著者
永橋 為介 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.213-216, 1995-03-29 (Released:2011-07-19)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

わが国でも都心部の公園は野宿者の生活場所として利用されており, 公園管理者との間に摩擦を生じている。本稿は, この事例として大阪市天王寺公園を取り上げ, 都心部における野宿者と都市公園管理に関わる問題を整理, 把握し検討することを目的とした。同公園に関する野宿者への聞き取り調査を実施し, 同公園の野宿者に関する管理方法を公文書, 新聞などから概観し, 1990年の有料化が野宿者排除に与えた影響を考察した。その結果, 同公園の管理方法は野宿者問題と公園を切り離すことには成功したが, 排除された野宿者は外周柵の外に多く存在し, 依然として同公園周辺地域の問題として現存していることが明らかになった。
著者
近藤 龍司 土肥 真人 柴田 久
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.669-672, 1999-03-30
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

本研究は,日常から非日常への心理的変化とそれに及ぼす環境の影響を把握する事を目的とする。東京ディズニーランドの来訪者を被験者として,性別,年齢,利用交通機関などの被験者の属性および出発点から終着点までの10の場面毎の日常-非日常の心理的変化を聞き取り,共分散構造分析を用いて被験者属性と場面特性との因果解析を行った。本論の分析,考察より,被験者の約9割がディズニーランドを非日常空間として認識し,被験者の約7割は物理的環境からの直接の影響により非日常への心理的変化が喚起されている事が明らかになり,被験者の個人属性,物理的環境からの影響の有無,心理的変化の場面特性の因果関係を定量的に把握した。
著者
北畠 拓也 河西 奈緒 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1089-1094, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
24

オーストラリアNSW州では、ホームレスの人々の「公共空間にいる権利」を保障するプロトコルが存在し、行政機関が部門横断的にこれに批准している。これは、2000年のシドニー五輪を契機に締結され、現在でも存続している。本研究では、このプロトコルの成立過程とともに、現在の、特にシドニー市周辺における現場レベルでの運用実態を明らかにすることを目的とする。文献調査および現地での行政機関、NGOへのインタビュー調査から、プロトコルの成立過程およびシドニー五輪における働き、現在の現場レベルでのホームレス支援団体・公共空間管理団体両者にとってのプロトコルの効果と影響が明らかとなり、ホームレス政策においてホームレスの人々の「公共空間にいる権利」を認めることの意義が見出された。
著者
北畠 拓也 河西 奈緒 土肥 真人
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1089-1094, 2014

オーストラリアNSW州では、ホームレスの人々の「公共空間にいる権利」を保障するプロトコルが存在し、行政機関が部門横断的にこれに批准している。これは、2000年のシドニー五輪を契機に締結され、現在でも存続している。本研究では、このプロトコルの成立過程とともに、現在の、特にシドニー市周辺における現場レベルでの運用実態を明らかにすることを目的とする。文献調査および現地での行政機関、NGOへのインタビュー調査から、プロトコルの成立過程およびシドニー五輪における働き、現在の現場レベルでのホームレス支援団体・公共空間管理団体両者にとってのプロトコルの効果と影響が明らかとなり、ホームレス政策においてホームレスの人々の「公共空間にいる権利」を認めることの意義が見出された。
著者
永橋 為介 土肥 真人
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.213-216, 1996-03-29
被引用文献数
2 4

わが国でも都心部の公園は野宿者の生活場所として利用されており, 公園管理者との間に摩擦を生じている。本稿は, この事例として大阪市天王寺公園を取り上げ, 都心部における野宿者と都市公園管理に関わる問題を整理, 把握し検討することを目的とした。同公園に関する野宿者への聞き取り調査を実施し, 同公園の野宿者に関する管理方法を公文書, 新聞などから概観し, 1990年の有料化が野宿者排除に与えた影響を考察した。その結果, 同公園の管理方法は野宿者問題と公園を切り離すことには成功したが, 排除された野宿者は外周柵の外に多く存在し, 依然として同公園周辺地域の問題として現存していることが明らかになった。
著者
浅野 智子 土肥 真人 野嶋 政和
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.257-260, 1996-03-29
参考文献数
5
被引用文献数
1

