著者
小関 誠 レカ ラジュ・ジュネジャ 白川 修一郎
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.143-150, 2004-11-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
35
被引用文献数
2

人生の3分の1を占める「眠り」は人間にとって最も重要な生命現象の一つである。現代においては5人に1人が一ヶ月以内に不眠を経験し、外来新患では一ヶ月以上続く長期不眠愁訴を持つ者が10人に1人以上存在する。また、睡眠障害が引き起こす交通事故等の国民の経済損失は年間1兆4,000億円と算定され、医療費の支出も全国で年間5,000億円以上、睡眠薬にかかる医療コストだけでも最低1,825億円の支出があると推定されている。種々の天然成分が睡眠におよぼす効果はこれまで幾つか報告されている。ヒマラヤスギやマツなどに含まれる香気成分の一つであるセドロールには交感神経の興奮を抑制し副交感神経活動を優位にさせる効果があり、更に睡眠においては総睡眠時間の延長、入眠潜時の短縮、睡眠効率の上昇が認められている。数十種類の香気成分を含む西洋ハーブの一種であるバレリアナには鎮静効果があることが知られており、ヒト臨床試験において睡眠潜時の減少、睡眠の質の改善、徐波睡眠の延長などが確認されている。
著者
祝 広孝 大田 和雄 大城 広幸 猿渡 勇 森川 綾子 大通 恵美 関 誠 古野 信宏 近藤 真喜子 坂田 光弘 中野 朋子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P1391, 2009 (Released:2009-04-25)

【はじめに】骨格筋に対する圧迫刺激の効果については多くの報告がなされているが、刺激の入力部位について感覚器官や骨格筋の構造から検討した報告は少ない.今回、我々は筋の感覚器官であるゴルジ腱器官(以下、GTO)の構造とそのインパルス発射機序に注目し、GTOが分布するとされる筋腱移行部(以下、MTJ)に選択的に圧迫を加えることでIb抑制による筋緊張緩和が得られるのではないかと考えた.そこで腓腹筋内側頭を対象筋とし、MTJが筋表層に存在していると思われる近位内側部と表層にMTJが存在しないと思われる遠位筋腹部にそれぞれ選択的に圧迫を加え、圧迫前後の足関節自動背屈角度(以下、背屈角度)変化及び筋硬度変化について比較検討した.【対象】本研究の趣旨を十分に説明し、同意を得ることができた健常成人30名60肢(男性15名、女性15名、平均年齢30.4±5.4歳)を対象とした.【方法】対象者を起始部から筋腹下端までの距離の近位1/4の内側部に圧迫を加えるMTJ刺激群(以下、MTJ群)10名、遠位1/4の高さで筋腹の中央部に圧迫を加える筋腹刺激群(以下、MB群)10名、圧迫を加えないコントロール群(以下、C群)10名の3群に分け、腹臥位膝40°屈曲位にて測定機能付自力運動訓練装置(アイソフォースGT-300:OG技研)を用い、3kg-4kgの範囲で5秒間圧迫を加えた.圧迫前後で仰臥位にて股・膝関節90°屈曲位(以下、膝屈曲位)と膝関節完全伸展位(以下、膝伸展位)で背屈角度を1°単位で測定.筋硬度についても圧迫前後に腹臥位にて筋腹の遠位1/3、内外側幅の内側1/3の部位で筋硬度計(NEUTONE:TRY-ALL社)を用いて測定した.C群については圧迫時の肢位にて圧迫時間相当の休憩を入れ、休憩前後に同様の測定を行った.統計処理としては、各群の圧迫(C群:休憩)前後の測定値の比較にt検定を用い、C群と各刺激群の変化値の比較にはWilcoxonの順位和検定を用いた.【結果】背屈角度:圧迫前後の背屈角度の比較において、C群では膝屈曲位、膝伸展位共に角度に変化は認められなかったが、MTJ群では膝屈曲位、膝伸展位共に有意な角度増加(p<0.01)を認めた.MB群においては膝屈曲位では変化は認められなかったが膝伸展位では角度の減少(p<0.05)が認められた.C群と各刺激群の変化値の比較では膝伸展位でMTJ群に有意な角度増加(p<0.01)が、MB群では角度減少(p<0.01)が確認された.筋硬度:MTJ群で圧迫後に筋硬度の低下(p<0.05)を認めたが、C群やMB群の変化値との間に有意な差は認められなかった.【考察】GTOへの刺激入力を目的としたMTJに対する選択的圧迫の有効性が確認され、またMTJへの圧迫は軽い圧で短時間の刺激により即時的効果が期待できることが確認できた.しかしMTJ群とMB群の結果の違いからも分かるように圧迫部位によって効果に違いが生じるため、十分な効果を得る為には骨格筋の構造に関する正しい知識と正確な触察技術が必要であろう.
著者
関 誠
出版者
財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.154, pp.154_12-154_28, 2008-12-30 (Released:2011-01-26)
参考文献数
104

