著者
濱田 純一 右崎 正博 服部 孝章 山口 いつ子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

比較制度的な研究を通じて明らかになったのは、マスメディアによる人権侵害の救済システムがソフトロー的な性格をもち、それによって適切に機能している部分と限界が存在することである。また、ソフトローとしての機能する条件についてもいくつかの軸が見えてきた。すなわち、まず第一に、イギリスや韓国等において、苦情処理機関が行った仲裁や裁定の措置が、報道機関によって一般によく遵守されていることは注目に値する。この背景には、もし自主規制がうまくいかない場合の規制立法に対する警戒もあるが、報道機関が自己規律に対する意識が明確にあることの反映でもあり、それがこの分野でのソフトローを機能させる条件となっていると見ることが出来る。それと同時に、とくにイギリスで指摘される、和解的な感覚の社会的普及も、ソフトローを機能させる上で重要なファクターとなりうることが示唆されている。第二は、苦情処理機関において適用されるルールには、法規制と重なる内容と、法では規制されていない内容の双方が含まれていることである。この後者の観点から言えば、法規制よりも幅広い対象について、柔軟な調整をソフトローが行いうることを意味する。第三に、上記の前者の観点からすれば、ソフトローは法と同じ対象を規律するため一見リダンダントに見えるが、内容は同じであっても、例えば迅速な処理や軽微な費用など、執行のコストや効果において独自の意味をソフトローが持ちうることがあることを、メディアの救済制度の経験は示唆する。以上のような検討を通じ、マスメディアによる人権侵害の救済システムを素材として、ソフトローが成立・機能しうる条件、またソフトローが一般の法に比して有する固有の意義の一端が示され、人権侵害の救済システムの研究とともに、ソフトローの研究に資する成果が得られた。
著者
濱田 純一 Murthy Narayana 寺山 正一
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1573, pp.96-99, 2011-01-10

──東京大学総長とインドIT(情報技術)企業の経営者という一見、異色の組み合わせです。ナラヤナ・ムルティーさんは2006年から世界の著名人で組織する東大の「プレジデンツ・カウンシル」のメンバーを務め、大学の国際的な地位向上のために助言するなど日本に詳しい。国際的な地位の低下は、大学のみならず多くの日本企業が直面する課題でもあります。
著者
神野 憲博 濱田 純一 金子 賢治
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.539-548, 2017 (Released:2017-08-31)
参考文献数
50
被引用文献数
1

In this study, Cu-added ferritic stainless steel sheets were investigated to understand the influences of Cu contents on the high-temperature strength during the high-temperature deformation. High-temperature proof stress at 700~900°C was improved greatly by addition of more than 1% of Cu. In the case of static aging at 900°C, the rod-shaped ε-Cu particles satisfied the K-S orientation relationship with the α matrix, but spherical-shaped ε-Cu particles without specific orientation relationship started appearing during the tensile deformation at 900°C. Similarly, the spherical-shaped and fine ε-Cu particles were observed during the thermal fatigue process in the temperature range from 200°C to 700°C with a 50% restriction ratio. During the observation using the high-temperature in-situ TEM straining, it was clarified that the ε-Cu particles were divided by dislocation shearing and parts of them were found dissolved. According to the LSW theory, it was suggested that the microstructure with fine and spherical-shaped ε-Cu particles was formed by the repetition of dissolution and precipitation during the high-temperature deformation.
著者
森 修一 服部 美紀 山中 大学 橋口 浩之 高橋 幸弘 濱田 純一
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

落雷被害の社会的影響が大きいインドネシアのジャカルタ首都圏の雷雨を対象とし,長期現業地上観測データに基づく気候学的解析を行うと共に,レーダー等による特別観測を実施した.その結果,雷雨は対流季節内振動(MJO)の東進と共に大きく変動し,MJO活発域の到来直前(Phase 3)に最も激しくなる.また,雷雨の季節進行は多くの地点で雨季直前(4月,11月)に活発となるが,赤道越え北風モンスーンサージ(CENS)が影響し,ジャワ海沿岸のみ2月が最盛期となるなど地理的差異も大きい.さらに,雷雨はジャワ島南部の山岳域で発生し,北部沿岸のジャカルタ都市部へ移動する日周期移動が顕著であること等が明らかとなった.
著者
濱田 純一 HALD Gabriele HADL Gabriele
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

平成20年度(20年4月1日〜20年9月29日)の主な研究内容は以下の通り。【文献研究】市民社会メディア、メディア政策やコミュニケートする権利に関する文献(英語、日本語)を収集し、先行研究の確認を行った。【「市民社会メディア研究コンソーシアム」に関する活動】国際的なコンソーシアム(CSMPolicy)をコーディネートした。国際学会でセッションをコーディネートし、来年東京で開催する交流シンポジウムの準備に携わった。【研究会運営】昨年度設立したCSM&Policy@iii研究会を本年度4回開催した。開催の知らせや報告をブログで定期的に公開、調査プロジェクトに協力した。【調査研究】CSM&Policy@iii研究会のメンバーによる調査チームを組み、非商業的なメディア(行政系をのぞく)関係者の意識調査(ウェブアンケート)を実施した。結果を研究会で議論し、仮報告書を執筆した。【学術論文執筆】・「Media and Civic Engagement in Japan」(著者:HADL Gabriele)in Contemporary Civic Engagement in Japan,Henk Vinken&国立民俗学博物館(編).New York:Springer。2010年出版予定。・「コミュニケートする権利と市民社会メディア」(仮称)(著者:濱田純一、HADL Gabriele,浜田忠久)来年学術誌に投稿する予定。【学会および社会活動】・IAMCR学会にcommunity communication分科会副会長として参加(ストックホルム大学、7月)・国際シンポジウム『環境・グローバリズム・メディア』(早稲田大学、2008年5月31日)にて討議者・市民メディアセンターMediRのメディア講座にてゲストスピーカー・早稲田大学大学院政治学研究科・瀬川至朗ゼミ(2008年6月30日)にてゲストスピーカー・Cultural Typhoon 2008学会、セッション「世界の市民メディアを語る」(せんだいメディアテーク、2008年6月28日)にて討議者【学術誌の客員編集者(guest editor)】・Media and Cultural Politics誌(Intellect出版)の「Convergences:Civil Society Media and Policy」特集号(Vol.5.1)学術誌の特集号の企画をたて、論文を募集した。投稿された論文を編集し、複数のレフリーに審査してもらい、その上で最終修正、編集を行った。さらに前書きを執筆した。