著者
河合 幹雄 葛野 尋之 木下 麻奈子 平山 真理 久保 秀雄 木村 正人 一般社団法人中央調査社 調査部 株式会社マクロミル リサーチディレクション部
出版者
桐蔭横浜大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

日本全国意識調査の結果、国民のうち、死刑制度を積極的に支持するのは約4割であった。犯罪と刑罰についての正確な知識があるほど、死刑存置派は減少した。ただし、先行研究同様、変化は小さい。他方、もし、無実の死刑囚がいる想定では、一旦死刑執行を停止するへの賛成が7割にのぼることが確認できた。しかし、死刑制度の廃止には抵抗が強い。以上より、日本人は、冤罪がないことを前提に刑罰について考えており、冤罪を無くして死刑制度は維持する意向と解釈できる。また、対立概念と考えられていた、応報と更生について、応報を強く願う人ほど、更生も強く願うという結果を得た。罰を与えた上で更生もしてほしいと解釈できる。
著者
加藤 雅信 青木 清 太田 勝造 河合 幹雄 野口 裕之 藤本 亮 岡田 幸宏 菅原 郁夫 フット ダニエル
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

多くの法科大学院院生は「進学決意時」の職業希望を法科大学院入学後、教育を受けながらも維持していることがあきらかになった。また、そうした理想は理想として、現実的に予想する際にも約3分の2の院生は理想と現実的予想が一致しており、その一致率は年度を追い、微増する傾向が観察された。本調査が執行された段階では、まだ「弁護士の就職難」といわれる現象はメディアがとりあげるような話題にはなっておらず、現在の院生にこのような調査をした場合にはまた異なった回答がなされるであろう。また、実際に司法修習修了後にどういった職種に就いているのか等の追跡調査が今後求められてくるであろう。抽象度の高い法のイメージについての法意識は短期間では大きく変化しないと考えられる。そのため、多くの項目では経年変化はみられなかった。しかし、二年の間をあけた調査問の比較では、より大きな差がいくつかの項目に観察された。このことは三年間のインテンシヴな法科大学院教育がこうした一般的な法意識、法態度にも影響を及ぼすことを示唆している。法科大学院は大学の枠を越えて多くの他大学出身の院生を受入れており、また、受験生も複数の大学院を受験することが通例である。入学前には受験生は全員が適性試験を受験することが義務づけられ、また大学院終了後も全員が司法試験を受験し、司法修習へと進む。したがって個別大学での調査ではなく、本研究のように大学横断的に法科大学院生のさまざまな状況について調査研究することは重要である。