著者
海老根 直之 北條 達也 中江 悟司 田中 宏暁 檜垣 靖樹 田中 歌 荒井 翔子 濱田 安重 石川 昂志 森川 綾子 鈴木 睦子 渡口 槙子
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,共に摂取した飲料と食物が互いの水分の吸収速度に与える影響と,体位の変換が水分の吸収速度に与える影響を検討することを目的とした.その結果,水分を速やかに補給するためには,飲料を固形食と同時に摂取するよりも10分先行して摂る方が有効であること,飲料の量と温度は飲料水分だけでなく共に摂取した固形食の水分の吸収にも影響しうること,加えて,体位を工夫することで水分の吸収を促進できる可能性が示された.これらの知見は,効果的な水分の補給法の確立には,従来行われてきた飲料単体に焦点を当てた検討だけでなく,食事や体位といった実用時に生じる要因も含めた検討の必要性を示唆するものである.
著者
祝 広孝 大田 和雄 大城 広幸 猿渡 勇 森川 綾子 大通 恵美 関 誠 古野 信宏 近藤 真喜子 坂田 光弘 中野 朋子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P1391, 2009 (Released:2009-04-25)

【はじめに】骨格筋に対する圧迫刺激の効果については多くの報告がなされているが、刺激の入力部位について感覚器官や骨格筋の構造から検討した報告は少ない.今回、我々は筋の感覚器官であるゴルジ腱器官(以下、GTO)の構造とそのインパルス発射機序に注目し、GTOが分布するとされる筋腱移行部(以下、MTJ)に選択的に圧迫を加えることでIb抑制による筋緊張緩和が得られるのではないかと考えた.そこで腓腹筋内側頭を対象筋とし、MTJが筋表層に存在していると思われる近位内側部と表層にMTJが存在しないと思われる遠位筋腹部にそれぞれ選択的に圧迫を加え、圧迫前後の足関節自動背屈角度(以下、背屈角度)変化及び筋硬度変化について比較検討した.【対象】本研究の趣旨を十分に説明し、同意を得ることができた健常成人30名60肢(男性15名、女性15名、平均年齢30.4±5.4歳)を対象とした.【方法】対象者を起始部から筋腹下端までの距離の近位1/4の内側部に圧迫を加えるMTJ刺激群(以下、MTJ群)10名、遠位1/4の高さで筋腹の中央部に圧迫を加える筋腹刺激群(以下、MB群)10名、圧迫を加えないコントロール群(以下、C群)10名の3群に分け、腹臥位膝40°屈曲位にて測定機能付自力運動訓練装置(アイソフォースGT-300:OG技研)を用い、3kg-4kgの範囲で5秒間圧迫を加えた.圧迫前後で仰臥位にて股・膝関節90°屈曲位(以下、膝屈曲位)と膝関節完全伸展位(以下、膝伸展位)で背屈角度を1°単位で測定.筋硬度についても圧迫前後に腹臥位にて筋腹の遠位1/3、内外側幅の内側1/3の部位で筋硬度計(NEUTONE:TRY-ALL社)を用いて測定した.C群については圧迫時の肢位にて圧迫時間相当の休憩を入れ、休憩前後に同様の測定を行った.統計処理としては、各群の圧迫(C群:休憩)前後の測定値の比較にt検定を用い、C群と各刺激群の変化値の比較にはWilcoxonの順位和検定を用いた.【結果】背屈角度:圧迫前後の背屈角度の比較において、C群では膝屈曲位、膝伸展位共に角度に変化は認められなかったが、MTJ群では膝屈曲位、膝伸展位共に有意な角度増加(p<0.01)を認めた.MB群においては膝屈曲位では変化は認められなかったが膝伸展位では角度の減少(p<0.05)が認められた.C群と各刺激群の変化値の比較では膝伸展位でMTJ群に有意な角度増加(p<0.01)が、MB群では角度減少(p<0.01)が確認された.筋硬度:MTJ群で圧迫後に筋硬度の低下(p<0.05)を認めたが、C群やMB群の変化値との間に有意な差は認められなかった.【考察】GTOへの刺激入力を目的としたMTJに対する選択的圧迫の有効性が確認され、またMTJへの圧迫は軽い圧で短時間の刺激により即時的効果が期待できることが確認できた.しかしMTJ群とMB群の結果の違いからも分かるように圧迫部位によって効果に違いが生じるため、十分な効果を得る為には骨格筋の構造に関する正しい知識と正確な触察技術が必要であろう.
