著者
高橋 浩一
出版者
一般社団法人 日本小児神経外科学会
雑誌
小児の脳神経 (ISSN:03878023)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.65-70, 2023 (Released:2023-04-12)
参考文献数
24

新型コロナワクチン接種後に発症し,ブラッドパッチが有効であった脳脊髄液漏出症5例を報告する.対象は,新型コロナワクチン接種が原因として疑われた20歳未満の5例(男性3例,女性2例,14~17歳,平均年齢15.6歳)である.全例で頭痛があり,ワクチンはすべてコミナティであった.全例にブラッドパッチを行い,3例(60.0%)が著明改善,2例(40.0%)が部分改善と全例に治療効果を認めた.新型コロナワクチン接種後に体調不良が持続する症例では,脳脊髄液漏出症を考慮すべきと思われた.
著者
大竹 晶子 高橋 浩一郎 七沢 潔 濵田 考弘 原 由美子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.2-38, 2022 (Released:2022-04-20)

2021年夏、東京に4度目の緊急事態宣言が出される中、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、時を同じくして新型コロナウイルスの第5波が到来した。4年に1度の国際スポーツ大会の開催と同時に、同じ国内で医療崩壊が起こるという想像しがたい事態と、そこに至る過程を、テレビはどのように報道したのか。番組メタデータに基づく量的分析と、開催前、開催直後、感染爆発期の3つの時点の番組視聴に基づく質的分析により検証した。 その結果、会期中のテレビの新型コロナ報道が、ニュースの時間配分量、報道スタンス、テレビが本来果たすべき機能など、さまざまな面において東京オリンピック・パラリンピックの影響を受けていたことがわかった。
著者
七沢 潔 東山 浩太 高橋 浩一郎
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.24-60, 2021 (Released:2021-04-16)

本稿第1部で新型コロナウイルスに関するテレビ報道とソーシャルメディアの連関を検証する中で、「PCR検査」についてテレビは長期間、繰り返し扱い、またTwitterなどの反応も大きかったことが分かった。第2部ではその「PCR検査報道」にテレビによる「議題設定」機能が発動されたと仮定し、それがどのように立ち上がり、展開し、成果を生んだかを放送された番組群の内容分析と、それに反応するTwitterの投稿の分析から検証した。国内での感染が進む2月、PCR検査を受けたくても受けられないケースを伝えるテレビ報道が集中し、「検査拡充」という「議題」が設定された。そしてTwitterにも投稿が相次いだ。しかし3月になると逆に「医療崩壊」を恐れて検査拡充に反対の「世論」が現れ、緊急事態宣言下の4,5月に「議題」は後景化する。そして「第2波」が始まる6、7月には「無症状者への検査」という新たな枠組みで議論が再燃するなど、動態が見えた。
著者
高橋 浩一郎 原 由美子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.2-35, 2020 (Released:2021-04-16)

2020年は、「新型コロナウイルス」という未知のウイルスによって、世界中がかつてない経験を強いられる年となった。感染が拡大する中、日本では、4月に全国に緊急事態宣言が発出され、小中高校が休校、外出や移動の自粛を要請されるなど、人々の生活が大きく変化することとなった。この間、放送局は、取材や番組収録などに制約を受けつつも、新型コロナウイルス関連の報道にも力を割いてきた。また、この間は、テレビなど既存メディアによる取材が困難になる中、当事者や関係者からのソーシャルメディア等を使った発信が数多く行われ、それをテレビが伝えるというような、両者の相互連関が見られた。そこで、1月中旬から7月末までの期間、テレビがソーシャルメディアと連関しつつ「新型コロナウイルス」に関してどのように伝えてきたか、検証を行った。 日中から夜間の情報番組・ワイドショー、キャスターニュース番組を対象に検証したところ、これらの番組が多くの時間を割いて関連報道を行っており、ほとんどの番組で視聴率も増加していた。伝えられた諸々の内容のうち、「PCR検査」「マスク」「自粛」などに関わる話題は、一貫して伝えられた。また、テレビは一定程度ソーシャルメディア由来の情報を扱い、中でもTwitterを多く利用していた。Twitterの中ではテレビの話題に活発に反応した局面も多々見られ、相当数の投稿がなされた。両者間では、時に話題の往還が見られ、その往還が実社会に影響を与えるケースもあった。
著者
雨宮史織 高橋浩一 美馬達夫 吉岡直紀 大友邦
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
第42回日本磁気共鳴医学会大会
巻号頁・発行日
2014-09-11

