著者
眞木 吉信
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.422-425, 2018-03-31 (Released:2018-04-23)
参考文献数
8
著者
眞木 吉信
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.174-181, 2017-09-30 (Released:2017-11-05)
参考文献数
39

フッ化物配合歯磨剤は成人や高齢者にも,う蝕予防効果をもたらすことは周知の事実である.近年,一部の基礎実験研究の結果をもとに,フッ化物配合歯磨剤がインプラント周囲炎のリスクになる可能性が指摘されている.日本口腔衛生学会ではフッ化物配合歯磨剤がインプラント周囲炎のリスクになるか評価することを目的として,ヒトを対象とした疫学研究および5つの観点からの基礎研究を文献データベースより収集した.その結果,実際にヒトを対象とした疫学研究は存在しなかった.さらに,基礎研究の結果から,1)pHが4.7以下の酸性状態が継続した場合,フッ化物配合歯磨剤によりチタンが侵襲されうるが,中性,アルカリ性,または弱酸性のフッ化物配合歯磨剤を利用しても,侵襲の可能性はきわめて低い,2)歯磨剤を利用しないブラッシングでもチタン表面が侵襲され,歯磨剤を利用したブラッシングでもフッ化物の有無による侵襲の程度に差はない,3)チタン表面の侵襲の有無で,細菌の付着に差はなく,フッ化物の利用により細菌の付着が抑制された報告も存在する,4)実際の口腔内では唾液の希釈作用でフッ化物イオン濃度は低下するため侵襲の可能性は低い,5)フッ化物配合歯磨剤の利用により細菌の酸産生能が抑制されるため,チタンが侵襲されるpHにはなりにくいことが分かった.以上の結果をまとめると,チタンインプラント利用者にフッ化物配合歯磨剤の利用を中止する利益はなく,中止によるう蝕リスクの増加が懸念される.
著者
相田 潤 小林 清吾 荒川 浩久 八木 稔 磯崎 篤則 井下 英二 晴佐久 悟 川村 和章 眞木 吉信
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.308-315, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
41

フッ化物配合歯磨剤は成人や高齢者にも,う蝕予防効果をもたらす.近年,一部の基礎研究の結果をもとに,フッ化物配合歯磨剤がインプラント周囲炎のリスクになる可能性が指摘されている.しかし,実際の人の口腔内やそれに近い状況での検証はない.本レビューではフッ化物配合歯磨剤がインプラント周囲炎のリスクになるか評価することを目的とした.疫学研究および6つの観点から基礎研究を文献データベースより収集した.疫学研究は存在しなかった.基礎研究の結果から,1)pHが4.7以下の酸性の場合,フッ化物配合歯磨剤によりチタンが侵襲されうるが,中性,アルカリ性,または弱酸性のフッ化物配合歯磨剤を利用する場合,侵襲の可能性は極めて低い,2)歯磨剤を利用しないブラッシングでもチタン表面が侵襲されていた.歯磨剤を利用するブラッシングでフッ化物の有無による侵襲の程度に差はない,3)チタン表面の侵襲の有無で,細菌の付着に差はなかった.フッ化物の利用により細菌の付着が抑制された報告も存在した,4)実際の口腔内では唾液の希釈作用でフッ化物濃度は低下するため侵襲の可能性は低い,5)フッ化物配合歯磨剤の利用により細菌の酸産生能が抑制されるため,チタンが侵襲されるpHにはなりにくくなる,6)酸性の飲食物によるpHの低下は短時間で回復したことがわかった.これらからフッ化物配合歯磨剤の利用を中止する利益はなく,中止によるう蝕リスクの増加が懸念される.
著者
相田 潤 田浦 勝彦 荒川 浩久 小林 清吾 飯島 洋一 磯崎 篤則 井下 英二 八木 稔 眞木 吉信
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.362-369, 2015-07-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
13