1995年1月17日の阪神・淡路大震災により,阪神淡路地域の住民は大きな被害を被った。本稿では,まず被災地における街-コミュニティーの再生への取り組み事例として,神戸市須磨区須磨浦通6丁目を取り上げ,同年4月から9月にかけて行われた住民集会の経過を概観する。そして被災地復興への問題と可能性を考察する。本研究の結果,4回の住民集会により,須磨浦通6丁目の住民が抱えている諸問題が具体的に把握されたこと,当地区の住民が震災からの街-コミュニティーの再生に,主体的に取り組む姿勢を有していること,そして一方で住民の主体的な取り組みを支えるための各種制度の整備,適用が未だ不十分であることが明らかになった。
著者
近藤 龍司 土肥 真人 柴田 久
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.669-672, 1998-05-25 (Released:2011-07-19)
参考文献数
3
被引用文献数
1

本研究は, 日常から非日常への心理的変化とそれに及ぼす環境の影響を把握する事を目的とする。東京ディズニーランドの来訪者を被験者として, 性別, 年齢, 利用交通機関などの被験者の属性および出発点から終着点までの10の場面毎の日常-非日常の心理的変化を聞き取り, 共分散構造分析を用いて被験者属性と場面特性との因果解析を行った。本論の分析, 考察より, 被験者の約9割がディズニーランドを非日常空間として認識し, 被験者の約7割は物理的環境からの直接の影響により非日常への心理的変化が喚起されている事が明らかになり, 被験者の個人属性, 物理的環境からの影響の有無, 心理的変化の場面特性の因果関係を定量的に把握した。
著者
杉田 早苗 小林 宣洸 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.751-756, 2010-10-25
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

本研究では、ホームレスにとって重要な場所である寝場所の移動を把握し、またその移動と様々な形態をとる排除との関係を考察することを目的とする。川崎市のホームレス支援NPOが所有するデータを個人別データベース化し、寝場所の移動の実態と傾向を把握するとともに、ヒアリング調査と資料調査からホームレスの排除事例と排除された場所の現在の利用状況を検証し、移動と排除の関係を分析した。結論は以下の3点である。1.川崎市のホームレス支援NPOから提供を受けたデータを個人別データベースとして構築し、寝場所の移動の実態を明らかにした。2.寝場所を移動している人は全体の60%程度であり、また河川では一定の場所で野宿を継続する人が、公園や道路、駅では移動を繰り返しながら野宿する人が多いことがわかった。3.排除行為の発生は公園、道路、駅にある寝場所で起こることが多く、河川では少ない。このことが結論2の移動と固定と関係あることが推測される。
著者
河西 奈緒 町田 大 北畠 拓也 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.697-702, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
10

効果的なホームレス政策の計画・実施には、政策対象を知り、支援ニーズを捉え、必要な資源を投下して効果を測ることが不可欠である。しかしホームレスの実態を捉えることは容易ではなく、特に野宿状態は、根源的な現象でありながらその把握が最も難しい。2000年代以降、野宿人口調査の一手法である市民参加型ストリートカウントを大規模に実施する都市が世界の様々な地域で登場し、新たな潮流を生んでいる。本論は、筆者らが実際に参加したニューヨーク、シドニー、ロンドン、東京の4都市で実施されている市民参加型ストリートカウントの規模や運営の詳細を明らかにし、政策デザインや資源投下の効果測定のために各都市が多数の市民ボランティアを集め実態把握に取り組んでいる現状と、HL問題への取り組みを市民に開くことで、市民教育と同時に、政策の正当性や公共性が担保されていることを論じた。
著者
土肥 真人
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.29-32, 1995-03-31
被引用文献数
1

本論は江戸から東京への変動期にみられる都市オープンスペースの形態的変化を,社会的な意味生成の場としてのオープンスペースという観点から検討することを目的とする。江戸の社会は,制度的空間的に各町を構成単位としていたことから,オープンスペースは各構成単位の狭間の空間として自らを表していた。そこはまた大道芸人たちが宗教的色彩の濃い諸芸能を披露する舞台であり,意味的には中世以来の〈定住-漂泊>の関係がみられる。本論の考察の結果,明治初期の東京で実施された各種芸能の禁止,統制等の文化政策は,オープンスペースの形態的変化,社会的諸制度の変化と密接に絡みつつ,江戸の意味的世界観を変更することが明らかになった。
著者
中澤 知己 杉田 早苗 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.962-967, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
13