【目的】自発的神経活動および認知機能異常とこれの治療による変化を低髄液圧症候群/脳脊髄液減少症患者において縦断的に評価する事。【方法】低髄液圧/脳脊髄液減少症患者の硬膜外ブラッドパッチ術施行直前及び手術一ヶ月後に安静時fMRIおよびworking memory課題を用いた認知機能評価を施行した。安静時fMRIは撮像タイミング補正、体動補正、空間的標準化、平滑化による標準的前処理の後に線形トレンド除去、低周波成分抽出(0.01-0.1 Hz)を行い同帯域での振幅の積分値を各全脳平均値で除して標準化し、自発的神経活動の指標とした(amplitude of low-frequency fluctuations, ALFF)。認知機能指標は2-back課題の正答率とした。これを回帰変数としてALFFの全脳線形回帰分析を行い両者に有意な相関のある領域を同定した。また交互作用検定により両者の相関に有意な縦断的変化があるか評価した。【結果】2-back課題の正答率は術後有意に改善した(p < 0.05)。全脳解析では認知機能指標と楔前部のALFFに正の相関、右内側前頭前皮質/前部帯状回、両側眼窩前頭皮質のALFFに負の相関が見られた(多重比較補正後p < 0.05)。右内側前頭前皮質/前部帯状回、両側眼窩前頭皮質におけるALFFと認知機能指標の負の相関は術後有意に低下した(p < 0.05)。【結論】task-positive networkにおけるALFFと認知機能指標には健常者にて正の相関がある事が知られるが、本術前患者では両者の関係は反転しており、認知機能障害の強い患者でtask-positive networkであるfrontoparietal control systemにおける異常な自発的神経活動の上昇およびdefault mode networkでの神経活動低下が示唆された。認知機能障害とtask-positive networkでの相関は術後の認知機能の回復にともなって減弱ないし反転しており、正常化が示唆された。これらは脳脊髄液減少下における機械的圧排/浮力低下に伴う前頭葉底部での異常神経放電が、可逆性認知機能障害の原因となるという仮説を支持するものである。
著者
高橋 浩一郎 土田 健一 木村 智 居相 直彦 森山 繁樹 岡信 大和 中島 光男 岡田 隆宏 松宮 功 池田 康成
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.53, pp.29-32, 2002-07-26
参考文献数
4
被引用文献数
2

地上デジタル放送の移動体向けサービスの対象のひとつに電車がある.今回,JR総武線の電車内で,3種類の試作受信アンテナを用いて受信実験を行い,走行する電車内での地上デジタル放送の直接受信の正受信時関市を測定した.ヘリカルおよびロッドアンテナは直接受信が可能であったが,ループアンテナは利得が小さく受信が困難であった.また,駅などでは人工雑音の急峻なピークが見られ,正受信時間半を劣化させていた.
著者
高橋 浩一 松本 伸 大河内 保彦 龍岡 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.777, pp.53-58, 2004-12-20
被引用文献数
4

りんかい線大井町駅部は, 用地上の制約から, シールドトンネルのセグメントの一部を撤去し, 隣接する立坑間を地中開削し, 接合して構築した. この際下部シールドトンネルが, 水圧300kN/m<sup>2</sup>を超える東京礫層に位置するため, 止水対策が最重要視された. 工期上の制限から, 薬液注入工法を採用し, 注入を1次, 2次, 補足注入の三段階とし万全を図るとともに, 注入効果を比抵抗トモグラフィ等で確認した. 確認試験結果は注入の良好性を示し, 補足注入も1次注入の1/10以下であった. さらに, 漏水のリスク低減のためのディープウェルを計画し, 三次元浸透流解析で事前検討を行なった. その結果, 大きな漏水もなく, ウェルの水位低下量, 地表面沈下等も予測と矛盾のない範囲で安全な施工が達成された.
著者
高橋 浩一郎 土田 健一 渋谷 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.469, pp.25-28, 2002-11-15

建物やトンネル,地下街における地上デジタル放送波の再遷信に漏洩同軸ケーブル(LCX)を利用するため,基礎的な検討を進めている.外来雑音を避けるためビル地階の通路に漏洩同軸ケーブルを敷設し,ダイポールアンテナを用いて電界強度とビット誤り率を測定した.実験の結果では電界強度はケーブル長さ方向に定在波状に変動し,急激な電界強度の落ち込みが観測された.また,送受信機を直結して得られる特性に対して,所要C/Nの劣化量は3dB以内であった.
著者
山上 明子 岩佐 真弓 井上 賢治 若倉 雅登 龍井 苑子 石川 均 高橋 浩一
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.162-171, 2021-06-25 (Released:2021-06-22)
参考文献数
23
被引用文献数
2

脳脊髄液減少症と診断された28例(男性13例,女性15例)の自覚症状,眼所見,調節力を検討した.また視力・視野障害のない症例に輸液治療施行前後で近見時瞳孔反応と調節をTriIRISとARK-1を用い測定し比較検討した. 眼科的な自覚症状は眼痛71.4%,ピントが合わない60.7%,単眼複視42.9%,両眼複視35.7%,視力低下 28.5%,羞明25.0%,視野異常7.1%であった. 視力低下例では眼内に異常所見がなく,視野異常例では半数で求心性視野狭窄を呈した.調節力は75.0%で年齢に比し低下傾向を示した.輸液治療施行前のTriIRISを用いた検査では輻湊時の視標への追従が悪い,瞬目が多いなど近見視に伴う輻湊や縮瞳にノイズが多かったが,輸液治療後は全例見え方の改善を自覚し,一部の症例でTriIRISでの輻湊時視標への追従の改善,瞬目の減少がみられたが,ARK-1の結果では調節微動および瞳孔径に差がなかった.脳脊髄液減少症に対する輸液治療後の見え方の改善は輻湊系の機能の改善を示唆している可能性がある.
著者
高橋 浩一郎
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.66-74, 2022 (Released:2022-12-20)