歯科医師法では公衆衛生の向上および増進が明記されており,予防歯科学・口腔衛生学は歯科分野で公衆衛生教育の中心を担う.またう蝕は減少しているが,現在でも有病率や健康格差が大きく公衆衛生的対応が求められ,近年の政策や条例にフッ化物応用が明記されつつある.根面う蝕対策としてフッ化物塗布が保険収載されるなど利用が広がる一方で非科学的な反対論も存在するため,適切な知識を有する歯科医師の養成が求められる.そこで各大学の予防歯科学・口腔衛生学,フッ化物に関する教育の実態を把握するために,日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会は,1998年に引き続き2011年9月に全国の29歯科大学・歯学部を対象に質問票調査を行った.結果,予防歯科学・口腔衛生学の教育時間の大学間の最大差は,講義で8,340分,基礎実習で2,580分,臨床実習で5,400分となっていた.フッ化物に関する教育の時間も大学間によって講義で最大540分,基礎実習で280分,臨床実習は510分の差異があり臨床実習は実施していない大学も存在した.さらに1998年調査と比較して,教育時間や実習実施大学が減少しており,特に予防歯科学・口腔衛生学の臨床実習は1,319分も減少していた.また非科学的なフッ化物への反対論への対応など実践的な教育を行っている大学は少なかった.予防歯科学・口腔衛生学およびフッ化物応用に関する講義や実習の減少が認められたことから,これらの時間および内容の拡充が望まれる.
著者
深井 穫博 眞木 吉信 高江洲 義矩
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.129-136, 1996-04-30 (Released:2017-10-14)
参考文献数
36
被引用文献数
6

保健行動は生涯発達の中で形成・獲得されるものであるが,成人期から老人期にかけての口腔保健行動が,社会的な影響を受けてどのように修正・形成・定着していくかについては必ずしも明らかではない。そこで本研究は,関東地域在住の20歳から50歳代の男女673名を対象に,成人のライフスタイルおよび健康習慣とその年齢特性について検討した。その結果,今回の調査では以下の結論を得た。25〜34歳,35〜44歳の年齢層は生活のゆとりおよびソーシャルサポートが少なく,また職場環境に関しても,「残業」および「ストレスを感じる」者が中高年層に較べて多かった。一方,「仕事の満足感がある」者では逆に中高年層ほど仕事にやりがいを感じていた。ただし主観的健康状態は,どの年齢層でも約60〜70%の者が「健康である」と回答しており,年齢層による差は見られなかった。健康習慣では「毎日の朝食摂取」および「定期健康診断受診」に関して,明らかに中高年層が若年成人に較べて高い割合であった。また,「喫煙」,「飲酒」,「運動」,「体重」,「睡眠」,「間食」,「ストレス」に関する項目では,その健康習慣を持っている者は,どの年齢層でも約10〜30%の範囲であった。これら9項目の健康習慣について各項目で「あり」と回答した場合を1点としその合計得点で評価した結果,24歳以下の群で2.1±1.9であったのに対し55〜59歳の群では3.0±2.1であり,高い年齢層ほど健康習慣得点は増加していた(p<0.05)。
著者
深井 穫博 眞木 吉信 高江洲 義矩
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.129-136, 1996-04-30
被引用文献数
12

