著者
武藤 純 調 憲 間野 洋平 本村 貴志 武石 一樹 戸島 剛男 内山 秀昭 武冨 紹信 前原 喜彦
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.985-990, 2011-08-01 (Released:2011-08-23)
参考文献数
12

症例は30代女性で,健診時,腹部超音波検査にて肝外側区域に限局する胆管拡張を指摘されたが充実成分を伴わず経過観察されていた.1年後,胆管拡張は左葉全域から総胆管におよび外側区域内に5cm大の充実性病変が認められた.精査の結果,粘液産生性胆管腫瘍(Intraductal papillary neoplasm of the bile duct;以下,IPN-Bと略記)と診断し,肝拡大左葉・尾状葉切除術,胆道再建を行った.腫瘍は外側区域を中心とする最大径5.5cmの多房性嚢胞性腫瘤で,病理組織学的にムチン産生性のIntrductal papillary adenocarcinomaであった.切除後11か月が経過した現在,再発なく経過している.IPN-Bの自然経過についてはいまだ不明な点が多く,本症例のように経過を観察しえた症例はまれである.若干の文献的考察を加え,報告する.
著者
柏倉 さゆり 本間 重紀 柴崎 晋 吉田 雅 川村 秀樹 武冨 紹信
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.89-93, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
16

背景:今回われわれは全周性狭窄をきたした直腸癌に梅種子が嵌頓したことによりイレウスを発症した1例を経験したので報告する.症例:63歳男性.便秘を主訴に前医受診.下部消化管内視鏡検査にて直腸Rsに全周性の2型病変(tub1)を認め,直腸癌の診断で手術目的に当科紹介となった.入院後3日目より嘔吐が出現し,CT検査にて病変部に種子様構造物を認め口側腸管の拡張も認めたため,植物種子による嵌頓イレウスと診断した.経肛門的イレウス管を挿入し減圧を図り,挿入7日目に待機的腹腔鏡下低位前方切除術,D3郭清を施行した.切除標本では腫瘍狭窄部位に直径2cm大の梅種子が嵌頓していた.術後は合併症なく経過し,術後10日目に退院した.なお,本人は梅種子を丸呑みする習慣や,近日中に飲み込んだ記憶はなかった.結語:狭窄高度な直腸癌の場合には植物種子がイレウスの誘因となることがあり,注意が必要と考えられた.
著者
深井 原 島田 慎吾 若山 顕治 嶋村 剛 山下 健一郎 藤堂 省 武冨 紹信
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.176-180, 2013-07-10 (Released:2014-11-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Extended criteria donor(ECD)グラフトの安全な利用のために,新しい臓器修復,保存法の実用化が求められている.単純冷保存に対する臓器灌流の優位性は腎移植,肝移植で示された.心停止グラフトは,摘出後ただちに酸素化灌流すれば灌流温度によらず修復されるが,灌流前に冷保存が加わると修復されがたい.本稿では,腎臓,肝臓の単純冷保存と臓器灌流の知見を整理し,実用性の高い方法論を確立するために克服しなければならない課題を明らかにすることを目的とする.
著者
池上 徹 武冨 紹信 杉町 圭史 副島 雄二
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

C型肝硬変に対する肝移植術後インターフェロン(IFN)治療を48週以上施行し得た症例を対象とした。Core領域アミノ酸変異、NS5Aの変異、IL28BSNPとVR率およびSVR率との比較を行った。IFN治療によるSVR率は47. 8%であった。IL28B major/major群(n=29)およびmajor含有群(n=20)のSVR率はそれぞれ68. 9%および15. 0%であった。また、major/major群の内、AA70/91(double wild=1)、ISDR(変異2個以上=1)、IRRDR(変異6個以上=1)で解析すると、合計ポイント0(n=5)、1(n=12)、2(n=10)、3(n=2)それぞれのSVR率は40. 0%、66. 7%、80. 0%、100%であった。またmajor群のSVR率は15/19=78. 9%、minor群のSVR率は33. 3%であった。