を行った。【結果】比較的よく食べると思われる74食品の摂取回数、間食(18品目)ならびに外食(16品目)の摂取回数を調べた結果、男女間で有意差が認められたものは、ヨーグルト、牛肉、レトルト·インスタント食品、間食では炭酸飲料、外食ではカレー、ラーメンなどであった。男性は外食、レトルト·インスタント食品、ジュース類の摂取が多く、女性は菓子類の摂取が多かった。
著者
森田 尚文 姜 又遠 浜渦 善一郎 杉本 温美
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 : oyo toshitsu kagaku = Journal of applied glycoscience (ISSN:13403494)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.23-30, 1999-03-31
参考文献数
19
被引用文献数
4 9

アマランス粉を代替した小麦粉ドウの物性と製パン性についてホームベーカリーを用いて検討した.アマランス粉5%の代替ではパンの比容積は有意に増大したが,それ以上では代替量につれて比容積は明らかに減少した.アマランス10%の代替粉にヘミセルラーゼ1250U以上を添加すると比容積は明らかに増大した.ファリノグラフにおけるドウの安定性はアマランス粉10%の代替により顕著に減少した.ドウの粘弾性(圧縮応力,弾性率,粘性係数)は10%の代替により無添加に比べ明らかに固くなった.SEM観察により,アマランス粉代替ドウのグルテンは固くなることがわかった.乳化剤ステアリル乳酸カルシウム,あるいはヘミセルラーゼをアマランス10%代替した小麦粉に添加すると明らかに比容積を増大することがわかった.
著者
岩城 啓子 杉本 温美
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.13-19, 2004-01-15
被引用文献数
1

The properties of starch granules prepared from tochinomi (Japanese horse chestnut) and hishinomi (water chestnut) were examined. The average sizes of tochinomi and hishinomi starch granules were determined by polarized-light micrography to be 13.7×10.8μm and 19.5×14.1μm, respectively. The susceptibility of these two starches to porcine pancreatin in a 24-h reaction was approximately 70% of that of normal maize starch. The solubility and the swelling power of both starches were slightly lower at 70℃, but considerably higher at 80℃ and 90℃ than those of normal maize starch. Photopastegraphy and differential scanning calorimetry (DSC) showed that the initiation temperature for gelatinization of hishinomi starch (66.2℃ and 70.5℃) was 10 degrees higher than that of tochinomi starch (55.91℃ and 58.7℃). Amperometric titration and gel chromatography indicated that the amylose contents of the tochinomi and hishinomi starches were 26.4-25.9% and 23.4-23.8%, respectively. The Brabender amylogram (6% concentration) of tochinomi starch showed a comparatively high peak viscosity (570 BU)and large breakdown, while that of hishinomi starch showed that its breakdown was almost zero and its viscosity increased, especially on cooling. Tochinomi starch showed a Cb type of X-ray diffraction pattern, while hishinomi starch showed a Ca type.
著者
坂本 薫 岩城 啓子 入江 一恵 岡本 佳子 金谷 昭子 岸田 恵津 杉本 温美 堀内 美和 升井 洋至 三崎 勝 山本 信子 横溝 佐衣子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.77-82, 2005-01-20
被引用文献数
1

