著者
荒木 不次男 守部 伸幸 下之坊 俊明 吉浦 隆雄 池上 徹 石戸谷 達世
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.939-947, 2004
参考文献数
14
被引用文献数
3 1

近年,リニアック装置を用いた頭部の定位放射線照射(stereotactic irradiation : STI,これにはSRSとSRTが含まれる),ガンマナイフ装置による定位手術的照射(stereotactic radiosurgery : SRS),サイバーナイフ装置による定位放射線治療(stereotactic radiotherapy :SRT)が急激な勢いで普及している(現在,サイバーナイフ装置は稼動停止状態である).さらに北米では,サイバーナイフの出現によりSRTは頭部のみならず体幹部にまで普及しはじめている.わが国においても一部の施設では,リニアック装置による動体追跡による高精度なSRTが試みられている.しかしながら,これらの定位放射線照射で用いられる極小照射野であるナロービームに問しては,十分に線量評価が確立されていないのが現状である.特に10mm以下の照射野に関しては,現在フィルムや半導体検出器などが利用されているが,フィルムでは濃度-線量変換の精度の問題,半導体検出器においてもエネルギー依存性や方向依存性などの問題があるため,より精度の高い検出器の開発が求められている.本研究班の目的は,初期の蛍光ガラス線量計に新かな技術的改良を加えて最近開発された蛍光ガラス線量計^<1,2)>を用いて,現在不可欠な放射線治療となってきているナロービームを用いた定位放射線照射の高精度な線量評価を確立することである.蛍光ガラス線量計は熱蛍光線量計(thermoluminescence dosimeter : TLD)に代わる新たな検出器として期待されているが,高エネルギー放射線治療領域の線量評価に対する報告はまだ少ない.本研究班報告書では,1)蛍光ガラス線量計の高線量モードにおける物理特性の評価,2)リニアック,サイバーナイフ,ガンマナイフ装置のナロービームの出力係数の評価について報告する.特に出力係数の評価については,現在一般的に使用されている他の検出器との比較から蛍光ガラス線量計の有用性について明らかにする.
著者
池上 徹郎 牧野 伸治
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.229-235, 2004 (Released:2005-06-17)
参考文献数
37
被引用文献数
5 7

リフトバレー熱ウイルスはブニヤウイルス科, フレボウイルス属に属するネガティブ鎖RNAウイルスである. このウイルスは蚊によって媒介され, 家畜, 人に感染, 疾病を引き起こす. 本ウイルスは3つの分節ゲノム (S, M, L) からなり, S分節はNおよびNSs遺伝子がそれぞれアンチウイルスセンス鎖, ウイルスセンス鎖にコードされたアンビセンス鎖である. 感染するとウイルス蛋白の合成, ウイルス粒子放出とともに, 宿主細胞の蛋白合成が停止する. NSsが宿主RNAポリメラーゼIIの転写因子TFIIHの機能を阻害することによってmRNAの合成を抑制することが宿主蛋白合成の停止の原因であると思われる. 本ウイルスのReverse genetics systemの確立はウイルスの病原性, ウイルスの複製及びウイルスと細胞の相互作用の解析のみならず, 今後のワクチン開発にも重要であると考えられる.
著者
荒川 泰彦 三浦 登 濱口 智尋 三浦 登 冷水 佐尋 難波 進 池上 徹彦 荒川 泰彦 森 伸也
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

本特定領域研究プロジェクトは、日英の優れた材料開発、特徴ある測定手段、理論グループの支援を総合的に融合して、ナノ構造デバイスに関する物理的基礎研究の飛躍的進展を図り、これを背景に次世代の光・電子デバイスの可能性を提示することを目的として、1999年から5年計画で日英の相互交流、共同研究を主眼として遂行された。わが国と英国のこの分野における第一線の研究者が重要な知見を挙げ、プロジェクトとしての成果を十分達成した。本年度は、5年間の研究の総括を行うために、ナノ物理およびナノエレクトロニクスに関する日英国際シンポジウムをわが国で開催することを活動の主眼とした。総括班メンバーは、領域代表者および計画研究代表者からなる。なお、三浦、濱口は、プロジェクト実施期間中にそれぞれ東京大学と大阪大学を定年になったため、荒川および冷水に交代している。具体的には、これまでの研究活動の総括として、ナノ物理・ナノエレクトロニクスに関する日英国際シンポジウムを、【日英ナノテクノロジーシンポジウム-物理から情報素子およびバイオまで-】として、平成17年3月16日(水)に東京虎ノ門パストラルで開催した。この会議では、英国のこの分野における主要メンバーを招聘するとともに、わが国の第一線の研究者である特定領域メンバーが中心となりプログラムを構成した。講演者は、L.Eaves教授(University of Nottingham)、安藤恒也教授(東京工業大学)、D.A.Williams博士(Hitachi Cambridge Laboratory)、M.Skolnick教授(University of Sheffield)、荒川泰彦教授(東京大学)、J.M.Chamberlain教授(University of Durham)、原田慶恵室長(東京都臨床医学総合研究所)であった。また若手研究者によるポスター発表も行われた。有意義な情報交換を行うとともに、日英研究協力の将来の発展に向けて討論が行われた。
著者
池上 徹 武冨 紹信 杉町 圭史 副島 雄二
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

C型肝硬変に対する肝移植術後インターフェロン(IFN)治療を48週以上施行し得た症例を対象とした。Core領域アミノ酸変異、NS5Aの変異、IL28BSNPとVR率およびSVR率との比較を行った。IFN治療によるSVR率は47. 8%であった。IL28B major/major群(n=29)およびmajor含有群(n=20)のSVR率はそれぞれ68. 9%および15. 0%であった。また、major/major群の内、AA70/91(double wild=1)、ISDR(変異2個以上=1)、IRRDR(変異6個以上=1)で解析すると、合計ポイント0(n=5)、1(n=12)、2(n=10)、3(n=2)それぞれのSVR率は40. 0%、66. 7%、80. 0%、100%であった。またmajor群のSVR率は15/19=78. 9%、minor群のSVR率は33. 3%であった。
著者
森根 裕二 島田 光生 居村 暁 池上 徹 金村 普史 中村 隆範
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では肝再生における新たな調節因子をなりうるソニック.ヘッジホッグ(SHH)の作用機序についてラット肝切除モデルを用いて検討した。PCNAlabering index(L.I.)は術後24時間が最も高値で、非実質細胞ではPCNAL.I.は術後経時的に上昇した。全経過において、肝実質細胞.非実質細胞ともにPCNAL.I.は90%肝切除モデルが有意に高値であった。Shhに関しては90%・70%肝切除モデル間に発現強度の差はないが、肝実質細胞では術後24時間で最も高値で、術後経時的に上昇した非実質細胞は異なる発現パターンであった。肝実質細胞では各Zoneに均等に発現していたが、非実質細胞ではZone 1にのみ発現増強していた。Gli-1はShh発現と同様の発現パターンを呈した。本研究はShh pathwayが肝再生において、肝実質細胞・非実質細胞の再生と肝組織構築に重要な役割を果たすことを示唆した。