著者
高坂 和久 小沢 総一郎 檀原 宏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.559-566, 1973

0.5Mrad照射後3日目までは,色沢の劣化はみられないが,咀しゃくないしのど越し時に,微かに照射臭が認められた。<BR>しかし,7日目ぐらいになると,照射ソーセージは退色を示し,色沢の劣化が認められた。一方,照射臭は薄くなり,よほど注意しないとわからない程度であった。<BR>この間,外観,肉質には全く変化がみられなかった。<BR>調理条件を変えた場合,嗜好性は,照射非照射間にわずかの差を生じたが,照射臭は湯煮処理(80℃5~7分)がもっとも識別を困難とし,冷時と油いためは,注意して比較すれば,識別ができる程度であった。<BR>以上の結果から,ウィンナーソーセージにγ線を0.5Mrad照射した場合,照射後2~3日目までは照射臭がわずかに残るが,嗜好性を根本的に変化させるほどではなく,調理条件によっては,さらに低減し得ることがわかった。
著者
三橋 俊彦 檀原 宏
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.320-322, 1967 (Released:2010-02-22)
参考文献数
2

これまで5回行なわれた中共の核実験による, 牛乳の放射性ヨウ素 (I-131) の汚染濃度を, 爆発の翌日から毎日測定した。その結果,1) 中共の核実験により, 我国の牛乳に放射性ヨウ素が, 極めて明りょうに, かつ速やかに現われた。2) その濃度, 最高値の現われる時間は, 核実験の規模などで異なるが, 第1回目で千葉の牛乳では最高400pCi/lが記録され, 汚染は1カ月ほど続いた。3) 第2回以降には, あまり大きな濃度が検出されず, 7~10日間で汚染は消失した。
著者
吉川 昌之介 山本 達男 寺脇 良郎 笹川 千尋 江崎 孝行 檀原 宏文 渡辺 治雄 岡村 登 橋本 一 吉村 文信
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

組換えDNA実験技術を始めとする分子生物学的、分子遺伝学的技術を病原細菌の病原性の解析に応用することを目的としてこの総合研究班を結成し、3年間補助金を受けた。研究分担者総数21名という大規模な班員構成からなり、各分担者の対象とする菌種も多岐にわたり、ビルレンス遺伝子の存在部位も染色体性、プラスミド性、およびバクテリオファ-ジ性と異るため各分担者の研究達成の難易度には著しい差があった。組換え体の選択方法、汎用される宿主・ベクタ-系でクロ-ン化できるか否か、EK系を用いることができるか否か、仮にクロ-ン化できたとしてそれが完全に形質発現するかなどにも大きな差があった。この壁を乗り切るためにベクタ-系を開発するところから始めたり、新たに宿主に特殊の変異を生じさせたり、遺伝子導入のために特殊の方法を採用したり多くの試行錯誤が行われた。幸に長時間にわたる班会議の議論を通じてこれら問題点の克服の方法が模索され、解決のための示唆が与えられた結果、各分担者それぞれがほぼ所期の目的を達した。セラチアの線毛、サルモネラの病原性、赤痢菌の病原性、大腸菌の表層構造、赤痢菌の抗原、らい菌の抗原、バクテロイデスの病原性、とくに線毛、腸管感染病原菌の粘着因子、コレラ菌の溶血毒、ナグビブリオの溶血毒、腸炎ビブリオの溶血毒、緑膿菌のサイトトキシン、Pseudomonas cepaciaの溶血毒などにつき、その遺伝子の存在様式、遺伝的構造、塩基配列の決定、形質発現の調節機構、前駆体物質のプロセツシング機構などを明らかにし、その病原的意義の解明に一定の知見を得ることができた。これらは多くの原著論文の他、シンポジウム、講演、研究会、総説などに発表したが、各分担者それぞれにより深く研究を堀り下げ、より完全な形で完成するべく努力を続けることになろう。ともあれ本邦のこの領域の発展に大いに寄与したことは間違いないと思う。
著者
檀原 宏文 岡田 信彦 羽田 健
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

Salmonellaの上皮細胞侵入性は、本菌が感染を成立させるための重要なビルレンス形質の一つである。本研究では、トランスロケーターとしてのSipCの疎水性アミノ酸領域の機能発現に対する重要性を明らかにするとともに、変異型SipCを利用したワクチン開発の可能性について検討し、以下の結果を得た。1)S.Typhimurium sipC変異株に野生型SipCを発現するプラスミドまたはSipC疎水性アミノ酸領域を欠失した変異SipCを発現するプラスミドを形質転換すると、野生型SipCではビルレンス形質を回復したが、変異SipCではビルレンス形質を回復することができなかった。2)疎水性アミノ酸領域での溶血活性に関与する機能的なアミノ酸を、PCRを用いたランダム変異導入法によって分離同定し、得られた点変異型SipC-S165Pを用いて、ビルレンス形質への影響を明らかにしたところ、Sipc-Sl65Pは、sipC変異株のビルレンス形質を回復できなかった。3)精製したSipC-Sl65P-FLAGを、HeLa細胞の培養液中に加え、共焦点顕微鏡で観察したところ、SipC-S165P-FLAGの細胞膜への挿入まみられなかった。次に、pFLAG-sipCおよびpFALG-sipC-S165Pを発現するSalmonella野生株を、Hela細胞に感染させ、宿主細胞内に挿入されたsipCの局在を調べた結果、sipc-FLAGは、細胞膜画分に局在するのに対して、sipC-s165P-FLAGの膜画分への局在はみられなかった。4)ストレプトマイシン処理マウス(C57BL/6,♀,8週齢)を用いて、各変異のSipC機能への影響をin vivoで検討した結果、野生型SipCを相補したsipC変異株のみ、野生株と同様に盲腸粘膜での炎症反応が惹起された。以上のことから、SipCの疎水性アミノ酸領域はSipCの機能発現に重要であり、また、165番目のセリンは、SipCが宿主細胞膜へ挿入するために必要なアミノ酸であることを明らかにした。現在、ストレプトマイシン処理マウスを用いた感染モデルを用いて、Sipc-S165Pがワクチン成分として感染防御機能を持つかどうか検討中である。
著者
檀原 宏 三橋 俊彦 野崎 博
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.503-505, 1964

牛体内の柔組織間におけるCs-137の汚染濃度の分布を調べる目的で, 正常に飼養されている18ヵ月齢の牡牛を屠殺し, 各臓器, および筋肉についてK, Cs-137の含量を測定した。同時に, 数種の臓器ではCa, Sr-90の測定をも行なった。その結果, Sr-90は第1胃, 腎および大腸部に若干検出されたのみであった。Cs-137は, すべての臓器にも見出され, 2-15CUの間におさまり, 高くはないが決して0とはいえなかった。各組織間のCUの分布には, 一定の傾向が見出せなかった。