著者
友田 好文 藤本 博巳 松本 剛 河野 芳輝
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.293-301, 1982-06-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
16

R. G. A. (Residual Gravity Anomaly) was calculated along a section across the Hawaiian Ridge near Oahu Island by use of both the gravity data and the crustal velocity structure obtained by the explosion seismology. Anomalies of lithospheric thickness in this region were estimated from the result of the calculation of R. G. A. It is concluded that the thickness of lithosphere beneath the island is about 20k mthinner than that beneath the surrounding area as expected from the lithospheric thinning model.The values of R. G. A. in the Emperor Seamount Chain are smaller than those in the Hawaiian Region obtained in this work, so the thinner lithosphere beneath the seamount approaches the normal state with increasing the age of the seamount in the Hawaiian-Emperor Seamount Chain. This agrees with the lithospheric thickening model.
著者
源内 直美 平松 良浩 河野 芳輝
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.411-418, 2002-11-29 (Released:2017-03-20)
参考文献数
26

A three-dimensional density structure in the shallower crust beneath the Hida Mountains, central Japan, is estimated by using gravity data. We employed seismic velocity structure models both as an initial condition and constraints of gravity structure models. We estimated that an extremely low-density body (density is smaller than 2.1 g/cm3) exists at 4-8 km depth (2 to 6 km below the sea level) beneath Mt. Tateyama (3,015 m) and also along the Hida mountains. Estimated horizontal extent of the body is about 14 km in east to west, about 28 km in north to south directions, respectively, and about 4 km in thickness. The volume of the body is about 1,000 km3. Spatial distribution of the extremely low-density body is well consistent with a low velocity region estimated from studies of seismic tomography.
著者
河野芳輝
雑誌
地震学会1991年秋季大会講演要旨
巻号頁・発行日
vol.99, 1991
被引用文献数
1
著者
河野 芳輝 石渡 明 大村 明雄 古本 宗充 守屋 以智雄 寒川 旭 向山 栄 西村 智博 中居 康洋 粟 真人
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.XXXI-XXXII, 1997 (Released:2010-12-14)
参考文献数
4