日本国内では2016年のヘイトスピーチ解消法後も、年間300を超えるヘイトスピーチが行われている。本研究では国内で初めてヘイトスピーチに対して罰則刑を定めた川崎市の条例の成立背景を明らかにすることを目的とする。 分析方法としては、川崎市の革新的な取組の背景を明らかにするために、市議会の議論に注目し、議事録からヘイトスピーチに関する発言、全1313件を抽出し、6つの論点に分類し、分析・考察した。また、条例に対する2万6千を超えるパブリックコメントを整理し、市民の意見を概観し、市議会での議論と比較し考察した。結論として、川崎市には外国人市民の抱える問題に対し、市民、市議会が協働して支援を拡充し、全国で初めての試みを行うなど、都市の中に多文化共生の意識が育っていること、止まらないヘイトスピーチに対して市民の訴えに市議会が応えたことで、全国で初めてのガイドラインや、条例などの対策が講じられたこと。都市の中に多文化共生の共通認識があったからこそ、全国初となる対策や支援を何度も実行できたこと、都市のビジョンを共有することは都市の態度を決め、都市問題に立ち向かう力になるということがわかった。
著者
土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.37-42, 1992-10-25 (Released:2019-12-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

THE POLITICAL, ECONOMIC, AND SOCIAL MODERNIZATION HAD OCCURRED AT THE TRANSITION PERIOD FROM EDO ERA TO MEIJI ERA IN JAPAN. IT IS THE PURPOSE OF THIS THESIS TO CONSIDER HOW THAT MODERNIZATION HAD EFFECT ON SPATIAL CHANGE OF URBAN OPENSPACE OF EDO TO TOKYO. OUKAN OF EDO, WHICH SPATIALLY CORRESPONDS TO PRESENT ROAD, HAD WORKED AS AMUSEMENT QUARTERS OR SOCIAL COMMUNICATION PLACES. BECAUSE OF THE CHANGE OF LANDOWNING-SYSTEM FROM FEUDALISM TO MODERNISM AND THE INTRODUCTION OF VEHICLES FROM WESTERN EUROPE AT MEIJI ERA, THE CHARACTER OF OUKAN HAD ALTERED TO A ROAD WHICH IS MAINLY FOR TRANSPORTATION UNDER OFFICIAL MANAGEMENT. AND SOME FUNCTION ELIMINATED FROM OUKAN HAD BEEN ALLOTTED FOR THE PUBLIC PARKS ALSO UNDER OFFICIAL MANAGEMENT. IT COULD BE CONCLUDED THAT THE PUBLIC PARKS HAD EMERGED AS VERY MODERN SPATIAL APPARATUS.
著者
土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.29-32, 1994-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
37

本論は江戸から東京への変動期にみられる都市オープンスペースの形態的変化を, 社会的な意味生成の場としてのオ-プンスペースという観点から検討することを目的とする。江戸の社会は, 制度的空間的に各町を構成単位としていたことから, オープンスペースは各構成単位の狭間の空間として自らを表していた。そこはまた大道芸人たちが宗教的色彩の濃い諸芸能を披露する舞台であり, 意味的には中世以来の〈定住一漂泊〉の関係がみられる。本論の考察の結果, 明治初期の東京で実施された各種芸能の禁止, 統制等の文化政策は, オープンスペ-スの形態的変化, 社会的諸制度の変化と密接に絡みつつ, 江戸の意味的世界観を変更することが明らかになった。
著者
土肥 真人
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.31-36, 1992-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
42
被引用文献数
1 4

本論は, 明治6年の太政官布告による公園設置を地租改正による東京の都市オープンスペースの変化の中に位置づけて考察することを目的とする。江戸の往還, 広小路, 河岸, 寺社境内などは賤視された人々の居住地でもあったが, 地租改正事業によりその多くから排除される。しかし公園とされた社寺境内からの排除はみられず, 明治7年の地所名称区分による官有地第3種の規定により借地料を収める公園出稼人として扱われることになる。一方で道路からは居住者の断固たる排除がみられる。本論における考察の結果, 明治初期にみられる都市オープンスペースからの居住者排除に関する扱いの相違から, 公園と道路が明治初期に果たした役割が明らかにされた。
著者
土肥 真人
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.55-60, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
53
被引用文献数
1 3