In 1873, Imperial Japanese Army started intelligence activity in China under the tensions preceding Taiwan Expedition of 1874. But this attempt was almost slumbered by the confusion of Japanese civil wars.When the General Staff (GS) was founded in 1878, they restarted the intelligence activity. GS dispatched 12 officers to China for information-gathering for three years. They collected military and topographical information all over the China. Also GS sent staff officers to the short trips for strategic reconnaissance. By these activities, GS could lay out a war plan against China and military review about neighboring powers. But GS was not satisfied with intelligence reports at the earlier date.Against Russia, GS started intelligence activity in 1880. But GS disposed only 2 officers in Siberia in 1882. GS tried to focus on China, shelving Russia matters.In 1882, GS was surprised by China's dispatch of troops to Korea. In China, GS was obliged to improve their intelligence apparatus and increased the number of officers from 12 to 16. Captain FUKUSHIMA Yasumasa, Military Attaché in Peking, employed informers in the Chinese Department of Military Affairs and obtained confidential papers from them. Based on the information, he realized that Chinese military modernization would fail and criticized the Japanese diplomatic policy to concert with China.In Russia, GS reduced the number of intelligence officer to only 1. In 1885, GS's intelligence in Russia was stagnant.But then GS was shocked by the British occupation of Port Hamilton, and started to pay attention to British-Russian relations. In 1886, GS reduced personnel in China and sent staff officers to Siberia and India for strategic reconnaissance. In 1887, GS appointed Fukusima to Military Attaché in Berlin. He collected information on Russia, especially the construction of the Trans-Siberian railway. Finally, in 1892, he carried out the Trans-Siberian expedition on horseback. He concluded that the Trans-Siberian railway would be completed in 10 years and after the completion Japan would be in difficult position. He insisted that Japan should make a strategic plan against Russia as soon as possible. GS also made a report estimating about transportation capacity of the Trans-Siberian railway.In 1892, GS reinforced intelligence apparatus in Russia sending Military Attaché and 3 intelligence officers to Saint Petersburg. Adding to the officer in Siberia, GS deployed 5 officers in Russia. In China, GS disposed only just 3 officers at the end of 1893. By the First Sino-Japanese war, GS intelligence placed more emphasis on Russia rather than China.In these years, GS started the intelligence from scratch, and accommodated it to international situation. The GS intelligence activities anticipated the future situation and preceded Japanese diplomacy.
著者
田村 国三郎 杉山 登 関 誠夫 田矢 一夫 山田 和俊
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.662-664, 1959

6-アミノサリチル酸のアンモニウム塩のアセトン溶液を室温に放置すると,6-アミノサリチル酸のアンモニウム塩とアセトンとから1分子の水が脱離して縮合した縮合生成物C10H14O3N2(I)が得られる。Iは塩酸塩C10H14O3N2・2HCI(II)を与える。Iの希硫酸溶液を熱すると分解して炭酸ガス,硫酸アンモニウム,アセトンおよびメタアミノフェノールを生ずる。IIは酢酸ナトリウム.塩化ベンゾィルによりIのモノベンゾィル誘導体C17H18O5N2(III)を与える。Iをピリジン・塩化ベンゾィルによりベンゾィル化すると・トリベンゾィル誘導体の無水物C31H24O5N2(IV)が得られる。IにSchotten・Baumann法により塩化ベンゾィルを反応させると・ベンズアミドとC34H32O9N2の組成の物質(VIII)を生ずる。これらの物質はまたIVにアルカリを作用させても得られた.
著者
大関 誠 中村 聖三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.97-102, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
41