保健行動は生涯発達の中で形成・獲得されるものであるが,成人期から老人期にかけての口腔保健行動が,社会的な影響を受けてどのように修正・形成・定着していくかについては必ずしも明らかではない。そこで本研究は,関東地域在住の20歳から50歳代の男女673名を対象に,成人のライフスタイルおよび健康習慣とその年齢特性について検討した。その結果,今回の調査では以下の結論を得た。25〜34歳,35〜44歳の年齢層は生活のゆとりおよびソーシャルサポートが少なく,また職場環境に関しても,「残業」および「ストレスを感じる」者が中高年層に較べて多かった。一方,「仕事の満足感がある」者では逆に中高年層ほど仕事にやりがいを感じていた。ただし主観的健康状態は,どの年齢層でも約60〜70%の者が「健康である」と回答しており,年齢層による差は見られなかった。健康習慣では「毎日の朝食摂取」および「定期健康診断受診」に関して,明らかに中高年層が若年成人に較べて高い割合であった。また,「喫煙」,「飲酒」,「運動」,「体重」,「睡眠」,「間食」,「ストレス」に関する項目では,その健康習慣を持っている者は,どの年齢層でも約10〜30%の範囲であった。これら9項目の健康習慣について各項目で「あり」と回答した場合を1点としその合計得点で評価した結果,24歳以下の群で2.1±1.9であったのに対し55〜59歳の群では3.0±2.1であり,高い年齢層ほど健康習慣得点は増加していた(p<0.05)。
著者
深井 穫博 眞木 吉信 高江洲 義矩
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.89-97, 1997-01-30
被引用文献数
12 2

関東近県の企業に勤務する20歳から50歳代の男性438名,女性115名の計553名を対象に質問紙調査を行い,職種と成人の口腔保健行動との関連について検討した。口腔清掃行動では昼食後と就寝前の歯みがきおよびフッ化物配合歯磨剤の使用頻度で職種間に違いがみられた。歯みがきでは,事務職の「昼食後」33.8%,「就寝前」77.9%が最も高い割合であった。フッ化物配合歯磨剤の使用では作業職および専門職がおのおの23.8%,23.3%と他の職種より高い割合であった。歯科受診・受療行動では,歯科受診頻度,かかりつけの歯科医師の有無,定期歯科健診受診の有無の3項目とも職種間に違いがみられた。過去1年間に歯科受診したことのない者の割合は販売職の61.1%が最も高く,他の職種は20〜40%であった。かかりつけの歯科医師のある者は,販売職が36.9%であったのに対し,他の職種では50%以上の割合であった。定期歯科健診の受診では販売職が最も低く2.3%に過ぎなかったのに対し,管理職では30.5%であった。また,ストレスの自覚と口腔の外観に対する満足感には有意の関連が認められた(p<0.05)が,ストレスと今回取り上げ口腔保健行動との間には,関連がみられなかった。一方,仕事の満足感と関連がみられた項目は,噛み具合および口腔の外観に対する満足感,歯間ブラシの使用頻度,過去1年間の歯科受診,定期歯科健診受診の有無であった。
著者
深井 穫博 眞木 吉信 高江洲 義矩
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.676-682, 1996-10-30
被引用文献数
11

口腔保健行動は生涯発達のなかで獲得・修正・定着するものであるが,成人期以降の口腔保健行動については不明な点が多い。本研究では質問紙調査を行ない,成人の口腔保健行動の年齢特性について検討した。調査対象は,関東地方の7企業に勤務する20歳から50歳代の男性468名,女性205名の計673名である。調査内容は,(1)口腔保健に関する態度,(2)口腔保健用語の認知度,(3)口腔の健康に関する自己評価,(4)口腔保健行動に関するものである。「歯・口に関する会話」,「新聞の健康欄への注目度」「歯・口を鏡でみる頻度」の質問項目から,自己の口腔内への関心度は中高年層ほど高まることが示された。しかし,この関心度は知識等の情報収集行動には反映されるが,自己の口腔内を直接観察する行動には結びついていないと思われた。口腔保健用語の認知では,全年齢層にわたり50%以上の者が「知っている」と回答した用語は「歯石」,「歯垢」,「歯周病」であり,成人期によくみられる歯周病に関連したものであった。口腔の健康状態に関する自己評価では「外観や噛み具合に満足している」と回答した者が,24歳以下の年齢層で10〜20%に対し,55歳以上の年齢層では20〜30%であった。昼食後・就寝前の歯みがき習慣の有無といった口腔清掃行動では中高年層に比べて若年齢層の方が定着していた。また「かかりつけの歯科医師の有無」,「定期歯科健診の受診」についての受診・受療行動では逆に若年齢層に比べて中高年齢層が高い割合を示していた。