近畿圏の大学入学直後の女子学生1130名を対象にして, 炊飯の知識の習得がどのようになされているかを確認するためにアンケート調査を行うとともに, 今後の家庭での炊飯の方向性を探るため, 今後炊飯はどのように変化すると思うか等を尋ね, 以下の結果が得られた。1) 炊飯したことがある者は99.2%で, 炊いたことがない者は8名あった。87.8%が小学校高学年までに炊飯を経験しており, 「自宅」(62.2%)で, 「母親」(59.2%)に教わって, 「自動炊飯器」(67.0%)で初めて炊飯した者が多かったが, 「自宅」で初めて炊飯した者は, 「母親」に教わって, 「自動炊飯器」で炊飯した者が多く, 「学校」で初めて炊飯した者は, 「小学校高学年」に, 「先生」に教わって, 「飯ごう」で炊飯している者が多い傾向が見られた。2) 炊飯に使用したことがある器具は, 自動炊飯器が96.0%, 飯ごうが83.5%, 鍋が47.4%であり, 自動炊飯器以外での炊飯が「できない」と回答した者が3分の2であった。3) 炊飯方法を知っていると答えた割合は, 「洗米」と「ほぐし」については8割以上, 「水加減」, 「吸水」, 「蒸らし」については約6割でいずれも「母親」から教わったとする者が多かったが, 「加熱」を知っている者は半数以下で, 唯一「母親」よりも「先生」から教わったとする者が51.5%と多かった。4) 家庭科教育において, 小学校では中, 高校よりも炊飯を習ったとする者が多く, 「自動炊飯器以外での炊き方」も62.3%が小学校で教わったとしていたが, 8.0%が小学校で「炊飯しなかった」と答えており, 中学校で19.3%, 高校で23.5%が「炊飯しなかった」と答えた。5) ご飯を炊くことが面倒なことと思うと答えた者は21.3%あり, 面倒な理由として約8割が洗米を挙げた。6) 20年後の炊飯については, 64.1%が「変わらない」とし, わが国の伝統的な日常食である米飯食が今後も変わらずに受け継がれていく可能性が大きいことが示唆された。
著者
坂本 薫 岩城 啓子 入江 一恵 岡本 佳子 金谷 昭子 岸田 恵津 杉本 温美 堀内 美和 升井 洋至 三崎 勝 山本 信子 横溝 佐衣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.77-82, 2005-01-20
参考文献数
8
被引用文献数
1

近畿圏の大学入学直後の女子学生1130名を対象にして, 炊飯の知識の習得がどのようになされているかを確認するためにアンケート調査を行うとともに, 今後の家庭での炊飯の方向性を探るため, 今後炊飯はどのように変化すると思うか等を尋ね, 以下の結果が得られた。1) 炊飯したことがある者は99.2%で, 炊いたことがない者は8名あった。87.8%が小学校高学年までに炊飯を経験しており, 「自宅」(62.2%)で, 「母親」(59.2%)に教わって, 「自動炊飯器」(67.0%)で初めて炊飯した者が多かったが, 「自宅」で初めて炊飯した者は, 「母親」に教わって, 「自動炊飯器」で炊飯した者が多く, 「学校」で初めて炊飯した者は, 「小学校高学年」に, 「先生」に教わって, 「飯ごう」で炊飯している者が多い傾向が見られた。2) 炊飯に使用したことがある器具は, 自動炊飯器が96.0%, 飯ごうが83.5%, 鍋が47.4%であり, 自動炊飯器以外での炊飯が「できない」と回答した者が3分の2であった。3) 炊飯方法を知っていると答えた割合は, 「洗米」と「ほぐし」については8割以上, 「水加減」, 「吸水」, 「蒸らし」については約6割でいずれも「母親」から教わったとする者が多かったが, 「加熱」を知っている者は半数以下で, 唯一「母親」よりも「先生」から教わったとする者が51.5%と多かった。4) 家庭科教育において, 小学校では中, 高校よりも炊飯を習ったとする者が多く, 「自動炊飯器以外での炊き方」も62.3%が小学校で教わったとしていたが, 8.0%が小学校で「炊飯しなかった」と答えており, 中学校で19.3%, 高校で23.5%が「炊飯しなかった」と答えた。5) ご飯を炊くことが面倒なことと思うと答えた者は21.3%あり, 面倒な理由として約8割が洗米を挙げた。6) 20年後の炊飯については, 64.1%が「変わらない」とし, わが国の伝統的な日常食である米飯食が今後も変わらずに受け継がれていく可能性が大きいことが示唆された。