著者
板村 英典 池田 資尚 池信 敬子 森下 伸也
出版者
関西大学人間健康学会
雑誌
人間健康学研究 : Journal for the study of health and well-being (ISSN:21854939)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-90, 2012-03-31

The purpose of this paper is to show a method of the objective and quantitative measurement of the human laughter by electromyography (EMG). There are two existing clues in catching the human smile and laughter: smiling expression (face) and laughing voice (throat). Both of these are not available in terms of detecting a spontaneous laughter, because human beings can express a smile and a laugh selectively or consciously without feeling funniness. We have developed "DLMS" (Diaphragmatic Laughter Measuring System) in order to measure the spontaneous laughter. This system is composed of an electromyograph and a personal computer, which make it possible to measure the myoelectricity of the human belly muscles moved in accordance with the one's spontaneous laughter breaking out. In this paper, it is proposed that "DLMS" has some advantages in measuring spontaneous human laughter with funniness which can contribute to the human health and well-being.
著者
池田 資尚 板村 英典 池信 敬子 森下 伸也
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.19, pp.75-85, 2012-07-21

私たち人間は日常生活を送る中で「笑い」という行為を意識的あるいは無意識的に表出している。このような人間の「笑い」という現象を科学的に考察するためには、それらを客観的に把握する手法を構築することが求められる。本稿では、笑いが発生する際に反応の見られる「顔」、「喉」、「腹」の3つの身体部位に着目し、それらの動きを計測する「3点計測システム」を用いて、笑い発生時の各身体部位の反応の有無を検出することから笑いの客観的な分類を試みるとともに、それらの組み合わせから笑いを論理的に8つのパターンに分けて捉える「笑いの分類モデル」を導出した。「3点計測システム」の視座から人間の笑いを客観的に把握・分類することは、「笑い」の多様性に対して新たな視点を提起することにつながり、日々の生活の中で忘却されがちな私たち人間の笑いのあり方を自覚的に捉えるための契機になると考えられる。
著者
有地 亨 森下 伸也 三島 とみ子 丸山 茂 南方 暁 久塚 純一 緒方 直人 小野 義美 森田 三郎 二宮 孝富 生野 正剛 畑 穣 江守 五夫 黒木 三郎
雑誌
海外学術研究
巻号頁・発行日
1987

本研究は昭和59〜61年度科研費補助大研究「現代家族の機能障害の実態と紛争処理の総合的研究・・・法・政策のための基礎的調査研究」の続編にあたり, その成果を, 深化, 発展させるものである. 当該研究においてわれわれは, 家族機能を活性化させるためには「家族問題総合センター」の設立が必要であることを提唱した(この件に関しては62年1月に文部省公開シンポジウム「大学と科学」で報告). 本研究はこの構想を具体化するために英・仏での実態を明らかにすることを目的とする.我が国は昭和35年以降急激な家族変動に見舞われたため, このことから生じた家族問題に適切に対処する手段を, これまで持たなかった. 翻って英・仏などの先進欧米諸国では, 家族の変動は比較的穏やかに進行し, その過程で生じてきた家族問題に対しても, 様々の有効な処置が講じられてきたと考えられる. そこでこれら一連のファミリー・エージェンシーのシステムを研究し, さらに現在なお存続する家族問題の実態を調査し, これと比較研究すれば, 我が国での今後の対策の在り方をより具体的に提言できるはずである. 予備調査では, 英国における当該援助機関の概要を専門家の協力を得て把握した. ここで, 諸機関の歴史的発展状況, その構造, 運用の実態, 諸機関相互の関連に関して, 一定の理解が得られた.われわれの今回の英国訪問は, 旅行期間を併せて2週間という非常に限られた日程のものではあったが, SocialーLegalーCenterのメンバーの全面的な協力を得られ, 4に掲載した内容の調査研究を速やかに実施することができた. その詳細は『英国の家族援助機関に関する予備調査報告』にまとめているので, ぜひ御高覧戴きたい(本報告書にその写しを添付している).この海外学術研究は, 過去3年間の日本国内における調査研究の成果から, われわれが提唱した「家族問題総合センター」の具体的なイメージを作り上げるためのものである. そこで予備調査では, まずこれまでのわれわれの家族問題に関する研究の枠組みが彼の国においてそのまま使用できるのかという点と, 具体的にどのような機関を調査対象とするのが有益であるのかという点に, 目標を絞った.前者においては, 英国の家族研究者は一般的に, 現代の家族変動自体は問題を有する事柄であるとは見ておらず, そのことに伴って生じる様々な問題をいかにケアしていくかに, 研究の重点を置いているということが理解できた. しかし彼らのこの態度の背景には, 家族の機能障害に関してはすでに私的な援助機関が広汎に活動をしているので, 公的には問題性が薄れてきているのではないかということも, またある程度推測できた. この意味では, やはり私的な援助機関およびその利用者をわれわれの手で直接に調査し, 家族問題の実態をより詳細に把握する必要を強く感じる.そこで後者ともつながるのであるが, 今後の計画としては, 今回訪問し職員から事情を聴取してきたもののうち, われわれの問題関心に非常に隣接した機関と思われる, マリッジ・ガイダンス・カウンシル, プロベイション・サービス, 高齢者のためのエイジ・コンサーンなどに調査対象を限定し, 問題を抱えている家族の実態調査, 家族援助機関の利用状況などの実態調査を進めていきたいと考えている.
著者
森下伸也
出版者
日本実業出版社
雑誌
社会学がわかる事典
巻号頁・発行日
2000
被引用文献数
1
著者
池田 資尚 板村 英典 池信 敬子 森下 伸也
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.75-85, 2012-07-21 (Released:2017-07-21)