各種業務の効率化や高度化の観点から,土木工学分野でのAI研究および活用が進められている.画像から損傷の判定や領域の抽出を行うアプリケーション等,維持管理分野において様々な研究がなされて既に実用化されている技術がある一方,AI活用が期待されているものの研究自体があまり進んでいない分野も存在する.本稿では,AIの適用対象を鋼構造に限定し AI活用の現状と課題,および展望と期待を述べる.AI活用の現状と課題では,土木分野全般におけるAI活用事例やコンクリート部材を対象とした事例と比較することで,鋼構造におけるAI活用状況を整理する.展望と期待では,様々な分野でのAI活用事例を参照し,鋼構造でのAI活用の方向性の検討や活用を進める上で関連しうる技術,検討活性化に向けたアイディアを提示する.
著者
横田 美幸 関 誠 大島 勉
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.580-587, 2011 (Released:2011-08-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

MAC(Monitored Anesthesia Care)は,侵襲的医療行為のあらゆる状況で適応となる.MACの本質は,診断や治療に伴う医療行為で生じてくる患者の生理学的変化(血圧変動や呼吸抑制などを含む生体維持機能)や医学的問題の麻酔科学的評価や管理である.このためには鎮痛薬や鎮静薬の投与を行うが,MACを実施する医師は,必要となればすぐに全身麻酔に移行する準備や能力が必要であることは言うまでもない.このような能力のない医師が実施すれば危険であることは明白である.したがってその技術度は,全身麻酔に準じていると考えられる.日本においてもMACの重要性については異論のないところである.したがってMACに関して共通の認識を形成し,侵襲的医療行為におけるMACの必要性を患者・国民に啓発していく必要がある.
著者
河﨑 靖範 村上 賢治 古澤 良太 尾関 誠 松山 公三郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに】蘇生後患者は低酸素脳症による高次脳機能障害や運動麻痺等の合併症のため,社会復帰に難渋する場合が多い。当院では蘇生後患者に対して,PT,OT,STや心理士が介入した多職種協働のリハビリテーション(リハ)を提供している。目的は蘇生後患者に対するリハの効果について検討した。【方法】2009年1月から2013年12月にリハを実施した蘇生後患者8例(年齢61±23歳,男/女=6/2,入院/外来=5/3)を対象として,基礎疾患,低酸素脳症身体障害の有無,ICDの植込み,リハ職種の介入,リハ期間,6分間歩行距離(6MD),高次脳機能障害,Barthel Index(BI),転帰について調査した。リハプログラムは,PTは通常の心大血管疾患リハに準じて,モニター監視下にウォーミングアップ,主運動にエルゴメータや歩行エクササイズ(EX),レジスタンストレーニングを実施し,高次脳機能障害(記憶・注意・遂行機能)に対して心理士,ST,OTが介入した。心理士は高次脳機能障害の評価とEX,STはコミュニケーション障害の評価とEX,OTはADL障害の評価とEXを実施した。