著者
福田エリック駿 定久紀基 井上浩明 竹中崇 浅井哲也 本村真人
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.2014-SLDM-164, no.16, pp.1-6, 2014-01-21

Memcached は多数のサーバのメモリ上にデータをキャッシングすることで Web サーバなどの応答を高速化する技術である。Memcached の処理は非常に単純である一方大きなメモリバンド幅を必要とするが、既存の汎用プロセッサでは低消費電力と高メモリバンド幅を両立することが難しいため、FPGA を用いて Memcached を高速化する研究が近年盛んに行われている。本研究では、Memcached の機能全体を FPGA に実装する従来のアプローチとは異なり、Memcached サーバ上に搭載した FPGA 搭載 NIC 上に Memcached の機能とデータの一部をキャッシングするアプローチを提案する。ソフトウェアシミュレーションによる評価の結果、本アプローチでは通常のソフトウェアによる Memcached サーバと比べて平均遅延が最大 6 倍改善することがわかった。
著者
廣瀬 哲也 Schmid Alexandre 浅井 哲也 Leblebici Yusuf 雨宮 好仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.419, pp.53-58, 2005-11-12

減衰シナプスを用いることで、ノイズ環境下でも高い精度で同期する神経ネットワークモデルが提案されている[4]。本稿では、これまで著者らが開発を行っていたシリコンニューロン回路[5]とアナログ減衰シナプス[6]を用いてリカレントネットワークを構成し、ニューロン回路間の同期精度について数値的に調べた。減衰シナプス回路を用いた場合、通常のシナプス回路を用いた場合と比べて、同期精度が大幅に向上することが分かった。また、外界のノイズに対してロバストな高精度同期ネットワークを構成するために、シンプルなアナログSTDP回路を新たに開発した。シミュレーションにより、提案回路が正しく動作することを確認した。
著者
秋永 広幸 浅井 哲也
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.41-45, 2020-01-10 (Released:2020-01-10)
参考文献数
18
被引用文献数
2

アナログ抵抗変化素子(RAND)は,絶縁性酸化物における抵抗スイッチ効果を利用して,不揮発に電気抵抗値を記憶できる素子です.このRANDを用いれば,小型で低消費電力の脳型情報処理を実現できます.本稿では,RANDの概要と抵抗変化の制御方法,RANDを用いた脳型アーキテクチャについて紹介します.また,RAND回路の性能評価を行った例を紹介します.人工知能(AI)研究における,ソフトとハードを一体的に開発することの必要性や必然性を感じていただければ幸いです.
著者
安達 琢 赤穂 伸雄 浅井 哲也 本村 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.106, pp.65-70, 2011-06-23

メモリスタを用いた非対称の時間窓を持つSTDPシナプスデバイスを提案する。メモリスタ(抵抗変化型メモリ:ReRAM),キャパシタ,二つのpMOSFET,および四つのnMOSFETを用いてデバイスを構成した.まず,ReRAMの特性,および本研究で使用するバイポーラ型ReRAMのモデルについて説明する.次に,本研究を行う上で参考となった先行研究の回路動作(STDP特性における時間的因果領域のみを模擬する動作)を説明する.さらにこの回路を拡張したデバイス(STDP特性における時間的因果領域および非因果領域を模擬するデバイス)を提案し,各回路ブロックの詳細な動作を説明する.最後にHSPICEを用いた回路シミュレーションにより,ReRAMを介さずに流れる電流によりキャパシタが充電され,その後流れた電流によりキャパシタが放電され,ReRAMのコンダクタンスが元の値より減少する事を確認する.
著者
石村 憲意 浅井 哲也 本村 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.389, pp.131-136, 2013-01-17

確率共鳴は雑音を有効に利用した現象のひとつとして挙げられる.これは,二重井戸型ポテンシャル等の系に閾値下の微弱な信号が入力されている時に,外部の雑音を効果的に取り込むことによって信号の値が閾値を超え,状態遷移を可能にする現象である.一方で,カオス共鳴が近年注目されている.この現象は,複数のストレンジアトラクターを持ち,閾値下の信号が入力され得るカオス系において観測される.このようなカオス系では,系内部で生成されるカオスのゆらぎを利用する事で状態遷移を起こす為,従来の確率共鳴と異なり,外部雑音が不要である.本研究では,カオス共鳴を起こす条件を満たす系としてChua発振器を用い,閾値下の信号として正弦波電圧を加えてカオス共鳴の観測を行った.ある入力周波数範囲では二つのアトラクター間でカオス的な遷移が起こり,他の範囲では状態が,一方のアトラクターにトラップされることを確認した.これらの動作が,カオス的なゆらぎが状態遷移に寄与していることを示している.さらに,カオス共鳴の度合いと系内部に発生するゆらぎの強さの関係を調べる為に入出力相関値やSNRを算出し,確率共鳴曲線に類似したカオス共鳴の特性が得られた.また,このChua発振器を並列化して共通の閾値下の入力を加えて同様の実験を行い,カオス共鳴下では相関値やSNRが向上する事を確認した.
著者
浅井 哲也 大谷 真弘 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.96, no.583, pp.17-24, 1997-03-17

近年の半導体集積回路技術の大幅な進歩により、脳に代表される生体の神経システムをシリコンデバイス上にハードウェアとして実現する試みがなされている。本報告では、近年、神経細胞の膜ダイナミクスを表す古典的神経システムと密接な関係が理論的に示されたLotka-Volterra(LV)型競合神経システムの集積回路化と、その振る舞いについて述べる。またハードウェア化されたLVシステムから、神経細胞やトランジスタのような個々の均一性の無い素子でも、大規模な集団を作ることにより、正確な情報処理が可能であるという一つの証拠を示す。