著者
中尾 優奈 堀内 博皓 町田 大輝 松井 勇起
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集 第13回 年次大会 (ISSN:27586480)
巻号頁・発行日
pp.143-148, 2023 (Released:2023-03-30)
参考文献数
19

本稿では、日本においてメタバースが「キャズム」を越えられるかという問題に対し考察する。具体的には、メタバース(VRSNS)の代表的なプラットフォームであるVRChat を、メタバースとしばしば混同され既にキャズムを越えているバーチャルYouTuber と、「『遊び』の性質という視点から分析・考察する。分析結果として、VRChat の『遊び』としての本質は「起業家精神」であり、社会的に高い価値を持つ一方で、本質的にVRChat はマジョリティ向けに設計されていないことが判明した。しかし、バーチャルYouTuber の訴求力・認知的にメタバースと混同しやすい点を活かすことで、周囲の影響を受けやすいレイトマジョリティ層から迂回的にアーリーマジョリティ層にVRSNS を普及させる戦略を提案できた。
著者
河西 奈緒 町田 大 北畠 拓也 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.697-702, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
10

効果的なホームレス政策の計画・実施には、政策対象を知り、支援ニーズを捉え、必要な資源を投下して効果を測ることが不可欠である。しかしホームレスの実態を捉えることは容易ではなく、特に野宿状態は、根源的な現象でありながらその把握が最も難しい。2000年代以降、野宿人口調査の一手法である市民参加型ストリートカウントを大規模に実施する都市が世界の様々な地域で登場し、新たな潮流を生んでいる。本論は、筆者らが実際に参加したニューヨーク、シドニー、ロンドン、東京の4都市で実施されている市民参加型ストリートカウントの規模や運営の詳細を明らかにし、政策デザインや資源投下の効果測定のために各都市が多数の市民ボランティアを集め実態把握に取り組んでいる現状と、HL問題への取り組みを市民に開くことで、市民教育と同時に、政策の正当性や公共性が担保されていることを論じた。
著者
町田 大輔 長井 祐子 吉田 亨
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.13-18, 2019-02-01 (Released:2019-03-05)
参考文献数
15

【目的】子ども食堂スタッフの活動主体性と関連する要因を明らかにし,近年広がりをみせている地域活動である子ども食堂での食育を推進するための示唆を得る。【方法】2017年3~5月に自記式質問票による横断調査を行った。対象者は,全国の子ども食堂スタッフのうち本調査への同意が得られた者である。273ヵ所の子ども食堂に5部ずつの調査票を郵送した。調査項目は,基本属性(性,年齢,世帯構成,就労状況,居住年数),活動状況(家族の協力,活動期間,活動頻度),ならびに活動主体性4項目,活動満足感9項目,活動負担感14項目とした。活動主体性,活動満足感,活動負担感は,それぞれの合計得点を中央値未満と以上の2値に分けて分析に用いた。活動主体性と各調査項目との関連を二項ロジスティック回帰分析で検討した。【結果】117ヵ所,386人から回答があったうち,活動主体性,活動満足感,活動負担感のいずれかの回答が欠損していた52人と,20歳未満で保護者の同意が得られていない6人を除き,328人の回答を分析に用いた。二項ロジスティック回帰分析の結果,活動主体性と有意な関連がみられたのは,年齢(60歳以上:調整オッズ比=2.61),就労状況(自営業・農林水産業:調整オッズ比=3.32),活動満足感(中央値以上:調整オッズ比=2.79),であった。活動主体性と活動負担感との関連はみられなかった。【結論】子ども食堂スタッフの活動主体性と活動満足感との有意な正の関連が確認された。
著者
湯川 寛夫 町田 大輔 金成 正浩 永野 篤 藤澤 順 松川 博史 清水 哲 河野 尚美 利野 靖
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.476-480, 2006-04-01
被引用文献数
5

胆嚢原発腺内分泌細胞癌はまれな疾患であり予後不良といわれている.本邦では自験例を含め54例の報告をかぞえるのみである.今回,我々は原発巣に対し切除術を施行し予防的放射線化学療法を行った胆嚢腺内分泌細胞癌を経験したので報告する.症例は59歳の男性で,US, CT, MRIにて胆嚢底部に腫瘤影を認め,腹腔鏡下に胆嚢摘出術を施行した.術中迅速診にて未分化癌疑いとの報告を受け,開腹に移行しD2+α郭清,肝床部切除を付加した.病理組織学所見ではHE染色で粘膜面では高分化型腺癌の像を呈するが,腫瘍の大部分ではN/C比の高い腫瘍細胞が充実性増殖し明らかな管腔形成は示さずrossetteを認めた.免疫染色ではNCAMが弱陽性を示し,腺内分泌細胞癌と診断した.術後,肺小細胞癌に準じて肝門部に放射線治療とcisplatin+etoposideの化学療法を2クール施行し,術後24か月無再発生存中である.