平成8年度科学技術庁交付金を受けて石川県が行っている森本断層調査事業の一環として, 同断層に沿う金沢市梅田町の梅田B遺跡 (主に弥生時代~古墳時代) でトレンチ調査が行われ, 活断層の露頭が出現した. 森本断層(三崎, 1980)は, 金沢市北方の海岸平野と丘陵を境する地形境界付近に推定されている, 長さ13kmの活断層である(第1図). 丘陵末端部の洪積層は海側へ40°~70°傾く撓曲構造をなしており(第2図), 1799年の寛政金沢地震がこの断層の活動によるとする指摘もある (寒川, 1986)が, 断層露頭は未発見だった. 新しい道路取り付けのため従来から行われていた遺跡の発掘調査で, 弥生時代の遺構面と水路が, 不自然に海側が高くなっているという指摘があり, 断層運動による撓曲の可能性を考えてトレンチ調査を行った. 長さ8m, 深さ6mの北西方向のトレンチの壁面に, 走向N38°E, 傾斜35°NW, 鉛直落差約1.Om の低角衝上断層の露頭が出現した (第3, 4, 5図). この露頭では, 下部の, よく固結した洪積層 (卯辰山層) がほぼ断層と同じ走向で海側へ40°傾斜し, 露頭上部の水平な未固結の沖積層 (厚さ4m程度) がそれを傾斜不整合で覆っている. 断層運動によって, 洪積層は剛体的に破断して断層に沿って変位しているが, 沖積層は流動変形して下部では押し被せ褶曲をなし, 上へ向かって次第に緩やかな撓曲へ移り変わっている. これらの構造は1回の断層運動で生じたもので, 変位の累積性はなく, 水平変位もほとんど見られない. この断層は海側が上昇した逆断層であり, 丘陵を隆起させてきた森本断層本体の運動とは逆センスなので, 主断層の活動に伴った層面すべり断層(吉岡, 1989)と思われる.トレンチの南北両面に見られる沖積層最上部のシルト層(炭質物の14C年代は2740±50YB. P. )はこの撓曲に参加して南東へ傾き, トレンチ北面では更に上位の弥生時代の腐植土層(同前, 2060±70Y. B, P. )もこの撓曲に参加しているように見える(第6図).上述のように, 断層を横切るトレンチ外の弥生時代の溝の遺構は変位しているが, トレンチの東半部に断面が現れているそれより新しい弥生時代の溝の遺構(同前, 1930±60Y. B. P. )は, 断層運動によって形成された擁曲崖の麓に沿って掘られた可能性がある. また, トレンチ西半部に断面が現れている古墳時代の溝の遺構(同前, 1410±50Y. B. P. )には変位が認められないことから, この断層運動(M6. 7以上の地震に相当)は約2000年前(±500年程度の不確実性があり得る)に発生した可能性が高い. 沖積層基底の炭質物の14年代は4430±60Y.B.P. なので, この断層はそれから現在までの間に1回だけ動いたことになる.周辺地域での従来の地質踏査, ボーリング調査および弾性波探査によると, 卯辰山層基底の高度は森本断層の両側で600mほど食い違っている. この変位が最近80万年間で起きたと仮定すると, 森本断層の平均変位速度はおよそ0.75m/1000年となる. 上述のように, 今回発見されたのは副次的な層面すべり断層と考えられ, 主断層のずれの量はもっと大きかった可能性が高い. 主断層が1mを越す変位を生じたとすると, 森本断層だけではなく, 南方延長の野町断層や富樫断層なども同時に動いた可能性があり, 今後の研究課題である.森本断層は, これまで確実度II(推定), 活動度B(0.1-1m/1000年)とされていた(活断層研究会, 1991)が, 今回の発見によって活断層であることが確実になり, 約2000年前にかなりの規模の地震を起こしたことがはっきりした. また, 今回発見された露頭は, 堆積物の固結の程度によって変形の様子が全く異なることを如実に示しており, 平坦な沖積平野の地下数mにも, このような活断層が隠れていることを証明した点で意義深い.
著者
上田 誠也 木下 正高 上嶋 誠 歌田 久司 長尾 年恭 河野 芳輝 宮腰 潤一郎
出版者
東海大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

VANの達成のためには,いかに困難であっても,短基線観測の併用が不可欠であるとの認識のもとに,本研究では地の利を得た北陸地域と,前回研究での発展的継続をめざす伊豆大島での観測に主力を投入した.前者では各機関の協力により,VANシステムにほぼ同等の低ノイズ観測網が確率され,現在はいわば"地震待ち"の状態にある.しかし,設置された観測点が"sensitive station"であるという確率は高くはないので,今後努力を続けて"ツボ捜し"を行う必要がある.後者では伊豆大島に多数の測線を設置し,観測を続行しているが,期間中に出現した矩形状変化はその空間分布から判断して,NTT岡田局近辺での局地的変化(原因未不明)と思われるが,群発地震の前に出現頻度の増大した変化そのものについては今後もう一度および現象が起きるまでは検証不可能であり,これも,"地震待ち"の状況である.また本研究ではNTTのア-スと回線を全面的に利用して,世界でも初めてのNETWORK MT法を開発し,北海道東部において詳しい地下電気伝導度分布の推定に大きな成果をあげた.これはVAN法の基礎研究としてのみではなく,地球物理学一般にとっても画期的な貢献であった.VAN法成否の鍵が"sensitive station"の発見にかかっていることは明らかである.このためには,一見まわりくどいが事前にその地点の"sensitivity"を推定する方法を開発することが重要であろう.具体的にはすでにsensitiveとinsensitiveな場所の知られているギリシャにおいてVANグル-プと協力して総合的な地球物理,地質調査を行い,それらになんらかの地学的相違を見いだすための国際共同研究も進めたい.