著者
林 修 梅野 圭史
出版者
日本体育・スポーツ哲学会
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.9-21, 2016 (Released:2016-11-01)
参考文献数
38

This study discusses the meaning of learning particular art-form movements (in a Noh play) during the stages between infancy and adolescence in the “Flowering Spirits” written by Zeami (around 1400 A.D.). The attitude toward the practice in Zeami’s Noh play for the ages seven to approximately twenty-four correspond with the skill development of human movements (from maturational skills, to personal skills, to advanced skills) proposed by Landall (1979) in the U.S.A. Furthermore, Zeami did not regard the particular art-form movements in the Noh play as technical skills. Zeami had thought that a pleasure and satisfaction felt during exercise a Noh play influenced on performer’s body, strongly. Then, these affective factors made a performer understand the physical meaning of particular art-form movements. The above mention was perceived to have the meaning of ‘to mature’. It was concluded that the practice in Zeami Noh play at the period from infancy to adolescence indicates the influence of naturalism.
著者
梅野 圭史
出版者
鳴門教育大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

昨年度の研究結果より、「体育授業の場における葛藤価値検査」の診断結果は、体育授業改善の指標になり得る可能性の高いことが推察された。とりわけ、「体育授業に対する価値観」が形成される小学4年生において両者の密接度の高いことが示されたことは、この時期に葛藤内容を多分に含んだ運動教材を導入すれば、彼らの道徳性の発達に大きく貢献するものと考えられる。そこで今年度は、小学校4学年3学級を対象に「スポーツか、暴力か」の葛藤を含みもった「スポーツチャンバラ」を実践し、単元前後の比較より葛藤価値判断力がどのように変容するのかについて検討した。その結果、4段階からなる葛藤価値検査の診断結果に対して、χ2検定を施したところ、単元前と単元後の間に有意差は認められなかった。しかし、S3段階とS2段階を境に、EX-S3段階とS2-S1段階とに大別した場合、単元後に葛藤価値判断力が有意に高まるとする結果が得られた。これには、学習者行動分析における「従事」の「間接的活動」が関係していることが認められ、スポーツチャンバラの審判活動に積極的に関与できるかどうかが葛藤価値判断力に影響を及ぼすものと考えられた。以上のことから、スポーツチャンバラにおける審判活動が積極的に展開できれば、葛藤価値判断力が高まることが認められるとともに、葛藤価値検査の有用性が確かめられた。
著者
木原 成一郎 徳永 隆治 平井 章 梅野 圭史 日野 克博 刈谷 三郎
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度は最終年度にあたるため、研究の総括とそれに必要な作業を中心に行った。1、前年度に日野氏と米村氏が中心となって教員養成段階で身についた「実践的指導力」を調査する方法として、学生に視聴させる体育授業のビデオ教材を開発した。本年度は、学生にこのビデオ教材を視聴後自由に質問紙に感想を記述させ、その記述をKJ法を用いて分類し、「実践的指導力」の下位項目と考えられるカテゴリーを取り出した。2、さらに、研究分担者の所属する大学で行う模擬授業や教育実習の反省会の前後に、この開発したビデオ教材を視聴させて学生に自由な感想を記述させ、この「実践的指導力」の下位項目と考えられるカテゴリーを基準として、「実践的指導力」の到達状況を把握した。その到達状況の結果をもとに、対象とした学部、コースの体育科教育関連科目(教育実習を含む)の改善点を明らかにした。3、これまで得られた知見に基づき「技術的実践」と「反省的実践」の双方からなる「実践的指導力」を向上させるための、模擬授業や教育実習での教える体験とその体験を省察する理論的学習の双方を結合させる体育教師教育プログラムを開発するための原則を提案した。4、以上の研究成果について第59回日本体育学会(早稲田大学)及び第28回スポーツ教育学会(奈良教育大学)で発表し研究成果に対する研究者のご批評とご意見をいただいた。それらのご批評とご意見をふまえて、最終報告書を作成した。