著者
鈴木 弘孝 中山 浩成 田代 順孝
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.158-163, 2007-08-31
被引用文献数
3 3

都市のヒートアイランド現象の対策として有力視されている屋上や壁面等建物緑化による温熱環境改善効果を定量的に把握することを目的として,実在の街区をモデルとしてCFD(計算流体力学)解析を行い,建物緑化の違いによる街区内での温度と湿度の変化について数値解析を行った。解析の結果,対象街区での緑化なしに比べて,地表面・屋上の緑化と壁面緑化を組み合わせた場合,気温では街区中心部で最大で約4℃の低減,湿度では最大16%の上昇が見られ,実在街区を対象とした建物緑化による温熱環境改善効果の定量的な評価の可能性が示唆された。
著者
五十嵐 且治 木下 剛 田代 順孝
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.763-768, 2005 (Released:2006-05-08)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

There have been many residents who want to live in super-high rise buildings from where wonderful birds eye vies could be enjoyed. They may intend to have quite new landscape experiences from their rooms, and this would initiate the demand of constructing more high rise buildings for residential use.This study reffere to the tendency of residents' preference of green spaces through analysis of landscape attitude of residents through evaluation of landscape values of green space seen from their own rooms in the said building. Research was conducted in the site of new development project of JHDC in Minatoku, Tokyo. The results may indicate that the values of green spaces should be evaluated by the degree of landscape preference in relation to the expectation of green spaces as sources of new urban landscapes and object of bird eye view experiences from inside the rooms. The height of rooms would be thought as key factors of sense of satisfaction to the landscape and green spaces to bee seen from the high rise rooms.When residents live in the room from where valuable parks and green spaces, they may satisfy the quality of green space and that would attract them to go to the green space and enjoy the environment there. The degree of looking down angle, 10 may degree in this case was considered as critical.
著者
中島 敏博 田代 順孝 古谷 勝則
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.579-584, 2007-03-30
被引用文献数
3 8

Open-space conservation activities are popular in the suburban area. But they have an issue to continue their group. New member, especially young people, have not accessed to them. We should understand way to participate the ordinary people in the open-space conservation activities. The paper aimed to clear the relation to the open-space use and the distance between the open-spaces and citizens' neighborhood. We researched the citizens at Matsudo city in Chiba prefecture by questionnaire survey. They answered using the open-space and their neighborhood extend within 2km from their residence. In the results, if planning to manage the open-space by citizens where is 300-500m away from their neighborhoods, we should brush up the quality of open-space. Because, they only use that several time. We should create the chance they want to manage them. Another hand, the open-space within 300m away from their neighborhood, they use the open-space usually. And this situation has high potential to manage the open-space with them. Finally, we suggest a unit of area for open-space planning with open-space conservation activities by citizens.
著者
田代 順孝 木下 剛 赤坂 信 小林 達明 柳井 重人 古谷 勝則
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最終年度である平成18年度は,地区スケールの緑の配置計画の可能性について検討を行うとともに,これまでの研究成果をとりまとめて研究の総括とした。住宅地と街路空間を対象として放射エネルギー分布図を作成することにより,夏季の高温化を促進する土地被覆と冷却効果を持つ土地被覆を特定し,その効果を定量的に把握することができた。さらに,放射エネルギー分布図を利用して,温熱環境(または温熱景)制御のために,緑の配置によって蓄熱する景観要素をコントロールすることの可能性についての知見が得られた。中高木を植栽して緑陰を確保するとともに,土地被覆を芝生や裸地とすることで,地中への蓄熱を軽減することが予測された。また,表面温度と周囲の気温との温度差が大きく,放射熱伝達が大きい場合は発生源(各要素)から出る放射エネルギーに対して,適切な緑を配することで軽減できることが明らかとなった。さらに,熱帯地方における日影変化・樹木形態(樹種や植栽密度の違いによる)・緑陰効果からみた緑陰地の特性について検証し,温熱景制御に資する緑の配置パターン(植栽デザイン)について明らかにした。具体的には,緑陰エリアは日中,樹冠と同程度の最小限の日影をつくり出すことから,人々の活動をサポートするための緑陰空間は日中において特に考慮されるべきである。緑陰地の空間形態は樹木のサイズ(樹高と樹冠により中規模,大規模,極大規模)によって規定される。全緑陰(Full Shade)は密植(暗い緑陰と樹冠の重層)により形成され,非全緑陰(Not Full Shade)は疎林(やや暗い緑陰と樹冠の接触)によって形成される。また,分離植栽は緑陰を形成しない(樹冠が離れており地表は明るい)。葉と枝張りの密度の濃い緑陰樹は緑陰地のデザインにおいて特に適している。緑陰空間の特性は,熱帯地方の特に日中,太陽が南中した際に重要な役割を果たす日影に重要な影響を及ぼす。日影の継続は人々の活動に高い快適性をもたらすことができた。以上の結果から,温熱景制御に資する地区スケールでの緑の計画の在り方について有用な知見を得た。
著者
松本 悟 田代 順孝 宮城 俊作 木下 剛
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.93-102, 1998-03-31

本研究は,都市河川とりわけ近代産業発展の舞台となった隅田川とその沿川の産業施設に着目し,これらがやがて衰退・用途転換していく過程において,河川と産業施設との関係がどのように変化してきたのかについて,河川に対する表裏の認識という視点から分析することを通じて,沿川空間のもつ地域環境デザイン上の意義と課題について考察を行うことを目的に実施した.その結果,産業施設の河川に対する表(産業インフラとして)→裏→表(環境資源として)という認識の変化が明らかとなった.そして,河川と地域との関係を媒介する場としての産業施設の位置的な重要性が指摘され,地域の論理やニーズを的確に反映した空間デザインが課題とされた.
著者
鈴木 弘孝 小島 隆矢 嶋田 俊平 野島 義照 田代 順孝
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.247-259, 2005-11-30
被引用文献数
7 9

本研究は, 近年ヒートアイランド対策や地球温暖化防止対策への対応等環境負荷の少ない都市環境を形成していくための有力な手法として着目されている壁面緑化について, 現在屋上の緑化や開発利用に取り組んでいる企業とその技術担当者へのアンケート調査結果に基づき, 壁面緑化の市場性, 普及の可能性等について民間企業と技術担当者の意識を把握し, 技術的課題への認識を整理することにより, 今後都市部において壁面緑化を推進していく上での技術開発の方向, 研究開発分野において重点的に取り組むべき対象と範囲を検討するための基礎的資料を得ることを目的としている。調査の結果, 民間企業等の意識として壁面緑化の今後の市場性拡大への期待が高いこと, 技術担当者の意識として壁面緑化に関する技術開発を推進していく上で, 緑化による温熱環境改善効果の定量化, 建設コストの縮減, 維持管理の簡素・効率化等を課題と認識していること, また壁面緑化の6種類のタイプについて対応分析を行った結果, 適用場所や普及可能性に認識の差異のあることが明らかとなった。