著者
石丸 隆 山口 征矢 小池 義夫 栗田 嘉宥 吉田 次郎 神田 穣太 田中 祐志 土屋 光太郎 北出 裕二郎 茂木 正人 堀本 奈穂 平譯 享 笠松 伸江
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

海鷹丸による,2回の南大洋インド洋海区における学際的な研究航海を実施した。生物関係では,陸棚から外洋における魚類の分布組成,中・深層における魚類や動物プランクトンの分布,動物プランクトンの分布変動と南極周極流周辺に形成されるフロントの位置との関係等を明らかにした。物理学分野ではケープダンレー沖において新たな南極底層水形成海域を発見し,深層水の分布とその変動,形成機構等に関する知見を得た。
著者
大島 慶一郎 江淵 直人 青木 茂 深町 康 豊田 威信 松村 義正 北出 裕二郎 舘山 一孝 二橋 創平 小野 数也 榎本 浩之 木村 詞明 田村 岳史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

海洋中深層循環及びその変動を決めうる海氷生産量を、衛星データ等から見積もるアルゴリズムを開発し、そのグローバルマッピングを初めて行った。沿岸ポリニヤでの高海氷生産過程を長期係留観測から明らかにし、アルゴリズムの検証も行った。南極第2の高海氷生産域であることが示されたケープダンレー沖が未知の南極底層水生成域であることもつきとめた。南極海とオホーツク海では、海氷生産量の変動が底層水や中層水の変質とリンクしていることを明らかにし、中深層循環弱化の可能性を指摘した。
著者
井桁 庸介 北出 裕二郎 松山 優治 Yosuke Igeta Yujiro Kitade Masaji Matsuyama 東京海洋大学海洋科学部 東京海洋大学海洋科学部 東京海洋大学海洋科学部 Departments of Ocean Sciences Faculty of Marine Science Tokyo University of Marine Science and Technology Departments of Ocean Sciences Faculty of Marine Science Tokyo University of Marine Science and Technology Departments of Ocean Sciences Faculty of Marine Science Tokyo University of Marine Science and Technology
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.441-458, 2005-05-05
参考文献数
17
被引用文献数
4

海岸・海底地形が沿岸捕捉波の伝播におよぼす影響について, 簡単な地形を用いた数値実験により研究した。狭い陸棚を持つ深い湾へ伝播する場合には, 岸に沿う風で発生した内部ケルビン波型の沿岸捕捉波は, ほとんど分裂せず湾内へ伝播する。一方, 陸棚が湾口の外側まで張り出す浅い湾へ伝播する場合には, 沿岸捕捉波は湾内へ進入する内部ケルビン波と, 陸棚に沿って湾口沖を伝播する陸棚波型沿岸捕捉波に分かれて, 波形が変化した。これらの特徴は, 沿岸捕捉波による日本南岸各地での潮位変動を良く説明している。陸棚幅が広い場合には, 岸に沿う風により陸棚波が発生するが, 浅い湾の湾口で分裂せずに陸棚端に沿って伝播した。また, 湾口の陸棚に沿って伝播する陸棚波型沿岸捕捉波は, 陸棚の途切れを跳び越えて伝播し, その振幅は途切れ幅が狭くなるに従い大きくなることが確認された。さらに, 湾の幅がロスビーの内部変形半径の2倍より狭い場合, 湾口で分離して湾内へ入射する内部ケルビン波の一部が湾口を跳び越えることが明らかになるとともに, その振幅は湾口幅が狭くなるに従い大きくなることが判明した。Numerical experiments using a two-layer model with simple topography were performed to investigate the scattering of a coastal-trapped wave (CTW) generated by alongshore winds. In the case of a narrow shelf with a deep bay, an internal Kelvin-type wave propagated into the deep bay without wave separation and mode conversion. However, in the case of a narrow shelf with a shallow bay, the internal Kelvin-type wave separated at the bay mouth into two types of waves, a shelf wave and an internal Kelvin wave. The shelf wave propagated along the shelf edge off the bay mouth, while the internal Kelvin wave propagated into the shallow bay. The sea level fluctuations along the southeast coast of Japan that were caused by typhoon 8818 were well explained by the separation and mode conversion process of CTW. In the case of a wide shelf with a shallow bay, a generated shelf wave was propagated along the shelf edge without separation at the bay mouth. In cases with a disconnection of shelf, the shelf wave was found to bridge over the disconnection of shelf and the amplitude of the bridged wave decreased exponentially with increasing disconnection length. Most of the internal Kelvin-type wave bridged over the bay mouth when the width of the bay mouth was shorter than twice the internal radius of deformation.
著者
松山 優治 川上 高志 北出 裕二郎 石丸 隆 杉山 正憲
出版者
東京海洋大学(水産)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は沿岸の環境保全や持続的な利用を目指し、大学の研究者、民間会社の技術者、海洋現場担当者が共同で沿岸環境モニタリングシステムの開発と海洋現場への応用に取り組んだものである。その結果、廉価で、耐久性に富んだ、通信費用が安価で、環境に易しい装置の開発に成功した。環境の急変を告知するシステムで、環境変化に迅速に対応できる。2001年7月から内浦湾の養殖施設に設置し、10m深のデータを10分ごとに計測し、E-mailにて関係機関にデータが転送される実験を開始した。日付、時刻、pH、伝導率、濁度、酸素濃度、水温、水深、塩分などを1日4回送信し、通信には成功した。しかし、センサーへの生物付着の影響が激しく、溶存酸素量、濁度、塩分などに現われたことから、(1)緊急性を要する底層貧酸素水の湧昇予報システムには多層水温センサー(5〜10層)を開発して対応し、(2)生物付着の問題を解決するため、現場での付着実験を繰り返し、並行してセンサーの開発により、改善を目指した。2003年には3点での環境モニタリングにまで展開し、水温アレー・センサーと水質計を有効に使って、内部潮汐による湧昇と外洋水の進入に伴う急変現象の解析に成功した。現在、20箇所にデータをリアルタイムに近い状態で送信し、漁業者に利用されている。一方、モニタリング観測と並行して、夏季に湾内の環境調査を実施し、近傍でのCTD, ADCP観測から水温・流速の鉛直構造の時間変化、微細構造観測による鉛直拡散係数の見積もりなどを行ってきた。湾内の海底地形の急変部での内部潮汐波の散乱による空間スケールの小さな内部波への移行、内部波による密度逆転現象、内部潮汐に伴って発生する恒流などを明らかにしてきた。これらの物理現象の把握は湾内の海水交換や海水混合を考える上で不可欠であり、研究を進めている。