著者
中村 好男 藤川 徳子 山内 克典 田村 弘忠
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.80-88, 1970-03-25
被引用文献数
3

われわれの調査の目的は森林生態系の中で土壌動物が果たしている役割の解明にあるが, その手始めとして, 札幌市と定山溪の中間に位置する天然林(混交林)と人工林(トドマツ林とドイツトウヒ林)の土壌動物相とその季節変動を調べた。土壌動物相は, 天然林において最も豊富であった。小型土壌動物では線虫類が多く, そのうち菌食性線虫が優勢であった。ササラダニではEniochthonius minutissimusが, 大型土壌動物ではヤスデ類が, アリ類ではMyrmica ruginodisが最優占種であった。天然林の調査結果から次のような事実がわかった。線虫数は土壌中よりも落葉層に極端に多かった。ササラダニ相はササの密度により多少の差異がみられた。大型土壌動物はA層に最も多く, 深くなるにしたがい種類数が減少した。ムカデやセミの幼虫はB層の20〜40cmの所に生息していた。アリの営巣場所は腐朽した切株や, 落葉落枝の堆積物の下に集中していた。個体数の季節変動は, ほとんどが中秋に最も多くなった。季節変動の型は次の三つに大きく分けられた。A.変動の型が各調査地において同じであった。(トビムシ, ササラダニ以外のダニ, クモ, ヤスデ, コガネムシ, ササラダニの3種Eniochthonius minutissimus, Steganacarus striculus, Oppia nova)。B.2種の人工林においては同じ型であったが, 天然林では変動の型が異なった。(ミミズ, ムカデ, アリ類, ササラダニの2種Eohypochthonius sp., Phthiracarus japonicus)。C.変動の型が3か所それぞれ異なった。(ササラダニの2種Phthiracarus sp., Eremaeus sp.1)
著者
清水 晃 河野 潤一 葉杖 真二 木村 重 田村 弘
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.819-824, 1987

実験用のマウス (ヌードマウスを含む), ラット, ウサギおよび捕獲されたドブネズミ, クマネズミ, ハツカネズミ, フェレットから分離されたStaphylococcus aureus267株について, ヒト系 (Hセット) およびウシ系 (Bセット) S. aureus型別用ファージセットを用いて, 型別を試みた。実験用小動物由来139株の型別率はHセットで75.5%, Bセットで93.5%であり, 捕獲げっ歯類由来128株の型別率はHセットで32.8%, Bセットで62.5%であった。Hセットを用いて, 同一飼育場から購入したマウス・ラットの分離株をしらべると, マウス株のすべてがII群に, ラット株の大多数がI群および混合群に属した。Bセットを用いると, 捕獲されたドブネズミ株の多くはIV群に, クマネズミ株の多くはIII群に, ハツカネズミ株の多くはII群に属した。捕獲げっ歯類由来株の型別には, Bセットが型別率, 識別能力の点でHセットより有用と思われた。
著者
池添 貢司 森 理也 喜多村 和郎 田村 弘 藤田 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.108, pp.59-64, 2012-06-21
参考文献数
11

一次視覚野(V1)の神経細胞は方位選択性を持ち、方位選択性の強さは細胞によって異なる。方位選択性細胞はその最適方位に従って皮質内で規則的に配列している。本研究では、サルV1で2/3層細胞の選択性の強さが細胞周辺の方位マップの構造、特に局所領域内の細胞が持つ最適方位の多様性と関係するかを検討した。本研究では、鎮痛不動化したサルにおいて方位刺激に対する個々の細胞の応答を2光子カルシウムイメージングで計測した。互いに似た最適方位を持つ細胞が集まる領域では様々な方位選択性をもつ細胞が集まっていたが、互いに異なる最適方位を持つ細胞が集まる領域では方位選択性の弱い細胞が集まっていた。この結果から、サルV1細胞の方位選択性は細胞周辺の方位マップと関係することが示唆される。
著者
清水 晃 河野 潤一 葉杖 真二 木村 重 田村 弘
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.819-824, 1987

実験用のマウス (ヌードマウスを含む), ラット, ウサギおよび捕獲されたドブネズミ, クマネズミ, ハツカネズミ, フェレットから分離されたStaphylococcus aureus267株について, ヒト系 (Hセット) およびウシ系 (Bセット) S. aureus型別用ファージセットを用いて, 型別を試みた。実験用小動物由来139株の型別率はHセットで75.5%, Bセットで93.5%であり, 捕獲げっ歯類由来128株の型別率はHセットで32.8%, Bセットで62.5%であった。Hセットを用いて, 同一飼育場から購入したマウス・ラットの分離株をしらべると, マウス株のすべてがII群に, ラット株の大多数がI群および混合群に属した。Bセットを用いると, 捕獲されたドブネズミ株の多くはIV群に, クマネズミ株の多くはIII群に, ハツカネズミ株の多くはII群に属した。捕獲げっ歯類由来株の型別には, Bセットが型別率, 識別能力の点でHセットより有用と思われた。
著者
黒田 慶子 山田 利博 峰尾 一彦 田村 弘忠
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.p606-615, 1988-12
被引用文献数
9

11年生クロマツにマツノザイセンチュウを接種し, 1週間ごとの伐倒の前日に根元から染色剤を吸収させて, その上昇パターンから木部の通水異常を検出した。木部含水率を測定し, 通水異常との関係を明らかにすると同時に, マツ組織の変化, 線虫の増殖との関係を調べた。接種2週後に水分の上昇に乱れが観察され, 含水率が低下し始めた。樹幹の木口断面では, 放射方向に長く白色の線状ないし紡錘形の部分が, 染色部と明確に区分されて出現した。この部分では仮道管は水を失い, 気体が入っていた。この現象は「キャビテーション(空洞化)」と呼ばれる。健全な樹木では, 木部の水はらせん状に上昇するが, 線虫接種木ではキャビテーション部位で流れが妨げられて通水パターンが乱れる。キャビテーションの範囲はしだいに拡大し, 4週後には木口断面のほぼ全面を覆った。マツ組織の変化と線虫の増殖は4週後, 木部の含水率が健全木の30%に低下してからであった。これらの事実から, 形成層や師部の壊死はキャビテーション部位に接した後に水不足により起こったものと判断した。仮道管のキャビテーションがマツの枯死の直接的原因である可能性が高い。他方, 漏出した樹脂による仮道管通水の機械的阻害は, 非常に小さな範囲に留まるため, 枯死の主因とは考えにくい。染色の阻止状況から, 疎水性の物質がキャビテーション部位の仮道管内に存在することが示唆された。マツノザイセンチュウがなぜマツを枯らすのかを明らかにするためには, まずキャビテーションの原因を解明する必要がある。