著者
永澤 健 白石 聖
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.423-433, 2011 (Released:2011-12-28)
参考文献数
27
被引用文献数
6 9

In this study, we examined the effects of static stretching (SST) for different durations on muscle oxygen saturation (StO2) and muscle blood flow (BFmus) in the stretched muscles during and after SST. Nine healthy male subjects received passive SST of the wrist flexors. SST was performed for 10, 30, and 60 s. The StO2 and BFmus in the forearm flexor muscles were measured by near-infrared spectroscopy. BFmus was determined from the rate of increase in total hemoglobin during venous occlusion. StO2 decreased immediately at the start of stretching, and thereafter kept decreasing until the end of SST. StO2 replenished rapidly after completion of SST and remained above the resting level during the recovery period. For all 3 durations of SST, the peak value of StO2 during the recovery period after SST showed a significant increase above the resting value (p<0.01) (10-s SST: 72.5±2.8%, 30-s SST: 72.5±1.8%, 60-s SST: 73.0±2.2%). There was no significant difference in the increase in the peak values of StO2 after SST among the 3 SST durations. For all durations of SST, BFmus after SST increased significantly above the resting level (p<0.01) (10-s SST: 2.6±1.2 fold, 30-s SST: 2.8±1.6 fold, 60-s SST: 2.9±1.0 fold), but there was no significant difference in the increase of BFmus after SST among the 3 SST durations. These results show that SST of wrist flexors for 10 s, 30 s, and 60 s induced an increase in StO2 and BFmus after SST, but the increase in StO2 and BFmus was not affected by SST duration.
著者
永澤 健 根本 勇 中村 夏実 岩竹 淳 黒田 善雄
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.89-96, 2001-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

本研究は, クレアチン (Cr) ローディングがローイングパフォーマンスに及ぼす影響について検討することを目的とした.被検者は, 20名の国内トップレベルの男子学生ボート競技選手とし, ローイングエルゴメータにより, 実際の競技会をシミュレートした2000mローイングおよび最大努力の20秒ローイングを摂取前後に実施した.被検者を無作為にクレアチン (CRE) 群10名とプラセボ (PLA) 群10名に分け, 二重盲検法により1日20g (59×4/日) のCrあるいはプラセボを6日間摂取させた.その結果, 2000mローイングのタイムはCRE群において407.9±5.3秒から404.7±5.4秒へと有意な向上 (p<0.01) を示し, 一方, PLA群に有意な変化を認めなかった.最大努力の20秒ローイング時の発揮パワーは, Cr摂取によりに有意な変化を示さなかった.以上のことから, 高度にトレーニングされた男子ボート競技選手において, Crローディングは, 最大努力の20秒ローイングに効果がないものの, 2000mローイングのパフォーマンス向上に有効であることが示唆された.
著者
村上 香 永澤 健
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.84-91, 2021-02-15 (Released:2021-02-26)
参考文献数
15

本研究では,発酵および非発酵ルイボスティー(RTおよびGRT)の抽出時の茶葉量,時間および温度によるポリフェノール含量および抗酸化活性への影響を調べた.500 mLの水道水を沸騰させた熱水で茶葉1.5-10 gを10分間浸漬した「お湯出し」条件では,茶葉量は,1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル消去活性(抗酸化活性)と正の相関関係示し,茶葉5および10 gのRTと比べて,GRTは半分の茶葉量で同レベルの抗酸化活性を示した.また,茶葉5 gを500 mL熱水で5-20分間お湯出しした場合,RTでは15分以上,GRTでは20分以上浸漬することにより,より効率的にポリフェノールや抗酸化活性を引き出せることが確認された.7 °C,12時間浸漬の「水出し」条件(茶葉5 g/500 mL)では,ポリフェノール量と抗酸化活性はRTでお湯出し5分間,GRTで10-15分間と同程度であることがわかった.RTは茶葉5 g(/500 mL),10分間,70および80 °Cは沸騰を保った沸騰水の抽出「煮出し」と比較して,総ポリフェノールおよびアスパラチン含量,DPPHラジカル消去活性に大きな違いは見られなかった.GRTにおいても80 °Cと沸騰水ではポリフェノールおよびアスパラチン含量に有意な差は認められなかった.本実験で検討した条件では,茶葉量10 g/500 mL,10分間お湯出しは,総ポリフェノール含量(RT:756±9;GRT:939±5 µg/mL),アスパラチン含量(RT:10.6;GRT:363 µg/mL),DPPHラジカル消去活性(RT:3.62;GRT:5.87±0.03 mMアスコルビン酸当量)が最も高い条件であった.また,本研究により,RTおよびGRTは,「お湯出し」および「水出し」でもポリフェノールおよびアスパラチンや抗酸化活性を有することが確認された.
著者
永澤 健 白石 聖
出版者
畿央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

食後の短時間のストレッチングが血糖値を降下させるかどうか調べるとともに,血管拡張と動脈弾性指標(CAVI)に及ぼすストレッチングの急性効果を検討した.その結果,短時間のストレッチング,は血糖値を降下させる急性の作用があることが示唆され,さらに,吐き気と疲労感を伴うことなく,酸化ストレスの上昇もなく実施できたことから,食後の血糖値管理のための有効な運動療法になり得るものと考えられた.一過性のストレッチングは伸長した体肢の血管拡張を引き起こす作用があることが示された一方,動脈弾性指標の改善は認められなかった.
著者
永澤 健
出版者
畿央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

下肢の筋群のみを対象にした座位姿勢の静的ストレッチングを食後に実施し,血糖値低下作用がみられるかどうか検討した.健常成人女性11名を対象とし,被験者は安静条件とストレッチング条件の2つの実験に参加した.各実験条件において,血糖値,血圧,疲労感および吐き気のVAS(Visual Analog Scale)を安静時,食後15分,30分,45分,60分,90分,120分の時点で測定した.ストレッチング条件では,試験食(エネルギー692 kcal,糖質78 g)を摂取した30分後に,椅座位での下肢の静的ストレッチングを5種目,計10分間行った. 安静条件の血糖値は,食後45分後に最も高値を示した後,時間の経過に伴い低下した.ストレッチング条件では,食後30分目の血糖値が最も高値を示し,ストレッチングの実施後に血糖値が低下した.ストレッチング条件の食後45分目の血糖値は,安静条件よりも有意に低値を示した(p<0.05).ストレッチング条件の血糖値は,食後30分目と比較して食後45分目以降に有意な低値を示した(p<0.01).一方,安静条件の血糖値は,食後30分目と比較して食後90分目以降に有意に低値を示した(p<0.05).疲労感,吐き気および腹痛のVASは,両条件ともに時間経過に伴う有意な変化を認めなかった.血圧についても同様に有意な変化を認めなかった.以上のことから,食後に行う短時間の座位の下肢の静的ストレッチングには,食後の血糖値を低下させる作用があることが示された.座位の下肢ストレッチは,食後に手軽に行うことができる運動であり,身体への負担が少ないため,食後の血糖値管理に活用できるものと考えられた.