著者
石坂 和夫 加藤 幸次 浅沼 茂 清水 克彦 高浦 勝義 樋口 信也
出版者
国立教育研究所
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1993

本研究の目的は、日米の「初等・中等カリキュラム」の実態を把握するための事前準備研究である。そのため、将来、科学研究費補助金(国際学術研究)の申請をするために必要な情報・資料を収集し、日米の協力研究が円滑に実施できるような準備資料を作成することである。1 研究遂行に必要な研究協力校として、研究分担者加藤が、愛知県の公立小学校2校、岐阜県の公立小学校1校、東京都の公立小学校2校、愛知県の公立中学校2校を対象校として研究の協力いただいてきた。これらの学校教師ならびに個性化・個別化に取り組んでいる教師・教育関係者の研究協力をいただき、必要な情報を収集・整理してきた。2 アメリカ側の研究協力者との情報交換を行った。たとえば、米国教育省のロバート・リースマ博士、イリノイ大学のジャック・イーズリ教授、ミシガン州教育委員会のジョン・チャブマン博士、オハイオ州教育委員会のケント・マイナー博士、ペンシルバア州立大学のジェイコブ・サスカインド博士、ボストンの教育開発センター(EDC)等との情報交換を行った。3 日本の教育に関するアメリカ側の代表的なものとして、次の研究物を検討した。【.encircleda.】 R.Leestma &H.Walberg,“Japanese Educational Productivity"【.encircledb.】 H.W.Stevenson & J.W.Stigler,“The Learning Gap"【.encircledc.】 Jack & Elizabeth Easley,“Kitamaeno school* as an Environment in which Children Study Mathematics Themselves"4 ワークショップに必要な日英両文の調査票を作成し、将来の共同研究の準備をした。以上の研究実績を発展させた研究を今後進めたいと考えている。
著者
浅沼 茂
出版者
立正大学教職教育センター
雑誌
立正大学教職教育センター年報 (ISSN:24355321)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-12, 2020-03-01

本研究は、現在多くの大学の教職課程で実践されている「履修カルテ」「自己評価票」に関する内外の論文からその起源と本来の狙いと実質的な効果について分析と考察を進めたものである。これらの自己評価票は、元々「ポートフォリオ」としての意味が隠されており、そのような用語で実践を進めている大学があることから、その表題も付記する必要があった。特にその元となっているアメリカでは、その用語を用いている場合が多いので、本探究では、そのような表題とした。教職における自己評価のような運動は、元々アメリカを起源としている。それは、自己の実存を自己反省的に再生するというような狙いが含まれていた。それは、アメリカの教育実習=教職課程では、「反省的教授」というような方法で、自己の存在自体を社会的公正や社会的階層性を見つめ直すという反省的実践に結びつけるというやり方で実践されていた。このような反省的実践は、日本のように履修カルテや自己評価票というような官僚的な文書作成の作業として制度化されると多様な問題が出てきた。一番重要と思われることは、教職において重要とされる社会的使命感や子供理解のような資質形成が、単なる形式的な文書作成として学生には認識され、形骸化した文書作り作業となってしまっているということである。これら一連の教職課程の文書作りについて、本来求められていたものが何であったのか、アメリカの学生の反省的実践の実例を照らしわあわせることにより、再度、その「質」を向上のためには、必要とされるものは何かということを提起した。
著者
長尾 彰夫 木下 繁彌 村川 雅弘 浅沼 茂 安彦 忠彦 山口 満 西川 信広 田中 統治 的場 正美 今野 善清 柴田 義松 長尾 彰夫
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究の最終年度は、これまでインタビューや授業観察および研究資料の内容分析などによって明らかになった各学校での新教育課程の開発状況について、インターネットのWEBページとして発信するための研究に重点をおいた。本研究で開発したインターネットサイト(http://jcultra.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/〜sougo/)に掲載した学校は、大阪教育大学附属池田中学校、高槻市立上牧小学校、緒川町立緒川小学校などである。それぞれの学校の研究状況を、「地域の特色」、「学校の沿革」、「カリキュラムの概要」、「総合的な学習の位置づけ」、「授業実践事例の紹介」を基本とする項目で整理した。また、授業分析によって得られた研究知見を、文章表記によってのみ記述するのではなく、子どもの個人情報の保護に十分留意しつつ、写真等を用いて、より具体的な研究情報として閲覧することができるようにした。このインターネットサイトの活用目的は、上記の情報を公開することによって、全国の小・中学校の教師がそこから新教育課程に対応した新しいカリキュラムの開発を行うための実践的な知見を得られるようにすることである。この目的を達成するために、たんに学校の実践事例を並列的に掲載するだけでなく、すでに作成されている教師のための教育用インターネットサイトにリンクを貼ったり、本研究の分担者として各学校で訪問調査を行った研究者に直接掲示板を通して質問を寄せたり、あるいは閲覧者同士が意見交換できる掲示板システムを付随させたりしたいる。以上のように、本研究は、当初の計画通りに、新教育課程を先端的に実施している学校を訪問調査することによって、カリキュラム開発の手続きやデザインに関する経験知を集約するとともに、それをインターネットサイトを通して発信することによって、オンラインでの新しい教師教育、ないし教師の自己研修に貢献するという所期の目的を達成することができた。