本論は, 江戸から東京への変動期にみられる都市オープンスペースの形態的変化と社会的諸制度の変化との相関を検討することを目的とする。江戸の貧民対策は, 基底的社会制度である身分制度により, 各身分内で行われるのが原則であった。路上の貧民は, 路上を活動の舞台とする諸身分に組み込まれた。明治初期の身分制度廃止により, 浮浪者および路上を活動の舞台としていた身分の人々は道路上から排除され, 空間的に収容される。明治初期公園は, この空間的貧民収容という側面からも捉えられる。本論の考察の結果, 身分的収容から空間的収容への貧民収容制度の変化は, 都市オープンスペースの形態的変化と密接に関わっていることが明らかにされた。
著者
柴田 久 土肥 真人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.674, pp.99-111, 2001-04-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
6
被引用文献数
5 4

本研究では多様化した景観研究の動向について, 研究目的に着目した系譜図を導出し, 景観論の変遷と今後進み得る研究の方向性について検討を行った. 調査対象は1960~98年までの土木, 建築, 造園, 都市計画分野で発表された審査付き論文492編であり, 論文数の推移より動向を把握する時代区分として揺藍, 初動, 発展, 拡充の4期を設定し, 考察を行った. この結果, 揺藍, 初動期における景観概念の論理化と意味解釈の二重性, また拡充期に活発化したテキスト景観と景観行政制度の課題, さらに住民参加型まちづくりに向けた景観論の可能性等について明らかにした.
著者
堀口 沙記子 杉田 早苗 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.763-768, 2001-10-25 (Released:2017-12-01)
参考文献数
3

The purpose of this article is to grasp people's sitting behavior on streets spaces. Design survey of the spatial apparatus for sitting, observatory survey of the sitting people and interview research for sitting peoples' psychological situation are conducted at the Harajuku area Shibuya-word. Tokyo pref. the conclusions are as follows. 1. Spatial apparatus for sitting on streets spaces are grouped into 18 types using form and function category. 2. Sitting people have preference for choosing the sitting apparatus, which is depending on spatial apparatus type, surroundings atmosphere and purpose of sitting behavior. 3. Peoples who sit on spatial apparatus essentially not for sitting tend to relax and to sit longer than who use spatial apparatus for sitting.
著者
土肥 真人
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.31-36, 1993-03-24
被引用文献数
2 4 5

本論は,明治6年の太政官布告による公園設置を地租改正による東京の都市オープンスペースの変化の中に位置づけて考察することを目的とする。江戸の往還,広小路,河岸,寺社境内などは賤視された人々の居住地でもあったが,地租改正事業によりその多くから排除される。しかし公園とされた社寺境内からの排除はみられず,明治7年の地所名称区分による官有地第3種の規定により借地料を収める公園出稼人として扱われることになる。一方で道路からは居住者の断固たる排除がみられる。本論における考察の結果,明治初期にみられる都市オープンスペースからの居住者排除に関する扱いの相違から,公園と道路が明治初期に果たした役割が明らかにされた。
著者
天野 裕 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.733-738, 2008-10-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究の目的は、迅速かつ大量に住宅供給を可能とした復興政策の立案過程と、市民社会の台頭の契機となった復興活動の生成過程を具体的に把握し、震災以前のメキシコシティの住宅政策、借家人運動の系譜を参照しつつ、市民セクターがメキシコ震災復興に果たした役割を明らかにすることである。結論として、メキシコ大地震の復興プロセスにおいて民衆セクターが果たした役割を、以下の2点に集約した。1. 震災以前に借家人運動の前史を持つ組織が、被災者の動員型要求運動を牽引し、公布後半年間停滞していたRHP実施のための要件を、政府と民衆セクターの協定という形で具体化した。2. 協定の締結により、低所得層に属する被災者の経済状況に配慮した大量の住宅供給と、少数ではあるが民衆セクターの自助努力による包括的コミュニティデベロップメントを達成した。
著者
古山 周太郎 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.379-384, 1997-10-25 (Released:2018-05-01)
参考文献数
6

This study means to show the geographecal characteristics of mental hospitals' positions and their historical change. The way of study is to analyze the city area conditions of mental hospitals and their change in Tokyo. As a conclusion, mental hospitals are likely to be built in the outerskirts. Expectionally, they had been in the city area before 1920. Secondly, the hospital has been in the city area even if we have urbanization there. Thired, in each decade of these hosipals foundation in Tokyo, They have been classified into 4 types. As the times have gone by, they have moved to the west.