著者
左文字 克哉 高木 康文 林田 圭司 大島 直樹 朴 康司 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.95, no.37, pp.31-36, 1995-05-18

InP-on-Siヘテロエピタキシーの最大の問題点は格子不整合が8%と大きいことである。そこで、InP-on-Siとほぼ同じ格子不整合を有するInP-on-GaPにおいてInPエピ層の成長様式と貫通転位発生の関係をRHEEDとTEMを用いて調べた。その結果、InP層は1〜2MLで二次元成長から三次元成長へ移行した。また、貫通転位は3〜4MLで発生した。この結果は、貫通転位が三次元成長島の拡大または合体の過程で発生することを示唆する。したがって、エピ層の三次元化を抑制することで貫通転位の発生を低減できると考えられる。そこで、InP-on-Siに対して、格子緩和後も二次元成長を維持する歪短周期超格子(SSPS)を導入し、エピ層の三次元化を抑制することを試みた。その結果、エピ層は二次元的に成長し、貫通転位密度の明らかな低減がみられた。
著者
大谷 真弘 山田 仁 西尾 公裕 古川 雄三 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.736, pp.25-32, 2002-03-12
参考文献数
11

節足動物であるカブトガニの側眼は非常にシンプルな構造にも関わらず、初期視覚機能において最も重要な動きおよびコントラスト検出機能を有している。本報告では、そのモデルに基づき、単一の基本回路によって時間的および空間的なコントラストの検出を行うアナログネットワークの構築を行った。その結果、構築したネットワークの基本回路は、Miller効果などによる寄生容量の顕在化を利用することによって、9個のMOSFETのみで構築できた。また、SPICEを用いたシミュレーションより、構築したネットワークが、そのシンプルな回路構造に動き検出機能と空間的なコントラストの検出機能の両方を含むことを確認した。
著者
安部 浩史 西尾 公裕 高崎 哲 Amal Bandula KARIYAWASAM 澤 伸也 古川 雄三 米津 宏雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 26.63 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.7-12, 2002-09-27 (Released:2017-06-23)
参考文献数
5

生体の網膜は優れた視覚情報処理機構を有しており、外網膜ではエッジ情報を内網膜では動き情報を生成する。そして、網膜の最終層である神経節細胞は、これらの信号をパルス密度変調(PDM)し、脳へと伝える。本報告では、内網膜をモデルとした動き検出回路の最終段に、アナログ電流値をパルス密度に変換するPDM回路を導入し、神経節細胞を含む網膜での情報処理機構を実現するアナログネットワークの構築を試みた。SPICEを用いたシミュレーションにより、構築したネットワークでは、神経節細胞層の出力に相当する信号を得られることが明らかとなった。
著者
高木 康文 横関 弥樹博 辻 琢人 左文字 克哉 大島 直樹 朴 康司 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.95, no.387, pp.73-78, 1995-11-24

初期成長機構を制御することにより、エピタキシャル層を貫通する結晶欠陥の発生を抑制することを試みた。GaAs基板上の(InAs)_1(GaAs)_1歪短周期超格子(Strained Short-Period Superlattice:SSPS)の成長において、原子状水素照射下で成長することで、格子不整合歪に起因して生じる3次元成長を抑制することを試みた。原子状水素が基盤表面に付着する成長温度350℃の成長において3次元成長の抑制効果が顕著に現れた。その結果、3次元成長に起因した貫通転位の発生を抑制することができた。また、Si基盤上のGaPの成長において、MBE法で成長した場合、高密度のV字型の積層欠陥(Stacking Fault:S.F.)がGaP-Si堺面より発生していた。このS.F.の発生はMEE法で成長することで抑制することができた。
著者
高木 康文 左文字 克哉 岩城 和彦 大島 直樹 朴 康司 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.95, no.37, pp.25-29, 1995-05-18

GaP(100)just基板上にMBE法により(GaAs)_1(GaP)_3歪短周期超格子を成長し、RHEED、TEMおよびXRDを用いて格子緩和過程を調べた。その結果、(GaAs)_1(GaP)_3 SSPS層は2次元的に成長し、格子不整合はヘテロ界面にミスフィト転位が導入されることによって緩和されることが明らかになった。また、成長層の膜厚が500nmのとき格子緩和率は約50%であり、格子緩和は徐々に進行することも分かった。
著者
石原 宏 米津 宏雄 鳳 紘一郎 雨宮 好仁 柴田 直 岩田 穆 岡部 洋一 山川 烈
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

本研究班では、2次元の空間情報に時間軸をも含めた多次元情報を、バイナリ、多値、アナログ融合アーキテクチャを用いて高速に処理するハードウェアを実現することを目的とした。特に、過去の情報に基づいて刺戟に対する対応を変化させる適応学習機能や、必要に応じて自己を再構成する自己組織化機能などの生体機能をハードウェア的にシステムに作りつけ、大枠の判断、連想のような高度の知的作業を瞬時に行う新しい知能システムを構築するための基礎を築くことに重点をおいた。強誘電体ゲートFETを用いて適応学習機能を持つパルス周波数変調型ニューロチップを作製する研究では、強誘電体としてSrBi_2T_2O_9を用いたFETとCMOS構成のシュミットトリガー回路とをSOI(絶縁物上のSi膜)基板上に集積化し、良好な学習動作を確認した。カオス信号を生成する集積回路に関しては、npnトランジスタとキャパシタとを用いる外部クロック型と、CMOSマルチバイブレーターを用いる自励発振型の両者について検討を行い、それぞれについて反復一次元写像が行われ、カオスが発生することを明らかにした。パルス幅変調型AD融合回路技術に関しては、機能イメージセンサ、セルオートマトン、パターンマッチングプロセッサを1チップに集積化し、特徴連想イメージプロセッサを開発した。CMOSデジタル技術並びにニューロンMOS(νMOS)技術を用いた検討では、過去の膨大な経験を特徴ベクトルとして記憶するVast Memoryを実現するために、高精度アナログ不揮発性メモリ技術を開発すると共に、沢山の事例の中から最類似記憶を瞬時に検索・想起するための連想エンジンチップを開発した。外網膜の機能を有する集積回路の作製に関しては、エッジ検出などの機能を持たせるために受光セルを相互に結線する場合に、最近接セル以外のセルとも結線しようとすると、配線が極めて複雑になるという問題を解決するために、受光セル以外の部分は全てMOSトランジスタのチャネル領域になっている新しい構造の光検出チップを開発した。
著者
浅井 哲也 大谷 真弘 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.96, no.583, pp.17-24, 1997-03-17

近年の半導体集積回路技術の大幅な進歩により、脳に代表される生体の神経システムをシリコンデバイス上にハードウェアとして実現する試みがなされている。本報告では、近年、神経細胞の膜ダイナミクスを表す古典的神経システムと密接な関係が理論的に示されたLotka-Volterra(LV)型競合神経システムの集積回路化と、その振る舞いについて述べる。またハードウェア化されたLVシステムから、神経細胞やトランジスタのような個々の均一性の無い素子でも、大規模な集団を作ることにより、正確な情報処理が可能であるという一つの証拠を示す。