著者
的場 正美 柴田 好章 近藤 孝弘 松下 晴彦 杉本 憲子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

【研究目的】本研究は、教授・学習活動の諸現象を叙述する記号ないしコードを開発し、それにもとづいた授業諸要因を抽出する分析手順と解釈方法および解釈に伴う諸問題を明らかにすることを目的としている。特に次の4の具体的な課題を解明することによって、上記の目的を達成する。1)記号の開発と可逆性による記号の妥当性の検証、2)要因の抽出と顕在化による記号の機能の検証、3)解釈に伴う諸問題の解明、4)国際比較による記号の標準化。【記号の整理と新しい記号の開発】事例に即して開発してきた40の記号を論理的に整合性があるように整理した。関係性、概念、例示、付帯などの観点から40の記号を8のグループに分類した。それを基礎に、2007年度には、特定の概念に関する個人間のズレを表すために、次の新しい記号を開発した。『A』/(W)[B〕説明:『A』という特定の概念に(/)ついて、(W)という人物が〔B〕という意味ないしイメージを込めている。【可逆性の検証】記号の妥当性については、記号による記述から現象をどの程度再現できるか、その可逆性によって検証した。単純な記号の場合に、可逆性の幅が広いことが示された。【叙述の可能性】他の教育研究の方法と比較すると、中間項(記号)を使用する点で、カテゴリー分析の方法と類似している。叙述の記号の開発は、教育現象を記述する可能性を示している。
著者
長尾 彰夫 木下 繁彌 村川 雅弘 浅沼 茂 安彦 忠彦 山口 満 西川 信広 田中 統治 的場 正美 今野 善清 柴田 義松 長尾 彰夫
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究の最終年度は、これまでインタビューや授業観察および研究資料の内容分析などによって明らかになった各学校での新教育課程の開発状況について、インターネットのWEBページとして発信するための研究に重点をおいた。本研究で開発したインターネットサイト(http://jcultra.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/〜sougo/)に掲載した学校は、大阪教育大学附属池田中学校、高槻市立上牧小学校、緒川町立緒川小学校などである。それぞれの学校の研究状況を、「地域の特色」、「学校の沿革」、「カリキュラムの概要」、「総合的な学習の位置づけ」、「授業実践事例の紹介」を基本とする項目で整理した。また、授業分析によって得られた研究知見を、文章表記によってのみ記述するのではなく、子どもの個人情報の保護に十分留意しつつ、写真等を用いて、より具体的な研究情報として閲覧することができるようにした。このインターネットサイトの活用目的は、上記の情報を公開することによって、全国の小・中学校の教師がそこから新教育課程に対応した新しいカリキュラムの開発を行うための実践的な知見を得られるようにすることである。この目的を達成するために、たんに学校の実践事例を並列的に掲載するだけでなく、すでに作成されている教師のための教育用インターネットサイトにリンクを貼ったり、本研究の分担者として各学校で訪問調査を行った研究者に直接掲示板を通して質問を寄せたり、あるいは閲覧者同士が意見交換できる掲示板システムを付随させたりしたいる。以上のように、本研究は、当初の計画通りに、新教育課程を先端的に実施している学校を訪問調査することによって、カリキュラム開発の手続きやデザインに関する経験知を集約するとともに、それをインターネットサイトを通して発信することによって、オンラインでの新しい教師教育、ないし教師の自己研修に貢献するという所期の目的を達成することができた。