著者
佐々木 重洋 和田 正平 井関 和代 慶田 勝彦 武内 進一 野元 美佐 和崎 春日
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、今日のアフリカ諸社会にける青少年に注目し、彼らがそれぞれどのように文化を継承、再創造、あるいは破壊しているのか、その実態を明らかにした。また、それぞれの地域社会において継承されてきた伝統的な成育システムや相互扶助組織、各種の結社等の調査研究を通じて得られた成果をもとに、今後グローバル化の一層の進展が予想されるアフリカにおいて、将来的に青少年の人権を保護し、彼らの生活上の安全を保障するとともに、彼らが文化の担い手としての役割を十全に発揮できるような環境づくりに寄与し得るような指針のいくつかを提供することができた。グローバル経済の急激な浸透に直面する今日のアフリカの青少年にとって、人間の安全保障や人間的発展などが提唱する「能力強化」は、法的権利の行使や政治的発言力の獲得、女性の地位向上と彼女たちによる自らの主体性への覚醒、グローバル経済にアクセスして相応の利益を獲得するうえで確かに重要であり、そのために読み書きや計算などの基礎教育を充実させることには一定の意義がある。ただし、それぞれの地域社会で継承されてきた伝統的な成育システムがもつ今日的意義は決して過小評価されるべきでない。基礎教育の普及は、しばしばこれら伝統的成育システムの否定に結びつきがちであるが、それぞれの地域社会の文脈において、こうした伝統的成育システムがもつ多面的意義を正確に理解し、それらへ基礎教育を巧みに接合させる方途を探求することが有効である。本研究におけるこれらの成果は、人類学やアフリカ地域研究のみならず、コミュニティ・べースの開発論があらためて脚光を浴びている開発・経済学の分野にも一定の貢献をなし得るものと考える。
著者
大串 和雄 千葉 眞 本名 純 月村 太郎 根本 敬 狐崎 知己 木村 正俊 武内 進一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、複雑化を増す現代世界における政治的暴力の力学解明を試みた。取り上げた課題は主として以下の通りである。(1)グローバル化時代の暴力に関する政治理論的考察、(2)民族浄化の概念とメカニズム、(3)パレスチナ解放闘争におけるアラブ・ナショナリズムと個別国家利害の相克、(4)犯罪対策と治安セクター改革におけるインドネシア軍の利益の維持・拡大、(5)グアテマラにおける政治的暴力、(6)アフリカ諸国における民兵、(7)ビルマ難民の民主化闘争における非暴力の位置づけ、(8)ラテンアメリカの移行期正義。