著者
鈴木 春菜 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.53-58, 2014

本研究では、自動車を保有しないと不便であると考えられる地方都市における、移動格差がもたらす心理的諸影響について分析を行った。自動車を利用できる環境にあるが敢えて利用しない積極的自動車非利用者と、自動車を利用したいが利用できない状況にある消極的自動車非利用者がいると想定し、消極的な自動車非利用者は自動車利用者と比較して地域愛着・主観的幸福感・地域の地理認知の水準がいずれも低いという仮説を措定した。山口県宇部市において転入者と学生に対するアンケート調査を行い、仮説の検証を行った。その結果、地域愛着・主観的幸福感・地理認知のそれぞれについて仮説を支持する結果が得られた。また、地域愛着については一般居住者については自動車利用傾向が高いほど地域愛着が低下するという結果が得られ、自動車利用の積極性による影響の差異が示された。
著者
榊原 弘之 高木 将志
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.90-97, 2022-04-25 (Released:2022-04-25)
参考文献数
15

近年,特に地方部において,地域活性化における大学生の貢献が期待されている.一方,多くの地方大学が大学所在地域に関する学習プログラムを導入しつつある.本研究では,中国・四国・九州地方の大学生を対象としたウェブアンケート調査を実施し,地域に関する学習プログラムが学生のまちづくり参加意識に及ぼす影響を定量的に評価した.調査の結果,学所在地に関する学習経験を有する学生は,そのような経験のない学生と比較して,WS,インターンシップ,イベント運営への参加意欲がいずれも有意に高いことが示された.特に,他大学との交流が少ない学生や地方部の学生など,社会ネットワークの形成において相対的に不利な立場にあると考えられる学生ほど,学習プログラムが参加意識の向上に与える効果が高いことが示唆された.
著者
鈴木 春菜 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.53-58, 2014-04-25 (Released:2014-04-25)
参考文献数
9

本研究では、自動車を保有しないと不便であると考えられる地方都市における、移動格差がもたらす心理的諸影響について分析を行った。自動車を利用できる環境にあるが敢えて利用しない積極的自動車非利用者と、自動車を利用したいが利用できない状況にある消極的自動車非利用者がいると想定し、消極的な自動車非利用者は自動車利用者と比較して地域愛着・主観的幸福感・地域の地理認知の水準がいずれも低いという仮説を措定した。山口県宇部市において転入者と学生に対するアンケート調査を行い、仮説の検証を行った。その結果、地域愛着・主観的幸福感・地理認知のそれぞれについて仮説を支持する結果が得られた。また、地域愛着については一般居住者については自動車利用傾向が高いほど地域愛着が低下するという結果が得られ、自動車利用の積極性による影響の差異が示された。
著者
三浦 房紀 鈴木 素之 村上 ひとみ 中村 秀明 多田村 克己 瀧本 浩一 朝位 孝二 大島 直樹 久長 穣 榊原 弘之 三石 真也 中田 幸男
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、行政と住民が協力して災害時の情報を収集、処理、提供するとともに、災害時要援護者の安否確認を迅速に行い、救助活動を支援するシステムの開発を行った。入力情報には、気象庁の情報のほか、地震計と3次元雨量計を設置して、独自でも入力できるシステムとした。広く住民に情報を提供するためには、デジタルサイネージを用いて、安否確認システムの要援護者が持つ端末はスマートフォンを用いて、サーバはクラウドシステムを用いてシステム構築を行った。宇部市をモデル地域として、市の防災や福祉に関連する部署、高齢者、聴覚障碍者の協力を得て、プロトタイプシステムを構築、その機能検証を行った。
著者
榊原 弘之 倉本 和正 菊池 英明 中山 弘隆 鉄賀 博己 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.658, pp.221-229, 2000

本論文では, がけ崩れに寄与する重要要因の抽出を目的として, ラフ集合を用いたデータマイニングを山口県のがけ崩れ発生・非発生データに対して実施する. まず, 地形要因データにおける重要要因を抽出し, 比較的少数の要因によって, 大部分のがけ崩れ発生・非発生を矛盾なく説明できることを示す. さらに, 地形要因と降雨要因を組み合わせたデータへも同様の手法を適用し, 降雨時に警戒対象とすべきがけの選別手法を示した. 本論文により, ラフ集合によるデータマイニングを土砂災害の発生・非発生データの分析に用いることができることが明らかとなった.
著者
村上 ひとみ 榊原 弘之 瀧本 浩一
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では地震後非常参集における交通手段アンケート調査から自転車活用条件を明らかにした。東日本大震災では名取市における津波避難アンケート調査をもとに、渋滞は厳しいが、身の危険は徒歩・自転車より自動車の方が低いこと、自転車は避難開始が早く機動性に優れることを示した。山口市の住民アンケート調査から自家用車依存が地理知識獲得に負の影響を及ぼし、地域活動参加が公共施設や商店等の正規化得点を高める傾向を示した。また災害早期の被害情報共有に役立つモバイル情報システムを開発した。以上を併せて、日常の自転車利用を促進し、自家用車依存を軽減することで、非常参集や津波避難に役立つ等、地震防災への効用が示された。
著者
朝位 孝二 古賀 将太 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.30-40, 2011 (Released:2011-05-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

近年水害経験のある流域に配布されたハザードマップの公開効果を把握と流域住民の効果的な防災意識向上の方法を探索することを目的として,山口県岩国市の錦川中流部(美川地域,錦地域)住民にアンケート調査を行った.アンケート調査はハザードマップ配布前後の2回行った.調査の結果,水害対策行動に至る心理段階として「知識」が,規定因として「愛着感」「危機感」が主要な要因であることが分かった.水害対策行動の実施確率からハザードマップの配布効果があることが示唆された.さらに,「知識」「台風14号の被災経験」「危機感」「有効感」「負担感」「ハザードマップの分かりやすさ」が防災意識向上の鍵となることが分かった.
著者
長曽我部 まどか 武吉 弘樹 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_69-I_80, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
50

市民や地域住民自らがコミュニティに存在する問題を解決するためには,コミュニティの問題認識を明確化する必要がある.本研究では,コミュニティの中で市民や住民自らが主体的に問題解決を図る仕組みをコミュニティ・ガバナンス,コミュニティ全体の認識を「社会的文脈」と呼ぶ.社会的文脈は,時系列的に遷移するものと考えられる.そこで,近年の自転車交通問題を例として,コミュニティ・ガバナンスにおける社会的文脈の遷移過程を明らかにした.新聞記事テキストの内容分析を行い,ある特定の語と共起する語群より社会的文脈を特定した.さらに共起語の時系列的な変化より,社会的文脈の遷移過程を明らかにした.近年の自転車交通問題では,自転車の放置問題から,道路空間上での自転車走行のあり方へと社会的文脈が遷移したことを示した.