著者
森川 美羽 石崎 武志 高野 智早 渡辺 享平 田畑 麻里 佐藤 義高 西本 武史 小坂 浩隆 片山 寛次
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.541-544, 2012 (Released:2012-08-21)
参考文献数
18

【目的】がんの診療に伴い, 吃逆はしばしば経験し, 治療に難渋することが多い. 化学療法に伴って出現した持続性の吃逆に対して, プレガバリンが奏効した2症例を経験したので報告する. 【症例】症例は共に進行肺扁平上皮がんであり, 症例1はカルボプラチン+パクリタキセル, 症例2はネダプラチン+イリノテカンの2剤併用化学療法を施行した. 2症例共に抗がん剤の投与に応じて吃逆の出現, 増悪を認めており, 薬剤が誘発したと考えられた. 吃逆はメトクロプラミド, クロルプロマジン, ガバペンチンに抵抗性であり, プレガバリン 150 mg/日の投与によりすみやかに改善した. 【結論】鎮痛補助薬として近年用いられるようになったプレガバリンは, その薬理作用である神経細胞の過剰興奮の抑制により吃逆にも効果がある可能性がある.
著者
西田 菜津美 鮫島 由香 田畑 麻里子 松井 徳光
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.80-84, 2015-07-31 (Released:2018-03-15)

一般的に,ヨーグルトの物性及び風味は凍結保存を行うことで変化する.しかしながら,ヨーグルトにきのこ麹を加えることで,ヨーグルトの物性や風味,乳酸菌の生菌数は維持された.
著者
鮫島 由香 澤 菜穂 田畑 麻里子 松井 徳光
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.100-103, 2017 (Released:2019-09-05)
参考文献数
8

鰹出汁を用いてスエヒロタケ Schizophyllum commune (NBRC4928)の菌糸体を培養したところ,マルト培地で培養した菌糸体と比較して抗酸化活性が高かった.鰹出汁培地で培養した菌糸体中にエルゴチオネインの生産が確認された.エルゴチオネインの収量は乾燥菌糸体1 gあたり1.01 mgであり,培地1 L当たりの生成量は12.9 mgであった.鰹出汁培地を用いた場合では乾燥菌糸体1 gあたりの収量は少なかったが,培地1 Lあたりの収量は生成する菌糸体が比較的多かったため従来報告されている収量より高かった.
著者
廣瀬 宗孝 坂井 美賀子 松木 悠佳 田畑 麻里 関 久美子 重見 研司
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.134-140, 2010-05-25 (Released:2010-08-22)
参考文献数
8

目的:神経障害性疼痛の臨床症状から,ガバペンチンの鎮痛効果を予想できるかを検討した.方法:神経障害性疼痛の患者におけるガバペンチンの鎮痛効果に関係がある臨床症状を抽出するため,後向きコホート研究でロジスティック解析を行った.つぎに抽出した臨床症状の有無による鎮痛効果の違いを,前向きコホート研究で確認した.結果:後向きコホート研究(n=53)では,ガバペンチンで痛みが軽減する補正オッズ比はアロディニアがある場合は11.43(1.87-70.06)で,異常感覚がある場合は0.08(0.01-0.74)で,アロディニアと異常感覚がガバペンチンの鎮痛効果の予測因子として抽出された.前向きコホート研究(n=24)では,アロディニアの有無は,ガバペンチンを含むさまざまな治療の鎮痛効果に明らかな関連はなかったが,異常感覚がない場合は,ある場合に比べて,ガバペンチンで痛みが軽減する因子であった.結論:ガバペンチンの鎮痛効果は,異常感覚の有無で予測できる可能性があり,異常感覚がない神経障害性疼痛の患者では,異常感覚がある患者より,ガバペンチンで痛みが軽減する可能性が高い.
著者
田畑 麻里子 福田 祥子 大杉 匡弘 佐藤 美次 山川 友宏 波多野 健二 野池 利彰 松井 徳光
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 : mushroom science and biotechnology (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.159-163, 2008-12-31
被引用文献数
1

担子菌で豆乳を発酵させることによって,うまみ成分に富み,高い生理活性を示す新規な機能性発酵豆乳の開発を試みた.担子菌はスエヒロタケ(Schizophyllum commune)を用いた.豆乳タンパク質の分解についてSDS-PAGEで観察したところ,培養1週間目には豆乳のタンパク質バンドは消失し,新たなバンドが現れた.遊離アミノ酸濃度を測定したところ,最も高いアミノ酸濃度を示したのは培養3週間目であったが,全遊離アミノ酸に対するうまみ系アミノ酸の割合が最も高いのは培養4週間目であった.シュウ酸,リンゴ酸,コハク酸,ピログルタミン酸などの有機酸の濃度は低く,発酵中に変化し,一定ではなかった.抗酸化活性,抗トロンビン活性はスエヒロタケで発酵させることで増加し,また発酵時間の経過とともに強くなった.
著者
松井 徳光 田畑 麻里子
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ヤマブシタケは小さめの粒度、シイタケは大きめの粒度で、生理活性やイソフラボン濃度、核酸濃度が高くなることが判明した。また、マウスを用い発酵黒大豆が安全であることを明らかにした。発酵することで新たな機能性が付加され、また、スエヒロタケにおいて抗酸化活性が著しく高値を示す味噌を作成することができた。さらに、アレルゲンタンパク質の低下も観察され、機能性を有する黒大豆味噌の試作に成功した。スエヒロタケで発酵させた発酵黒大豆中に、エクオールを検出することができた。つまり、腸内の乳酸菌でなければ作ることができないと考えられてきたエクオールを、担子菌発酵で製造することの可能性を示唆した。
著者
松井 徳光 田畑 麻里子
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本応募研究課題の主要な実験内容は、食肉を発酵する担子菌のスクリーニングを行い、心筋梗塞や脳血栓などの血栓症を予防する担子菌由来および発酵作用によって生じる抗トロンビン活性、線溶活性、抗酸化活性および免疫力を高めガンを予防するβ-D-グルカンなどを有する機能性食肉を製造することである。研究の結果、食肉の発酵にはスエヒロタケが適しており、発酵に伴って肉懸濁液中のトリグリセライド量が減少し遊離脂肪酸が増加していること、トータルコレステロールおよび遊離コレステロールも減少の傾向を示したこと、それぞれの発酵期間後に独特の風味を呈することなど、機能性のみならず、新しい加工食品として有効であることが示唆された。さらに詳細な実験が必要であるが、本研究で、担子菌で食肉を発酵させることによって、脂肪分やコレステロールが分解できることが明らかとなり、担子菌による食肉の発酵は、より健康的な食肉の製造に適していることを確信した。