著者
木島 理恵子 吉野 眞理子 河村 満 河内 十郎 白野 明
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-9, 1997 (Released:2006-05-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1

日本語・韓国語二言語使用者失語症例において,両言語の障害を特に日本語における漢字・仮名障害と韓国語における漢字・ハングル障害との対比を中心に検討した。    症例は65歳右利き男性。脳梗塞 (左中大脳動脈領域) による右片麻痺と重度の失語が認められた。日本語と韓国語の習得および病前の使用状況は,口頭言語・文字言語のいずれにおいても両言語で同等であった。標準失語症検査,表出面の検査,聴覚理解検査,読み理解検査を両言語について実施したところ,すべての検査で両言語がほぼ同様の成績を示した。さらに,両言語ともに仮名・ハングルに比べ漢字が良好という同様の障害パターンが認められた。これは,本症例が2つの言語を同程度に習熟していたことに加え,日本語と韓国語の言語構造の諸側面が類似していることの結果であると考えられ,これらの要因により,本症例における両言語の脳内機構が同様であった可能性が示唆された。
著者
中川 佳子 望月 登志子 田中 泉 河内 十郎
出版者
日本健康行動科学会
雑誌
Health and Behavior Sciences (ISSN:13480898)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.35-41, 2003 (Released:2020-07-22)
参考文献数
22

Near-infrared red spectroscopy (NIRS) is a noninvasive method that uses changes in cerebral blood volume (CBV) to measure relative changes in tissue concentration of oxygenated, deoxygenated and total hemoglobin. We used this technique to determine the cortical activation area during Japanese grammatical processing. To assess the relative changes in total hemoglobin, local changes in near-infrared absorption were measured simultaneously from seven points in both hemispheres. Nine subjects were presented target stimuli, and were asked to decide whether the attendant particle was “ga” or “wo” in Japanese grammatical tasks (experimental conditions), and whether the relative position was “front” or “back” in positioning tasks (baseline and control conditions). To control subvocal rehearsal and conceptual driven processing, the same Kanji character was presented visually as a target in the experimental and control conditions. Total hemoglobin increased in Broca's area when subjects made judgments in Japanese grammatical tasks, compared to positioning tasks. These results suggested that the task of deciding particles in Japanese grammatical processing might be an effective and objective method to assess language disorders.
著者
河内 十郎
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.201-204, 2017-06-30 (Released:2018-07-02)
参考文献数
26

Brodmann の 44 野と 45 野とからなるとされている Broca 野は, Broca が構音言語機能の座としたにもかかわらず, 今日では言語野とされており, Broca 野が実際に構音言語機能を持つのかどうかはまだ明らかではない。Wernicke 野 (上側頭回後部) も, Wernicke はことばの聴き取りを意味する言語の聴覚心像の座としたにもかかわらず, 言語理解の座として議論されることが多く, Wernicke 野の真の機能も明らかではない。ヒトの脳では長連合線維を確認する手段がないなかで Broca 野と Wernicke 野とを結ぶとされた弓状束は, 拡散テンソル画像 (Diffusion Tensor Imaging: DTI) の出現によって種々検討されているが, 起始部と終止部を決定できないなどの DTI の致命的な欠陥のために, 結果は混乱を呈している。
著者
S.ゼキ著 河内十郎訳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
1995