著者
橋本 誠一
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、静岡県をフィールドとして、おもに明治維新から明治 10年頃までの時期の(1)法学教育、(2)裁判所制度のあり方、(3)訴訟と代言人活動の実態を解明することを目的とした。そのうち研究目的(1)「法学教育」については論文(5)を、研究目的(2)「裁判所制度」については論文(1)と(2)を、研究目的(3)「代言人」については論文(3)をそれぞれ執筆した。
著者
橋本 誠志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.45-64, 2003-03

論説ブロードバンドサービスの普及に伴い我が国は本格的なインターネット常時接続時代へと突入している。インターネットに長時間接続するユーザーが増加するにつれ、インターネット上にユーザーの個人データが流出する危険性は拡大する。精度の高い個人データが一旦、ネットワーク上に流出すれば、データ主体は、たとえ犯人が逮捕された後も私的生活の平穏を脅かされるリスクを常に背負う。個人データの流出予防策に加え、実際にデータが流出した際の被害拡散防止策の充実が今後のインターネット上の個人データ保護政策にとって不可欠である。現在のプライバシー侵害の主な救済手法である不法行為構成には、要件上の限界が存在し、権利保護に費用と時間がかかるばかりでなく、(1)賠償額も低額しか認容されない、(2)立証責任、時効面で柔軟性に欠ける、(3)権利保護の程度が貧富の差に左右される等の問題がある。近時では、情報主体と事業者間において契約関係が存在する場合、事業者がデータ主体の同意した範囲を超えた情報取扱をした場合に債務不履行責任を認める契約アプローチが提唱され、米国では、既にインターネット上での個人データ保護政策のフレームワークとして利用されている。しかし、我が国では事業者のプライバシーポリシーの監視制度やプライバシー保護団体のサポートが機能しておらず、契約アプローチの実効性は期待できない。本稿では、近時のプライバシー保護技術の動向に鑑み、インターネット上への個人データ流出した際の被害拡散防止手法として、財産権的アプローチの有効性を検討し、インターネット上での個人データの交換にライセンス制の導入を提案する。
著者
橋本 誠志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.128, pp.91-98, 2006-11-30

ネットワーク上に個人データが流出した場合、司法手続による救済は本質上手続終結に長時間を要する。このデジタル情報の即時流通性との間のタイムラグにより、データの2次流出が発生し、手続中に被害が拡大し、今後その役割を十分に果たしえなくなることが考えられる。この問題への対応として、筆者は自動実行型代替的紛争処理(ADR)機能を有する電子的自力救済型個人データ保護制度の設計を試みてきた。本稿では、特に制度運営のための制度参加者の費用負担方法を検討する。These days, it is difficult for the present judicial system to play a part as a main framework for relief of privacy infringement due to serious time lag problems between strict judicial procedures and instantaneous data circulation on the network. The author has architected a remedy system, using an electronic self-help approach, against deteriorations to privacy infringement in the trouble of occurrence of personal data leak on the Internet. This paper suggests user's cost responsibility for this system.
著者
本村 憲史 橋本 誠志 井上 明 金田 重郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.2985-3000, 2000-11-15
被引用文献数
5

ネットワーク上にあふれている個人情報は,デジタルデータであるがゆえに,複数ソースからのデータを統合できる.このため,紙に書かれた個人情報と比べ,個人のプライバシー侵害を招く危険性が大きい.欧米には,この種の情報統合の危険性を視野に入れたプライバシー保護法制が存在する.たとえば,ドイツ身分証明書法は,個人IDによる情報統合を禁止しており,民間部門に対するプライバシー保護法制自体が存在しないわが国と大きく異なっている.ただし,先進的な欧米のプライバシー保護法制といえども,ここで想定されているのは,キー属性による統合である.しかし,非キー属性であっても,複数属性を併用すれば,実質的にキー属性と等価に働くことに注意をすべきである.いずれにせよ,デジタルデータ化された個人情報は,統合が容易であり,データ主体・データ管理者の予知範囲を超えて侵害が発生する.特に,インターネットで広く利用されているCookieは,この情報統合の有力な手段であり,米国のみを視野に入れた仕様であるために,わが国では情報統合の危険がより大きい.情報統合によるプライバシー侵害は,個々のデータ管理者の善良なる管理監督のみでは防ぎえない.わが国でも,情報統合を前提とする法制度の確立と,あわせて,データ主体が個人情報の存在をつねに把握しうる,個人情報流通管理システム/データ監察官の設置が必要である.This paper discusses data combination,which is a new type of privacy infringement in a computer network.It is someone combines plural data in the network according to a key attribute and gets complete profiles of a target person.It is one of the most effective means of Database marketing in the present information society.But it has a risk of serious privacy infringement at the same time.This paper tries to show positive policies to this problem.Firstly, it surveys West European privacy protection law systems,which suppose data consolidation and discusses how to evaluate the possibility of privacy infringement.Thirdly this article clarifies the functions of ``Cookie'' in the Internet, experimentally.Our experiment shows we can easily exchange ``user ID'' between two companies in Japan.Because there are no privacy protection law systems, which suppose a private sector,data combination and privacy infringement with ``Cookie" are to be more serious in Japan.As a conclusion this article suggests necessities of positive counterplans: construction of law and information systems supporting personal data exchange and protection fitted to data consolidation.
著者
橋本 誠 樋口 宜男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.95, no.41, pp.1-8, 1995-05-18
被引用文献数
5

本稿では、話者選択と移動ベクトル場平滑化(VFS: Vector Field Smoothing method)による、声質変換を目的としたスペクトル写像法(SSVFS: spectral mapping using Speaker Selection and VFS)を提案した。本手法は、予め複数登録話者の音声データを準備しておき、次の3つのステップによりスペクトルの写像を行なう。(1)話者選択により、目標話者に最も近い登録話者を1名選択し、(2)VFSにより、選択された話者のスペクトルコードブックから目標話者空間への移動ベクトルを求め、(3)移動ベクトルを用いて、選択話者から目標話者へ、任意の発話内容のスペクトル写像を行なう。話者選択を用いることにより、比較的距離の近い話者間で写像が行なえるため写像による誤差を抑えることができ、またVFSを用いることにより、少ない学習データでスペクトル写像を行なうことが可能となる。本手法を、1単語のみの学習により、目標話者を男女各4名、評価音声を50単語として平均ケプストラム距離で評価した。また、目標話者男女各1名に対する聴取実験による評価も行なった。実験の結果、(1)変換音声と目標話者音声との平均ケプストラム距離は、選択話者音声と目標話者音声との距離よりも減少すること(全目標話者平均減少率:約24.5%、最大減少率:約40.7%)、(2)約66%の割合で変換音声が選択話者音声より目標話者音声に似ていると判定され、VFSを用いない場合より高い判定率を得ること、が明らかとなり、本手法の有効性が示された。