私たち人間は日常生活を送る中で「笑い」という行為を意識的あるいは無意識的に表出している。このような人間の「笑い」という現象を科学的に考察するためには、それらを客観的に把握する手法を構築することが求められる。本稿では、笑いが発生する際に反応の見られる「顔」、「喉」、「腹」の3つの身体部位に着目し、それらの動きを計測する「3点計測システム」を用いて、笑い発生時の各身体部位の反応の有無を検出することから笑いの客観的な分類を試みるとともに、それらの組み合わせから笑いを論理的に8つのパターンに分けて捉える「笑いの分類モデル」を導出した。「3点計測システム」の視座から人間の笑いを客観的に把握・分類することは、「笑い」の多様性に対して新たな視点を提起することにつながり、日々の生活の中で忘却されがちな私たち人間の笑いのあり方を自覚的に捉えるための契機になると考えられる。
著者
森下 伸也
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.1, pp.24-32, 2002-05-25

社会が猛烈な速度で変化している。その結果、人間の生理的限界を超えるところまで生活が慌ただしくなり、生活世界が破壊されるにいたっている。このアリス的速度の元凶はグローバル化である。市場原理主義にもとづくアメリカ一極集中型のグローバル化は、南北問題や環境問題もさらに深刻化させるであろう。また、個人はグローバル市場経済の猛威に直接対峙させられることになる。この危機に対する反応として、世界各地に新しいタイプのナショナリズムや反グローバル化運動が出現している。この危機的状況を突破するには、国家が中間集団、セーフティネット、生活者の相互扶助機構として再構築されることが最も重要である。ところが日本にあっては、政治家も国民もこのことを理解していないため、市場原理主義に翻弄されるままで、失業率や自殺率の急速な上昇を招いている。同時に日本では、高度消費社会がもたらす決楽主義や金銭崇拝のために、過労死、社会的ひきこもり、少子化、学級崩壊、公共道徳・職業道徳の著しい低下といった現象に象徴される人的資源の喪失と劣化が急速に進んでおり、将来の日本社会の展望を非常に暗いものにしている。このような時代状況はしかし、まさしく社会そのものを原理的に問う社会学者の出番であろう。いまこそ日本の社会学者は、その存在理由をかけて、全体社会への構想力をとりもどし、雄弁に語ることにチャレンジしなければならない。