著者
岩田 惠理 澤田 明子
出版者
動物の行動と管理学会
雑誌
動物の行動と管理学会誌 (ISSN:24350397)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.154-164, 2019-12-25 (Released:2020-01-28)
参考文献数
32

動物福祉の観点からも、動物介在活動(AAA)は参加者のみならず参加動物にとっても楽しく、また負担にならないものであるべきである。AAAの参加者への利益と動物福祉との両立を目的として、大学の心理・教育的支援の中核である学生相談室が運営する「学生サロン」へ訪れる学生を主な対象とし、イヌを用いたAAAを実施した。本研究のAAAでは、参加学生を床に着座させ動きを制限した一方、イヌには室内で自由行動をとらせ、参加学生とふれあうかどうかの選択権をイヌに与えた。イヌが参加学生とふれあった時間の割合は、個体により大きくばらついた(18.18~68.32%)。一方、参加学生にはAAA参加中、向社会的な行動上の変化があったことが参与観察により明らかになった。AAA実施前後の唾液中コルチゾル値は参加犬、参加学生ともに有意に低下した(P<0.05)。AAA実施前後の唾液中オキシトシン濃度は参加犬、参加学生共に有意差は認められなかった。以上の結果から、ふれあうかどうかの選択権をイヌに与えても効果的なAAAを実施することが可能であり、イヌへのストレス負荷も軽減されることが明らかとなった。
著者
高木 昌興 澤田 明
出版者
公益財団法人 自然保護助成基金
雑誌
自然保護助成基金助成成果報告書 (ISSN:24320943)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.83-93, 2020 (Released:2020-09-29)
参考文献数
22

本研究は,絶滅が危惧される南大東島におけるダイトウコノハズクOtus elegans interpositus個体群の絶滅リスクを分散させ,北大東島に亜種ダイトウコノハズク個体群を再成立させるための基礎情報を得ることを目的とする.北大東島には,現在,ダイトウコノハズクが生息していないことをプレイバック実験により確認した.南大東島において,狭い区域になわばりが高密度で集中する区域,樹林地に依存しない区域,営巣が不可能だった場所を巣箱により営巣を可能にした区域の特注を解析した.その情報と航空写真,北大東島の現地踏査により,北大東島において潜在的に繁殖可能な区域を定性的に抽出し,繁殖可能なつがい数を推定した.個体群の存続に重要な冬季の餌量を北大東島と南大東島で比較した.その結果,北大東島には49つがいが生息できる可能性があり,主要な餌となるワモンゴキブリ類とアシダカグモ類の生息数は島間で異ならず,冬季にも個体群を消滅させることなく生息し続けることが可能と判断された.
著者
澤田 明久 井上 雅美
出版者
一般社団法人 日本造血細胞移植学会
雑誌
日本造血細胞移植学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-11, 2014
被引用文献数
1

1964年にEpstein-Barr virus(EBV)が発見されて半世紀が経った。慢性活動性EBV 感染症(chronic active EBV infection; CAEBV) は「EBV 関連T/NK細胞リンパ増殖症(EBV-associated T- or NK-cell lymphoproliferative diseases; EBV+T/NK細胞LPDs)」のひとつで,かつ典型的疾患である。診断は「Okanoらの診断ガイドライン(2005年)」に従う。確定診断にEBV+T/NK細胞の増殖(実際的にはEBV 量の高値とT/NK細胞への感染)を証明する必要がある。しかし,末梢血を用いる検査はいまだ保険未収載であり,病変組織の生検は侵襲を伴う。急変するリスクがあり,診断がつけば免疫化学療法により症状の鎮静化を図りつつ,同種hematopoietic stem cell transplantation(HSCT)の準備を併行して進めることが肝要である。多剤併用化学療法,同種HSCTと治療を進める中で,十分な症状のコントロールが得られない場合には躊躇なく緊急移植に踏み切る。前処置はreduced-intensity conditioningがよい。移植成績は骨髄移植と臍帯血移植で差はなく,全生存率>90%と良好であり,成人例(~40 歳)の場合も小児と同様の治療戦略で遜色ない成績が得られつつある。
著者
澤田 明彦 田中 健康 磯部 貴光 齋藤 幸広
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.G1170, 2005

<B>【はじめに】</B>経済的な側面で未だ過渡期にある士会の運営は,多くの会員のボランティア的活動に支えられていると言える。職能団体である士会会員の本業が理学療法にあることは自明であり,士会業務が会員の本業を妨げないこと,また会員が負担を感じることなく士会の運営に関わることが望まれる。<BR> 士会の開催する研修会や講習会の参加登録者管理にも会員が携わるが,登録者リストの作成や登録完了の連絡など事務作業にかかる負担は少なくない。このような事務的な業務においては,会員が必要以上の負担を感じることなく関与できることが望ましい。<BR> 士会業務の省力化を実現するための,情報技術を活用したシステムについて紹介する。<BR><B>【システムの紹介】</B>研修会・講習会等への参加登録をオンライン上で可能とするために,Perl言語を用いたCGIプログラムを作成した。CGIプログラムは,ブラウザからのリクエストをウェブサーバ上で処理し,応答するための仕組みで,ユーザとウェブサイトのインタラクションを実現するために利用される。本システムは一般のウェブサイトに設置されているメールフォームあるいは商品注文フォームと同等のものであるが,参加登録に特化するために次の機能を持たせた。1)登録番号の自動生成と付与,2)参加者リストの自動生成,3)登録完了メールの送信。これらの機能によって,従来往復はがきでの登録の際に行っていた作業の大半が不要となった。<BR><B>【稼働例】</B>平成16年度神奈川県理学療法士会第4回講習会(平成16年度日本理学療法士協会神経系理学療法研究部会研修会との合同開催)における参加登録を,上記システムと従来同様の往復はがきによる方法で行った。往復はがきでの方法が,転載によるリスト作成および返信はがきの作成と作業が多かったのに比べ,今回のシステムを用いた場合に必要な作業は,定期的なリストのバックアップと稀にみられる入力エラー(多くはメールアドレスの誤入力)への対処のみであった。<BR> 講習会は100名を越える規模であり,従来の方法ではリスト作成もままならなかった。しかし,今回のシステムでは,リストが自動生成されていることで,その2次的利用,すなわち受講者名入りの受講証明書や領収書の発行もより容易に可能となった。<BR><B>【まとめと展望】</B>今回のシステムは,参加登録のみの単純なものであったが,担当者にかかる負担は少なかった。一部には有料の市販されたシステムもあるが,これと比較しても安価で自由度の高いシステムを構築することができたと考える。今後は研修会・講習会等の開催情報を入力することで,「開催案内ページ」「参加登録フォーム」「コンテンツ更新情報」といった必要なページが自動生成されるような,ユーザの利便性が高く,かつ,担当者の負担の少ないシステムの開発を目指したい。