著者
祝 広孝 大通 恵美 大城 広幸 猿渡 勇 森川 綾子 野中 昭宏 古野 信宏 近藤 真喜子 坂田 光弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb0480, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 我々は第44回学術大会において骨格筋の筋腱移行部に軽い圧迫刺激を加えることにより筋緊張抑制効果が得られることを報告した.同様の効果が腱骨移行部への刺激によっても得られることが確認され,それらを組み合わせて「筋腱移行部及び腱骨移行部刺激:Muscle tendon junction and Enthesis stimulation」(以下,MES)と称し臨床に用いている.MESは速効性に優れ,評価や治療場面で広く応用できる手技である.そこで今回,MESの実施方法を紹介すると共に足関節背屈可動域と肩関節外旋可動域及び屈曲可動域に対し前者は腱骨移行部,後者は筋腱移行部を刺激部位としてMESの効果を検証し,MESの臨床における有用性について報告したい.【方法】 MESの実施方法骨格筋の筋腱移行部もしくは腱骨移行部に対し,軽い圧迫刺激(圧迫力は筋腱移行部で1kg-3kg,腱骨移行部では0.5kg程度)を加える.筋緊張抑制に必要とする刺激時間は1秒-5秒程度であるが,関節可動域練習や筋力増強練習時においては刺激を持続しながら行うと効果的である. 対象検証1:足関節背屈可動域では成人15名(男性8名,女性7名,年齢31.9±9.0歳)30肢を対象に,検証2:肩屈曲・外旋可動域では成人17名(男性10名,女性7名,年齢31.6±8.7歳)のなかで,肩屈曲制限があり尚且つ外旋可動域に制限を有した24肢(右11肢,左13肢)を対象とし,各々MESを行うMES群とMESを行わないControl群(以下C群)に分けた(検証1:MES群15肢,C群15肢/検証2: MES群12肢,C群12肢).方法検証1)足関節背屈可動域へのMES効果(腱骨移行部を刺激部位に選択):MES実施肢位は仰臥位,下肢伸展安静位にて後脛骨筋停止腱の腱骨移行部(舟状骨後縁)及び短腓骨筋停止腱の腱骨移行部(第5中足骨底後縁)に対し,触れる程度の触圧刺激を同時に5秒間加え,MES実施前後で股・膝関節90°屈曲位での自動背屈可動域を1°単位で測定.C群についてはMES実施時の肢位にて5秒間の休憩を入れ休憩前後の角度を測定した.検証2)肩屈曲及び外旋可動域へのMES効果(筋腱移行部を刺激部位に選択):MES群における刺激肢位は仰臥位.肩屈曲120°-130°位で大円筋線維が広背筋停止腱に停止する筋腱移行部(腋窩後壁前面)に対し軽い圧迫刺激を5秒間実施.MES前後で端坐位での肩屈曲可動域を,仰臥位にて肩外転90°,肘屈曲90°での肩外旋可動域を1°単位で各々測定した.C群に関しては検証1と同様.統計処理には検証1,検証2共にMES(C群:休憩)前後の角度変化の比較にはWilcoxonの符号付順位和検定を,MES群とC群の角度改善率の比較にはWilcoxonの順位和検定を用いた.【倫理的配慮、説明と同意】 全ての対象者には事前に本研究の趣旨を十分に説明し,同意を得た上で実施した.【結果】 検証1)C群においては休憩前後の背屈角度に有意な差は認められなかったが,MES群においては,MES前24.8±7.4°,MES後28.4±6.4°と有意な差を認めた(P<0.01).またC群との角度改善率の比較においてもMES群で有意な差(P<0.01)が認められた.検証2)C群においては休憩前後の肩外旋可動域及び屈曲可動域の角度に有意な差は認められなかったが,MES群においては,肩外旋可動域でMES前74.3±7.8°,MES後86.6±7.0°,肩屈曲可動域でMES前144.8±6.9°,MES後154.5±7.3°と両可動域で有意な差を認めた(P<0.01).またC群との角度改善率の比較においても外旋・屈曲可動域各々でMES群に有意な差が認められた.【考察】 ストレッチングの筋緊張抑制効果として知られるIb抑制は筋腱移行部に存在するゴルジ腱器官(以下GTO)からのインパルス発射に起因する.GTOはその発射機序より筋腱移行部の圧迫刺激による変形によってもインパルスを発射する可能性があり,大円筋の筋腱移行部への刺激による可動域改善にはIb抑制の関与が推測される.腱骨移行部刺激による効果については,多くの筋が腱骨移行部またはその間近まで筋線維を有することが知られており,それらの筋においてはGTOの働きが関与していると思われる.しかし今回刺激部位とした後脛骨筋や短腓骨筋停止腱の腱骨移行部については筋線維の存在は確認されておらず,今後その機序の解明に努めていきたい.【理学療法学研究としての意義】 MESは解剖学的知識と触察技術を用いて触れる行為そのものに目的を持たせた手技であり,本研究によって理学療法士の技術向上に寄与できればと考える.