各症例の心肺停止から心拍再開までの経過;症例1:自宅で前胸部痛あり,救急車要請し,救急隊到着時Cardiopulmonary arrest(CPA)状態,CardioPulmonary Resuscitation(CPR)実施,10分後心拍再開(発症から蘇生までの推定時間:約15分)。症例2:自宅で呼吸苦出現し,当院到着後CPA状態,外来でdirect current(DC)およびCPR施行,10分後に心拍再開(約10分)。症例3:自宅でCPA状態,家人救急車要請しCPR実施,約20分後救急隊到着Automated External Defibrillator(AED)施行,26分後車内で蘇生(約45分)。症例4:自宅でCPA状態Emergency Room(ER)搬送,CPRにて心拍再開(約60分)。症例5:自宅でCPA状態ER搬送,心拍再開(不明)。症例6:自宅で飲酒中に意識消失,10分後CPA状態で救急隊にてAEDとCPR施行,18分後心拍再開(約30分)。症例7:心室細動にてAED,心拍再開(不明)。症例8:フットサル休憩中に意識消失CPA状態,10分後救急隊到着AED施行,10分後救急車内で心拍再開(約20分)。【結果】基礎疾患は急性心筋梗塞5例,不整脈原性右室心筋症1例,原因不明2例であった。心室細動が確認された5例に電気的除細動が施行され,低酸素脳症後遺症は高次脳機能障害が8名中6名,右下肢の運動麻痺は1名に認めた。その後のICD植込みは4例(ICD3,CRTD1)であった。リハ職種の介入はPT8例,心理士5例,ST4例,OT3例であった。入院時6MD(m)が測定可能であった8名中4名は,リハ開始時233±196からリハ終了時425±96となった(n.s)。記憶は,高次脳機能障害を認めた6名中,検査を実施した4名の記憶を評価するリバーミード行動記憶検査は,リハ開始時は重度3名,中等度1名からリハ終了時は中等度が3名,軽度1名まで改善した。注意・遂行機能を評価するトレイルメイキング検査は,年齢を考慮しても改善傾向にあった。リハ期間は入院外来を含めて251±311(最短41~最長953)日で,リハ中の虚血性変化,不整脈等の心事故の出現はなかった。BI(点)はリハ開始時72±35からリハ終了後95±5であった(n.s)。外来2名を含む8名全例が自宅退院し,現職者4名中3名は現職復帰し,4名は退職後の高齢者であった。【考察】長期のリハ介入によって,運動能力は改善傾向を示し,高次脳機能障害は,記憶と注意の障害に改善を認めた。記憶や注意・遂行機能障害に対しては,代償手段としてのメモリーノートや携帯アラームなどの外的補助手段を活用した。また高次脳機能と脳血流量は関連があるとする報告も多くあるが,本研究においては運動能力やADLにおいて改善傾向を示したが,有意差はなかった。記憶や注意・遂行機能の改善は,自然治癒も含まれリハ効果と言うより主に障害を家族に理解して頂くための関わりが中心であり,必要に応じてカウンセリングや就労支援も実施した。【理学療法学研究としての意義】蘇生後患者の社会復帰のためには,高次脳機能障害等の合併症の観点からPTが介入する有酸素運動を中心とした運動療法のみならず,心理士,ST,OTや等の多職種協働のリハが必要と思われた。
著者
古澤 良太 冨岡 勇貴 河﨑 靖範 槌田 義美 尾関 誠
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100532, 2013