初期『おかあさんといっしょ』には、飯沢匡や川本喜八郎など、外部クリエーターが多数関わっていたことが分かっているが、映像がほぼ残っていないため明らかになっていないことが多い。今回、1962~1966年に週1回番組内で放送されていた「こんな絵もらった」(脚本・筒井敬介、作画・堀内誠一)の台本と原画写真が遺族の元に保管されていることがわかった。それらの資料を基にして、これまで十分にわかっていなかった番組の演出、内容、制作状況、外部クリエーターのかかわりなどを明らかにした。また、番組は放送外の展開を見せるが、その展開を通し、他メディアと比較してテレビが持つ特性の可能性と限界について考察した。
著者
高橋 浩一 山上 明子 石川 均 美馬 達夫
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.283-286, 2016-09-25 (Released:2016-09-28)
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
高橋 浩一 松本 伸 大河内 保彦 龍岡 文夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.777, pp.53-58, 2004-12-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
5
被引用文献数
4

りんかい線大井町駅部は, 用地上の制約から, シールドトンネルのセグメントの一部を撤去し, 隣接する立坑間を地中開削し, 接合して構築した. この際下部シールドトンネルが, 水圧300kN/m2を超える東京礫層に位置するため, 止水対策が最重要視された. 工期上の制限から, 薬液注入工法を採用し, 注入を1次, 2次, 補足注入の三段階とし万全を図るとともに, 注入効果を比抵抗トモグラフィ等で確認した. 確認試験結果は注入の良好性を示し, 補足注入も1次注入の1/10以下であった. さらに, 漏水のリスク低減のためのディープウェルを計画し, 三次元浸透流解析で事前検討を行なった. その結果, 大きな漏水もなく, ウェルの水位低下量, 地表面沈下等も予測と矛盾のない範囲で安全な施工が達成された.
著者
藤原 咲平 高橋 浩一郎 關口 領
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.255-264, 1937-07-05 (Released:2009-02-05)
参考文献数
6

If δQ1 is the total energy consumed or accumulated in unit volume of the lower atmosphere per unit time and δQ2 is that which enters in or comes out of this space per unit time δQ1 should be equal to δQ2. δQ1 and δQ2 are calculated by the following equations, We calculated numerically these equations of the atmosphere using the data obtained at Tokyo observatory. We made sure that the 1st law of thermodynamics holds satisfactorily good in the atmosphere.
著者
中川 明仁 堀江 淳 江越 正次朗 松永 由理子 金子 秀雄 高橋 浩一郎 林 真一郎
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-5, 2019

<p>慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease; COPD)患者の心理特性について,病期の違いという観点から検討した。COPD 患者38名を対象とし,エゴグラムを用いてパーソナリティを評価して,Ⅰ期群とⅡ期群の差異について比較検討した。その結果,Ⅱ期群はⅠ期群と比べてFC(Free Child)が有意に低い値となり,病期が進行すると感情の表出性が乏しくなることが示唆された。また,病期を統合してCOPD 患者全体のパーソナリティを検討した結果,CP(Critical Parent)とNP(Nurturing Parent)が同程度に最高値となり,続いてA(Adult)とFC が同程度の値となり,AC(Adapted Child)が最も低い値を示した。COPD 患者のパーソナリティの特徴として,頑固さや自己への甘さが強まり,周囲の意見やアドバイスへの傾聴の姿勢を示しにくいことが示唆された。</p>
著者
杉浦 美恵子 柴田 興一 斉藤 聡志 西村 芳子 高橋 浩一 佐倉 宏
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.530-535, 2019 (Released:2019-08-29)
参考文献数
30
被引用文献数
1

症例は41歳女性.腰痛の後,突然,起立時の頭痛が出現し,1週後,右耳閉塞感,めまい,1か月後に右手から始まり,同側の腕,側胸腹部,下肢へ広がるしびれが20~30分間出現し,同症状を繰り返すため入院した.頭部MRIで,円蓋部くも膜下出血(convexal subarachnoid hemorrhage; cSAH),脳皮質静脈血栓,硬膜肥厚,硬膜下血腫を認め,脊髄脳槽シンチグラフィーとCTミエログラフィーで髄液漏出像がみられ特発性低髄液圧症候群(spontaneous intracranial hypotension; SIH)と診断し,ブラットパッチを施行し症状は改善した.SIHは,症候が多彩で診断が困難なことがあるが,本例でみられた繰り返す片頭痛様前兆は,合併したcSAH,脳皮質静脈血栓症に関連し発現した重要な徴候と考えられた.