著者
祝 広孝 大通 恵美 大城 広幸 猿渡 勇 森川 綾子 野中 昭宏 古野 信宏 近藤 真喜子 坂田 光弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb0480, 2012

【はじめに、目的】 我々は第44回学術大会において骨格筋の筋腱移行部に軽い圧迫刺激を加えることにより筋緊張抑制効果が得られることを報告した.同様の効果が腱骨移行部への刺激によっても得られることが確認され,それらを組み合わせて「筋腱移行部及び腱骨移行部刺激:Muscle tendon junction and Enthesis stimulation」(以下,MES)と称し臨床に用いている.MESは速効性に優れ,評価や治療場面で広く応用できる手技である.そこで今回,MESの実施方法を紹介すると共に足関節背屈可動域と肩関節外旋可動域及び屈曲可動域に対し前者は腱骨移行部,後者は筋腱移行部を刺激部位としてMESの効果を検証し,MESの臨床における有用性について報告したい.【方法】 <u><b>MESの実施方法</b></u>骨格筋の筋腱移行部もしくは腱骨移行部に対し,軽い圧迫刺激(圧迫力は筋腱移行部で1kg-3kg,腱骨移行部では0.5kg程度)を加える.筋緊張抑制に必要とする刺激時間は1秒-5秒程度であるが,関節可動域練習や筋力増強練習時においては刺激を持続しながら行うと効果的である. <u><b>対象</b></u>検証1:足関節背屈可動域では成人15名(男性8名,女性7名,年齢31.9±9.0歳)30肢を対象に,検証2:肩屈曲・外旋可動域では成人17名(男性10名,女性7名,年齢31.6±8.7歳)のなかで,肩屈曲制限があり尚且つ外旋可動域に制限を有した24肢(右11肢,左13肢)を対象とし,各々MESを行うMES群とMESを行わないControl群(以下C群)に分けた(検証1:MES群15肢,C群15肢/検証2: MES群12肢,C群12肢).<u><b>方法</b></u>検証1)足関節背屈可動域へのMES効果(腱骨移行部を刺激部位に選択):MES実施肢位は仰臥位,下肢伸展安静位にて後脛骨筋停止腱の腱骨移行部(舟状骨後縁)及び短腓骨筋停止腱の腱骨移行部(第5中足骨底後縁)に対し,触れる程度の触圧刺激を同時に5秒間加え,MES実施前後で股・膝関節90°屈曲位での自動背屈可動域を1°単位で測定.C群についてはMES実施時の肢位にて5秒間の休憩を入れ休憩前後の角度を測定した.検証2)肩屈曲及び外旋可動域へのMES効果(筋腱移行部を刺激部位に選択):MES群における刺激肢位は仰臥位.肩屈曲120°-130°位で大円筋線維が広背筋停止腱に停止する筋腱移行部(腋窩後壁前面)に対し軽い圧迫刺激を5秒間実施.MES前後で端坐位での肩屈曲可動域を,仰臥位にて肩外転90°,肘屈曲90°での肩外旋可動域を1°単位で各々測定した.C群に関しては検証1と同様.統計処理には検証1,検証2共にMES(C群:休憩)前後の角度変化の比較にはWilcoxonの符号付順位和検定を,MES群とC群の角度改善率の比較にはWilcoxonの順位和検定を用いた.【倫理的配慮、説明と同意】 全ての対象者には事前に本研究の趣旨を十分に説明し,同意を得た上で実施した.【結果】 検証1)C群においては休憩前後の背屈角度に有意な差は認められなかったが,MES群においては,MES前24.8±7.4°,MES後28.4±6.4°と有意な差を認めた(P<0.01).またC群との角度改善率の比較においてもMES群で有意な差(P<0.01)が認められた.検証2)C群においては休憩前後の肩外旋可動域及び屈曲可動域の角度に有意な差は認められなかったが,MES群においては,肩外旋可動域でMES前74.3±7.8°,MES後86.6±7.0°,肩屈曲可動域でMES前144.8±6.9°,MES後154.5±7.3°と両可動域で有意な差を認めた(P<0.01).またC群との角度改善率の比較においても外旋・屈曲可動域各々でMES群に有意な差が認められた.【考察】 ストレッチングの筋緊張抑制効果として知られるIb抑制は筋腱移行部に存在するゴルジ腱器官(以下GTO)からのインパルス発射に起因する.GTOはその発射機序より筋腱移行部の圧迫刺激による変形によってもインパルスを発射する可能性があり,大円筋の筋腱移行部への刺激による可動域改善にはIb抑制の関与が推測される.腱骨移行部刺激による効果については,多くの筋が腱骨移行部またはその間近まで筋線維を有することが知られており,それらの筋においてはGTOの働きが関与していると思われる.しかし今回刺激部位とした後脛骨筋や短腓骨筋停止腱の腱骨移行部については筋線維の存在は確認されておらず,今後その機序の解明に努めていきたい.【理学療法学研究としての意義】 MESは解剖学的知識と触察技術を用いて触れる行為そのものに目的を持たせた手技であり,本研究によって理学療法士の技術向上に寄与できればと考える.