【はじめに】中大脳動脈領域損傷の患者において、ADLに必要な動作能力を有していても高次脳機能障害の影響により、理学療法やADL動作獲得の阻害因子となることを臨床上多く経験する。その中でも運動維持困難(MI)が明らかな左片麻痺患者は長期のリハビリテーション期間を要し、ADL動作や歩行の達成度が低い傾向が指摘されている(石合2003)。今回、高次脳機能障害による麻痺側下肢への持続的な荷重困難のため、安定した立位保持・歩行困難が長期間改善しなかった症例に対し、心理士と共に阻害因子を分析してプログラムの見直しを行い、自己教示法を用いた運動維持課題を実施したところ顕著な改善が認められたので、その効果を報告する。【方法】59歳女性、右利き、病前ADLは自立、特筆すべき既往歴はなかった。2011年12月に心原性脳塞栓症、左片麻痺と診断され、脳浮腫に対して外減圧術施行後、翌年1月に当院入院となった。運動機能は左下肢BRSII、非麻痺側上下肢MMT4、著明なROM制限なし、感覚テストは表在・深部覚とも重度鈍麻であった。高次脳機能障害はMI、注意障害、抑制障害、USNが認められた。動作能力は起居・起立動作は監視、車椅子駆動は自立、歩行は平行棒内にてKAFO軽介助、ADLは全般的に声かけを要し、移乗・排泄動作は介助を要していた。本介入以前は入院後早期よりKAFOを用いた起立・歩行・階段昇降・荷重exを6ヶ月間継続し、注意喚起を行うことでAFOでの荷重は可能となった。しかし、麻痺側下肢への直接的な荷重exでは荷重時間の延長を図ることは困難であったことから、原因をMIと考え、より簡易な動作でMIを改善させてから持続的に立位を可能にすることを企図した。MI exとしてJointらの評価項目(1965)から閉眼・側方視維持・頭部回旋位保持の3項目を実施した。さらに注意の転導性を認めたため、動作を持続し易くさせることを目的に目標とする秒数まで自分で数える一種の自己教示法を併用した。目標時間は確実に可能な持続時間より開始し、3日間連続して可能となった際に目標時間を漸増させた。MI exの般化指標としてJointらの評価項目より開口・固視・発声の3項目を記録した。また身体機能面の般化指標として麻痺側下肢荷重率及び持続時間、非麻痺側上下肢荷重率を日立機電社製立位練習機「エチュードボー」を使用し、記録した。MI exは3週間継続し、般化指標の評価は介入前1週間のベースライン期を含む4週間、週に3回実施した。本介入以前に実施していたその他のexは継続した。【説明と同意】本症例に対し、研究に関する趣旨を説明して同意を得た。【結果】各般化指標のベースライン期3日間と介入3週目の平均値を比較したところ、MIの指標では左右の固視以外の項目において全般的に改善が認められ、身体機能面では平均麻痺側荷重持続時間は2秒から78秒へ大幅に向上し、麻痺側下肢荷重率は5%から10%への向上を認めた。MI exでは左側方視の維持は変化が認められなかったが、閉眼・頭部回旋位保持の向上が認められた。また、MI ex導入後1ヶ月で移乗・排泄動作は自立し、歩行はさらに2週間後にT字杖とプラスチックAFOにて連続120mの監視歩行が可能となり、歩行能力の改善が認められた。【考察】今回、MIのために麻痺側下肢の持続的荷重に対する直接的なアプローチが困難なため、立位・歩行が困難な症例に対して、自己教示法を用いたMI exを試みた。立位や荷重exよりも簡易な動作としてJointらのMI評価から目標とする秒数まで自己にて数える事が可能な項目を選択した。より簡易な課題から持続可能にすることで、間接的に麻痺側下肢の運動維持が可能となった。また、簡易な課題だけではなく、確実に持続可能な目標の秒数まで自分で数えることから実施し、少しずつ目標時間を漸増させたことにより目標が明確となったこと、可能な持続時間から開始し、徐々に目標を達成したことで意欲が向上し運動の維持が容易になったと考えられた。運動維持時間が延長されたことにより、麻痺側下肢の荷重が可能となり、理学療法介入時における動作の安定性が向上した。その結果として日中の排泄動作が自立し、歩行能力が向上したと考えられた。このことから動作可能な身体機能を有していてもMIにより持続的な荷重が困難な症例に対して、MIへのアプローチは動作獲得に有用であると思われた。【理学療法学研究としての意義】MIにより直接的な荷重アプローチが困難な症例に対して、MI exが運動維持に対して有用であり、姿勢の持続に有用である可能性が示唆された。
著者
火爪 健一 関 誠 十亀 徳 上野 雅資 太田 博俊 柳澤 昭夫
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 = The journal of the Japanese Practical Surgeon Society (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.873-877, 1997-04-25
参考文献数
10
被引用文献数
3

脾よりかなり離れた大網に存在し,茎捻転によると思われる症状を呈した重複副脾の稀な1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は35歳女性.人間ドックの腹部USで左側腹部に腫瘤を指摘され精査目的で入院となった.腹部USでは左腎尾側に充実性腫瘤が存在し,腹部CTでは腎下極に始まり下行結腸を前方より圧排する均一な充実性腫瘤が見られた.血管造影では左胃大網動脈より栄養されるhypervascularな腫瘍像が見られ,他に脾下極よりに径2cmのhypervascularな多発病変が見られた.以上より副脾を疑ったが,他の悪性疾患を否定できず,また間歇的な腹部仙痛発作を認めたため,開腹術を施行した.<br> 大網前面に胃大網動静脈につながる長さ90mmの茎を有する径40mm大の副脾と,長さ25mmの茎を有する径21mm大の副脾を認めた.ともに茎の起始部で切除した.組織学的に2個とも副脾と診断した.
著者
渡辺 哲郎 五十嵐 弘 松本 邦臣 関 誠夫 間瀬 定明 関沢 泰治
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.291-296, 1977-08-20
被引用文献数
11

新規なタイプのイネいもち病防除剤につき研究したところ有効なプロベナゾール(オリゼメート^[○!R], 3-allyloxy-1, 2-benzisothiazole-1, 1-dioxide)を水銀, 燐, 塩素を含まない物質として見いだした.本物質は400ppm液としてイネに散布することにより予防的効力を発揮する.またイネの根を経由する適用法であるところの土壌処理, 土壌灌注, 薬液への浸根あるいは水面施用のいずれによっても有効であった.とくに興味あることは根を通じての施用法の場合に10アール当たり200g以下というかなり少ない薬量で十分な薬効を発揮することである.このことは本物質がこれらの施用法による利用にきわめて適しているものと考えられた.これに反し母核である1, 2-benzisothiazole-1, 1-dioxideは散布法あるいは灌注法においてプロベナゾールよりはるかに劣り, 誘導体としたことによる有利性が認められた.なお, プロベナゾールの数種作物の生育に対する悪影響は各種施用ルートにより試験されたが, 実用上の薬量ではまったく認められなかった.
著者
小林 正則 國土 典宏 関 誠 高橋 孝 柳澤 昭夫 前川 勝治郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.2399-2403, 1999-10-01
参考文献数
17
被引用文献数
10

症例は66歳の女性. 他院にてS状結腸癌にて結腸切除術1年後, 肝転移を来たし当科にて肝左2区域切除, S6部分切除を施行した. 入院時血清AFP1,036.8ng/mlと異常高値を認めた. 肉眼的に根治であったが術後短期間に皮下組織内および残肝に再発し初回手術より1年4か月後(肝切除より94日後)死亡した. 病理組織像では, 原発巣および肝転移巣ともに通常の大腸癌に見られる腺腔形成部と明るい細胞質を持つ細胞がシート状に配列した部(hepatoid differentiation)よりなっていた. AFP産生性は免疫組織学的に原発巣および肝転移巣の両者で検出された. AFP産生大腸癌の報告はきわめてまれであるが, 予後不良なこのようなタイプの大腸癌の存在することを念頭に置き, 診療に当たる必要があると考えられた.
著者
斉藤 和雄 田宮 久一郎 青梨 和正 瀬古 弘 小司 禎教 川畑 拓矢 大関 誠 原 昌弘 柳野 健 中澤 哲夫 國井 勝 田中 博 古本 淳一 永戸 久喜 村上 正隆 田中 博 津田 敏隆 古本 淳一 若月 泰孝 林 修吾 露木 義 小泉 耕 西嶋 信 石川 宜広 本田 有機 三好 建正 経田 正幸 山口 宗彦 澤田 謙 酒井 亮太 米原 仁 小野 耕介 津口 裕茂 藤田 匡 三上 彩 近藤 圭一 劉 國勝
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

集中豪雨を数値モデルで予測するため、大気の3次元的な状態を観測データを用いて精度良く解析する研究、および予測の信頼性を定量的に見積もる手法の研究を行った。非定時の観測データを同化する高解像度4次元変分法の開発、GPSデータ、マイクロ波放射計データ等の同化実験を行い、豪雨の予測が改善できることを示した。アンサンブル予報の手法をメソ現象の短時間予測に適用し、予報誤差を定量的に見積もる手法を示した。